ウエルネスウォーキングのことを調べてみた | がいちのぶろぐ

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昨日、「ウエルネスツーリズム」という話題をブログに書いた。その時も気にはなっていたのだが、こうした考え方を提唱している団体とは、どんな内容だろうかという点である。

 

 

 

そこで、「日本ウエルネスウォーキング協会」という団体のホームページを読んだ。けっして怪しい団体ではない。むしろ「健康」というテーマと、真正面から取り組んでいた。

 

神戸市にある「関西国際大学 現代社会学部 観光学科」の西村典芳教授が、この団体の代表者を務めておられ、明治大学の水村信二教授が副会長になっておられる。

 

この団体の設立の背景として、ホームページでは『ウエルネスウォーキング』が、「六甲健康保養地研究会(2013年設立)から始まった」と説明されていた。

 

さらに「20158月神戸にて開催された指導者養成講座を機に、長野県信濃町など全国へと広がって来た。そこで、ウエルネスウォ-キングの普及のために指導者養成及びコースづくりや広報活動を行うために協会を設立した」と書かれていた。

 

つまりこの協会は、「健康長寿を目指して『お散歩でこの国を元気にする』」というスローガンの下に、その〝普及啓発活動〟と〝指導者育成〟を目指しておられるらしい。

 

「ウエルネスウォーキング」とは、「ウエルネス理論に基づいたプログラムで、ノルデイックウォーキングや健康ウォーキング、まち歩きなどの要素を取り入れた新しいウォーキングスタイル」だそうだ。

 

「ノルデイックウォーキング」というのは、スキーのストックを手に持って、それを杖のように地面に突き立ててウォーキングをすることで、背筋を伸ばした姿勢を保つことができる。

 

ちょうど「スキーの距離競技(ノルディックスキー)」を、雪のない地面の上で行っているような状態になる。

 

こうした〝ウォーキング姿勢〟の考え方をベースに置いて、「健康ウォーキング、まち歩きなどの要素を取り入れた」ウエルネス(健康保持・増進)ということのようだ。

 

それ自体、基本的にはとても良い考え方だと思う。ただこの場合、「まち歩き」といっても、どちらかと言えば〝トット〟といった感じで、少し早足で歩くことになるだろう。

 

それはそれで〝軽く汗をかく程度の強度〟で運動をしているということだから、きっと身体的にはちょうど良い運動になっていると思う。

 

しかも昨日紹介した新聞記事には、この団体はウォーキングの前後に体調管理のための血圧測定なども行っているとも書かれていた。まさに健康増進のための活動なのだ。

 

 

 

だからホームページでも、「ドイツの健康保養地で行われている『自然療法』を活用し、心拍のコントロールをしながら健康的に楽しく」歩くと説明されていた。

 

さらにその延長線上にある成果として、「そこに住んでいる人々の暮らしぶりと地域の自然や歴史を直接体験することで、地域住民が元気になり、地域住民の健康寿命を伸ばす」とも書かれていた。この部分はちょっと説明不足のようにも・・・。

 

たしかに「ノルディックウォーキング」のように、あえて町中でもストックを突いて歩く、というところまでは要求していないようだ。

 

ただし、歩くことで健康増進に役立てるとしても、それではどんなコースを選定し、どのようなペースで歩けばよいか、といったような〝歩くためのノウハウ〟はあるだろう。

 

だからこの協会は、健康に役立つ考え方に基づいた〝コース選定〟などが行える、指導者養成を行うことが、当面の目標となっているように見受けられた。

 

まず協会が主催する「ウエルネスウォーキングリーダー」となる講習を受け、リーダーとしての経験を積んでから「インストラクター」の講習を受ける。

 

さらに経験を積んで「上級インストラクター」を目指す。そして最後は「トレーナー」となって、一連の講習会全体を運営できる人材を養成することを目指しているらしい。

 

それ自体が、健康増進のためのウォーキングを普及するという「仕組み」作りだと考えればいいだろう。きわめて健全で、しかも大真面目な団体だった。

 

たとえば、ある町のことを知るために〝まち歩き〟を行おうとしても、ただダラダラとその町を歩いていたのでは、参加者は〝何だかなあ〟という気分になるかもしれない。

 

だからと言って、とっとトットと町を歩き回っていたのでは、適度な汗はかいても、肝心の〝まち歩き〟として、町や町の人たちとの出会い・触れ合いは生まれてこないだろう。

 

だから、「ウエルネスウォーキング」と「ツーリズム」を組み合わせるためには、ウエルネスの視点を持ちつつ、〝まち歩き〟の部分もリードできるというインストラクターを、どのように養成して行くかという点が重要になると思う。

 

これは案外と幅の広いテーマであり、単なる〝健康志向の強いインストラクター〟というだけでは済まない。そこを、今後どのように進めて行くのだろうか。