「ウェルネスツーリズム」という言葉が、数日前の京都新聞の記事に〝見出し〟として掲載されていた。
「ウェルネス」ということだから、「身体に良いこと=健康増進」だとわかる。それが「ツーリズム」だから「旅行」と組み合わされている。
これまでも「ホテルに泊まって、身体によいことを体験する」といった趣旨で、〝リラクゼーション〟などを、ホテルのコンセプトや売り物としてきたホテルもあった。
京都の近くで言えば、「メナード青山リゾート」(三重県伊賀市霧生)というホテルなどは、こうしたコンセプトで割とよく知られたホテルだろうと思う。
このホテルのホームページに掲げられている紹介でも、「大自然に囲まれた高原に広がる『リラクゼーション』と『リフレッシュ』をテーマにした一大リゾート」と書かれている。
さらに、「エステティックや各種体験教室、ゴルフ、プール、テニスなどスポーツ施設も充実しており、様々なニーズに対応できる滞在型リゾート」だということも。
ある意味でお客の側からも内容が想像もしやすいし、わかりやすいコンセプトのホテルだと思う。
だから新聞記事の「ウェルネスツーリズム」というものも、こうした「リラクゼーション」や「リフレッシュ」といったコンセプトと関連着けて考えてしまいそうになる。
しかし今回の「ウェルネスツーリズム」は、新聞記事を読む限りにおいて、こうした従来型の「滞在型リゾート」とはコンセプトが少し異なっているようだ。
新聞記事では、「屋外を中心に、密を避ける新たな観光の在り方として注目」されているといった紹介のされ方になっていた。
だから、あくまでウィズ・コロナの下での〝観光の在り方〟の見直し、とでも考えればいいのだろうか。そう思って、記事を読んでいった。
京都市左京区の〝宝が池地区〟にある京都国際会館の近くに、「ザ・プリンス京都宝ヶ池」というプリンスホテル系列のシティホテルがある。
このホテルは京都の町中ではなく、ほんの少し歩けば宝ヶ池公園があり、さらに北へ向かって20分も歩けば〝岩倉地区〟に至る、という場所に立地している。
岩倉地区には、岩倉具視幽棲旧宅や門跡寺院の岩倉実相院、石座(いわくら)神社、〝雪の庭〟で有名な妙満寺、借景庭園の圓通寺などが立地している。
つまり、京都の町からすれば〝北部の郊外地域〟で、それなり以上に観光スポットも存在する場所、という位置付けになる。
だからホテルを起点に、2~3時間を掛けたウォーキングとして、こうした周囲の地域をひと回りすれば、それ自体、「ウェルネスと観光」を兼ねた楽しみ方が可能になる。
だからこその「ウェルネスツーリズム」ということだ。記事では、ホテル側が出発の前後に血圧測定などの体調管理を行っている、とも書かれていた。
このプログラムを監修したのは、「日本ウェルネスウォーキング協会」という団体だそうだ。この団体の趣旨自体は、考え方としてはよくわかる。
けれど実際的な問題として考えれば、ホテルなどが〝売り物としての近場散歩〟などを組織的に実施する、と考えれば良いだろう。
ホテルに滞在していれば、こうしたガイド付きの散歩に安価や無料で参加できるなら、ホテルの客にとっても適当な〝オプショナルツアー〟ということもできる。
見方を変えれば、「メナード青山リゾート」での「リラクゼーション」や「スポーツ」などはそれなりの費用を必要とするけれど、こちらのウェルネスは安上がりかもしれない。
そう考えれば、これはホテルにとっても考えられる選択肢の一つになるだろう。
もっと言えば、このウォーキングプログラムのガイドとして、〝それなりの方〟を手配できるなら、「ブラタモリ」風の「知識伝授型町歩き」という楽しみ方も可能になる。
これをもっと進めて行けば、「半径3kmの旅」の一種として、ホテル滞在客が自力で「余白」を埋めながら楽しむという、〝参加型〟ツアーを構成することも無理ではない。
こんなことをいろいろと想像し、そこから何かが生みだせそうな気がする新聞記事だったと思う。