本屋さんから「釘抜地蔵」へお参りに | がいちのぶろぐ

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朝早くは薄曇りだったけれど、それも午前中にはカラッとした青空になった。今日の午前中は、どうしても本屋さんに行こうと心に決めていた。

 

本屋さんへ行くぐらいのことは、そこまで大げさに決心するほどのことじゃないと、自分でも思う。思うのだが、何となくそんな気分になってしまった。

 

現在、京都市内の大型書店は、四条烏丸の京都商工会議所などが入っている「京都経済センター」ビルにある「大垣書店京都本店」くらいである。

 

 

 

 

つい最近まで、四条富小路のビルの4フロアを占めていたジュンク堂京都店も、四条河原町のビルに2フロアを占めていたブックファースト京都店も撤退してしまった。

 

後は、京都駅の南側にあるショッピングビル「AVANTY」のブックセンターが割合に売り場面積が大きい書店と言えるだろうか。

 

また市街地からやや離れて立地する大型ショッピングモールにも、比較的面積の広い書店があるが、こうした店は現状では大垣書店が出店していることも多い。

 

いずれにしても、〝学生の町〟京都と本屋さんとは切っても切れない絆があるはずなのに、大型書店が次々と消えて行くのも切ない話だ。そんなにも、学生と本が遠く離れた存在になったのだろうか。

 

ということは置いておくとして、この間どうしても手に入れたいと思う本があったのと、〝京都〟絡みで何かしらの参考になりそうな〝うんちく本〟も探したいと思って出掛けた。

 

手に入れたかったのは「重ね地図で読み解く京都1000年の歴史」(谷川彰英・監修、宝島社新書)という、昔の〝京の都〟の地図の上に現在の京都市の地図をオーバーラップし、解説を加えた本である。

 

 

 

この本は、広い本屋さんの中でなかなか探しにくかった。結局は宝島社新書という〝くくり〟そのものがかなりマイナーなために、その新書が並べられていたのは〝各種新書〟の棚の、さらに最下段の一部だった。

 

その後は、〝京都本〟というコーナーで、哲学者で元・大阪大学総長の鷲田清一氏の「京都の平熱 哲学者の都市案内」(講談社学術文庫)と、「京都異界紀行」(西川照子、講談社現代新書)という〝うんちく本〟を見つけた。

 

 

 

まずはこれで満足することにした。今まで少し貯め込んでいた〝京都うんちく本〟に、今回の3冊が加われば、何はともあれ3月から4月にかけての入院に際しても、時間つぶしには困らないだろう。

 

その後、大垣書店のある四条烏丸からすれば、我が家とは反対方向になる「千本上立売」まで行くことにした。

 

この「四条烏丸」バス停は、〝京都市バスターミナル〟の一つという位置付けなので、京都市の東西南北どちらに向かうにしても、だいたいどの方面に行くバスもある、という便利な場所である。

 

だから千本通りを北へ、上賀茂方面に向かうバスもある。これに乗って「千本上立売」まで行った。このバス停のすぐ近くに、「釘抜地蔵」という通称で知られる「石像寺」がある。

 

 

 

このお寺は、819年に弘法大師空海が建立したという古い歴史を持っている。元々は、祀られている地蔵菩薩が「苦抜き地蔵」と呼ばれて信仰を集めていた。

 

 

 

それがいつの頃か、手の病気で苦しむ人の夢枕に地蔵菩薩が現れ、手に刺さっていた〝釘を抜いて〟苦しみから救ったことから、「釘抜地蔵」と呼ばれるようになったという。

 

 

 

その結果、このお地蔵様にお祈りし、願い事が叶った人は「釘抜きと釘2本」の絵馬を奉納するようになった。だからさほど大きくない本堂のまわりの壁には、びっしりとこの絵馬が貼られている。

 

 

 

この一風変わった絵馬がびっしりとある様子を、どうしても実際に自分の目で見たいと思っていたので、今日は〝ついで〟というにはあまりにも方向が逆になるけれど、石像寺まで出掛けた。

 

お寺はホントに町中の狭いお寺である。だけど、地元のお婆さんを中心に、それなりのお参りの方が訪れている。山門を入ったところには、釘抜きの形のモニュメント(?)も。

 

 

 

 

本堂の裏手には、そのお地蔵様の石仏もある。その他にも、何体かの石仏が本堂を取り巻くように並んでいる。私もまずは本堂にお参りし、そこから順にそれぞれにお参りをした。

 

 

 

本堂の脇の寺務所では、御朱印を受けている人も何人かおられた。そのくらいには知られていて、それくらいには参詣客もあるというお寺なのだ。だがやはり、地元のお婆さんが中心だ。

 

私も、この間の放射線治療と抗がん剤治療で胸のあたりに痛みがあり、食事が喉を通りにくいという症状が出ている。さらに、食べ物の匂いなどの影響で吐き気を感じることも。

 

 

 

つまり、それなりには〝がん〟の治療によって苦しんでいるのだから、せめて「苦抜き地蔵」に手を合わせ、まずは苦を抜いてもらい、病気平癒をお祈りしたということだ。

 

今日はやや肌寒かったけれど、空は真っ青に晴れて、散歩と思えば気分の良い日になった。