第2次退院その⑧天皇誕生日なんだけど | がいちのぶろぐ

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今日は天皇誕生日。令和になって2度目の〝国民の祝日〟ということになる。とはいえ、今年はこんな社会状況だから、祝賀ムードなどはあまり感じられない。

 

それ以上に、世間は「総理の長男」事件でざわついている。〝忖度〟だのなんだのと言われるけれど、自分の気に入らない官僚は左遷する、と公言してきた総理大臣の長男である。

 

そんな長男が〝会食を〟と声を掛けて来た場合、誰が断ることができるだろうか。いやこの長男に〝よいしょ〟をしておけば、あとあと自分が得をすると考えるのが普通だろう。

 

これほどシンプルで笑えない構図は、いまだかつて見たことも聞いたこともない。あの悪名高き「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件でさえ、もっと笑える部分があった。

 

当時、銀行のMOF担(大蔵省担当)が大蔵官僚をいわば〝色仕掛け〟で過剰接待したのだが、その接待の中身のバカバカしさに庶民は爆笑した。

 

今回のケースは、総務省でもはっきりどのセクションの人間がターゲットかを絞り込み、課長級以上の高級官僚を、何年にもわたって接待漬けにしてきた、という構図だろう。

 

数年間で40回ほども会食しているということは、ほぼ毎月の定例会のような状態だ。これはいったい何なのか。

 

かつて総務大臣であり、官房長官から総理になった政治家の長男が、所属する企業の仕事上の利益のために会食に応じるよう要請してきた事件、という以外に説明のしようがない。

 

しかも長男が勤める企業のトップは、この総理とは旧知の経営者で、献金もしている企業である。その企業へ、それまで大した経験もない長男が就職できて、幹部になっている。

 

このこと自体が、何を意味するかは誰でもわかりすぎるくらいよくわかる。普通、大臣経験者が〝うちの息子をよろしく〟と言えば、だいたいは就職できるだろう。

 

その企業は、総務省が許認可権を管轄する事業を行っている企業だ。こんなわかりやすい構図の中で、かつての銀行のMOF担のように、いわば〝官僚工作〟担当として入社している。

 

「修身斉家治国平天下」という言葉がある。身を慎み、家内を平安にすることは、国を治める要諦である。こうなってこそ、天下は〝太平楽〟の世となる。

 

あえて総理に問いたい。「修身斉家」を〝自助〟として行ってきたと、確信を持って答えられるだろうか。決して〝公助〟ではなく、もちろん〝共助〟でもなく。

 

今回の「総理の長男」事件とは、この国の「汚職事件史」の中でも特異な構造だと思う。〝こっそり賄賂を渡す〟といった金銭授受もなく、利益供与として見た場合も希薄だ。

 

だが行政が本来あるべき公平・公正という建前を、ここまでみごとに権力ずくでぶち壊したやり方は、かつて見たこともないし、結果があまりにも見苦しいと思う。

 

一見したところでは、国民が直接的に不利益を被っているわけではない。ただ、こういう「身内贔屓」は、例の「森発言」同様、21世紀社会の中でもっとも忌み嫌われる行為である。

 

このことはきちんと理解してほしい。この政治理念が理解できない総理の下では、行政の公平・公正性が担保されるとは思えない。だから、総理の引責辞任で止まる話でもないと思う。

 

こんなトップの下で暮らす庶民は、あたかも恣意的に身売りを強要される奴婢のようなものだ。トップのご意向を窺い、顔を下に向けつつ暮らすような社会はご免こうむりたい。