予定通り菅官房長官の圧勝に | がいちのぶろぐ

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自民党の総裁選挙は事前のマスコミ予想の通り、菅官房長官が地方票でトップの89票、国会議員票でも394票中288票と全投票数の73%あまりを集めて圧勝した。

 

石破・元幹事長は地方票こそ42票で2位につけたが、国会議員票は26票に止まり、合計68票で3位に沈んだ。岸田政調会長は地方票がわずか10票だったが、国会議員票を79票集めて合計89票で2位になった。

 

本当に、だから何?と言いたくなるほどの〝予定調和〟というか、〝そういうことですよね〟という結果だった。何の波乱が起こることもなく終わった。

 

そもそも安倍総理の病気退陣というスタートだったから、自民党内で派閥争いのような波乱の要素があったわけでもなく、その上に大派閥がこぞって菅氏を推したのだから、こういう結果になってしまう。

 

菅氏自身もテレビ討論などで「安倍政権の政策の継承」と訴えていただけに、少なくとも当面は、何かが大きく変わるということでもないだろう。

 

後はお定まりの人事配分ということになり、何派がどのポストを獲ったとか取られたという騒ぎが、新聞やテレビのニュースを賑わせることだろう。

 

ただ菅氏は、1948年生まれという団塊ど真ん中の世代で、もうすぐ72歳になる。二階幹事長に至っては80歳を超えている。日本の政治の世界では、世代交代が起こらないにも〝ほど〟があり過ぎる。

 

さらに言えば、菅氏や二階氏は世襲の国会議員ではなく地方議員から国会に出て行った人たちだが、自民党の国会議員の多くは2世、3世議員が占めている。

 

小泉進次郎環境大臣だって、父の小泉純一郎・元総理も2世議員だったから、3世議員ということになる。国会議員業が〝家業〟になってしまっているのだ。

 

この世襲問題だって、ずっと言われてきたことだけど改まるような状況は一切ない。また自民党の国会議員に占める女性議員の割合も、わずか7.8%に過ぎない。

 

そもそも女性の国会議員の比率は、日本は10.2%で世界でも最下位クラスの165位なのだ。

 

〝先進国〟では、G7の国々で6番目のアメリカの女性議員が23.5%で、その他の5か国はフランスの39.7%を筆頭にイタリア・英国・ドイツが30%以上、カナダが26.9%を女性議員が占めている。

 

日本の政治家はこんな状況なのだ。国会議員が〝家業〟となっている状態だったり、後期高齢者が居座り続けて老害と皮肉を言われたり、〝女性活躍社会〟などとお題目を掲げながら、世界最低レベルの女性議員比率だったりする。

 

そして今回もまた、50歳代の河野太郎防衛大臣は派閥の論理で出馬を見送らされて、60歳代2人と70歳代の戦いとなっていた。

 

まあアメリカの大統領選挙も、トランプ大統領にしても民主党のバイデン候補にしても70歳をはるかに超えているから、それも〝あり〟と言えば〝あり〟かもしれないが。

 

とりあえずこれで、毎日記者会見を行ってテレビ画面に登場してきた菅官房長官から、記者会見に現れる人が変わることだけは間違いない。

 

「平成」と書かれた額を掲げた、当時の小渕官房長官が後に総理になり、今度は「令和」の額を掲げた菅官房長官が総理になる。その間に30年余りの歳月が流れた。

 

しかし国内政治は、その当時と何も変わっていないように見える。一時的には民主党政権になったけれど、これも3年ほどの短命に終わり、また元の状態に戻っている。

 

「自民党をぶっ壊す」と言ってのけた小泉・元総理から20年が経って、やはり派閥は続いている。しかも、昔よりも反主流や非主流という立場の派閥が存在しない。

 

こうして、国会の中では何となく日が過ぎて、次は〝いつ解散・総選挙だろうか〟という話題に移って行く。

 

その間も国民の多くを占める勤め人は給与ベースが下がり続け、零細な事業者はコロナ禍にあえぎ、非正規従業員はどんどんと職を失って行く。

 

これまでは学校給食のおかげで、かろうじて食生活のバランスを保ってきた子どもが、コロナ禍によってやむを得ず家にいる間は、両親が働いているため家庭ではバランスの取れない食事になった、という報告を目にしたこともある。

 

早い話が、止むを得ざる〝育児ネグレクト〟状態になっているということだ。それによって学校が再開したら、急激に痩せたり太ったりした子どもが目につくようになったということらしい。

 

政治の谷間に落ちこぼれてしまったような、こうした様々な状況が日本全体にはびこっている。

 

菅官房長官から「安倍政権の政策の継承」ではなく、この国の〝現在の閉そく状況を打ち破る〟という、気概を持った言葉は聞けそうにない。これからもまた変わらない日々が続くのだろう。

 

安倍政権という長期政権が終わったのだから、せめてちょっとは明るい展望を描いて見せてほしいと思う。それが、政治家の本来の仕事だと思うのだが。