長梅雨にコロナ禍でうっとうしい夏に | がいちのぶろぐ

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明け方、強い雨になった。音を立てて雨が叩き付けていた。梅雨明けの宣言は、まだ一向に出される気配がない。長梅雨になっている。

 

今月初めの九州地方だけでなく、今度は東北の南部が豪雨に見舞われている。「五月雨を集めて早し最上川」という芭蕉の有名な句があるが、その最上川が氾濫をした。

 

五月雨(さみだれ)とは旧暦の5月に降る雨のことだから、今の暦で言えば梅雨の時期の雨を指している。芭蕉も、この季節の最上川の流れを見たのだろう。「最上川舟唄」という、〝筏流し〟の船頭が歌っていたとされる民謡でも知られている。

 

この川は、もともと日本三急流の一つに数えられるほど流れの激しい川である。また先日水害が発生した熊本県の球磨川も、この三急流の一つだった。

 

最上川は山形県の米沢あたりに源流を発し、山形県内を曲がりながら流れ下って、庄内平野を経て酒田市で日本海へそそぐ。

 

この川の水運を利用して、山形県産のコメや特産品の紅花が、河口部の酒田の町に集荷されて、北前船で京・大坂に運ばれていた。

 

だから酒田港には、農産物の産地問屋として、また廻船問屋を営むことで財を成した、本間家など多くの豪商が成立していた。

 

こんな歴史を持っていたのが最上川という川だった。だが今回は、最上川が中流域の辺りで決壊し、大変な被害になっている。

 

山形県のコメどころでは、あと1ヵ月もすれば収穫期だったけれど、これでダメになってしまった。九州に次ぐ東北の水害の影響で、全国ですでに野菜が高騰している。

 

コロナ禍に加えてこの水害である。〝泣きっ面に蜂〟が、まとめて千匹襲ってきたような気持ちになってくる。まさしく、とんでもない夏になろうとしている。

 

そのコロナ禍は、政府の「Go Toトラベルキャンペーン」が、やはり全国に感染を拡大させる効果を〝予測通り〟に果たしてしまったようだ。

 

昨日あたりから、大阪・京都・沖縄などでは「赤信号」が点灯しはじめている。4連休中に沖縄に出掛けていたグループが、全員感染していたという福井県からの発表もあった。

 

感染が今までゼロだった岩手県も、昨日、とうとう感染者が現れた。岩手県知事は、岩手がどうこうではなく、全国どこにいても感染する可能性がある、と発言していた。

 

これで「Go Toトラベルキャンペーン」そのものの意義が、また疑問視される事態になっている。感染拡大を後押ししている上に、ドタバタで何一つうまく機能していない、という旅行業界からの非難もある。

 

それでもキャンペーンを止める気配もなければ、あろうことか「Go Toイートキャンペーン」もスタートさせたいと、農水省が言い出している。

 

もうこうなれば、コロナ予算の省庁単位での〝分捕り合戦〟ではないか。それもこれも税金である。他人の財布だから、ここぞとばかりに権益拡大に血道を上げる。

 

見苦しいを通り越して、なにが「国民の公僕」だと言いたい。まさに、既得権益のための闘争ではないか。

 

これもすべて、こんなことを許している政治家を、長く選挙で勝たせてきた国民が悪いのだ。国民がこぞって、〝あなた方に、国の運営をお願いしたい〟と言った結果だ。

 

それにしても梅雨が明けない。今日もまた、陽光と降雨を何度も繰り返していた。

 

こうして、辛く厳しい夏を迎えることになる。豪雨と水害で収穫がダメになった農家も、コロナ禍で客足が途絶えた飲食店や旅館など、いろいろな商売も。

 

2020年夏。オリンピックに沸き返っているはずだった。それが、惨憺たる有り様になっている。これが今年の夏。長く生きてきて、こんな夏を経験するとは思ってもみなかった。

 

明後日になれば、もう81日。八朔の日である。今年は、下鴨神社の恒例の行事「御手洗祭」の池に入る〝足つけ神事〟も無くなった。

 

コロナという疫病とともに、それに便乗した人間という疫病神までも、うごめく夏になった。