トケイソウと言うのだそうだ。なるほど、見れば見るほど時計のように見える。開いている〝がく〟が文字盤の1から12を示しているように見える。
しかも3つにわかれた〝雌しべ〟がまるで時計の長針・短針・秒針のようだ。
昨日家人が、ご近所の庭のブロック塀に「覆いかぶさるように咲いていたから」と、花を少し分けてもらってきて、ガラス皿に浮かべていた。
〝つる〟性の植物でブロック塀をはい登って、ワッとばかりに塊りになって花を着けていたらしい。
夕方を過ぎると、少しずつ〝がく〟が閉じていった。夜の9時ごろにはすべての花が〝がく〟を閉じた。夜は〝がく〟を閉じて、朝まで眠るのだろうかと思った。
だけど今朝になっても、ガラス皿の花はすべて〝がく〟を閉じたままだった。きっともう枯れてしまったのだろうか。そうだとすれば、花の命とはこんなにもはかないものだ。
「やはり野に置け」ではないけれど、そのまま自然に枯れて行く方が良いのだろうか。それとも、いっときだけでもこうして食卓の端で、私たちを和ませてくれる方が良いのか。
私には何とも言えないけれど、それにしても珍しい形状の花だと思う。写真を見返してみても、本当に時計に似ている。でも自然界にあるこの花の方が先輩で、私たちが後から時計と呼ぶ機械を作った。
洋名ではパッションフローラというのだそうだ。この場合のパッションは「情熱」と言う意味ではなく、キリストの「受難」と言う意味だそうだ。時計に見立てずに、キリストの処刑に見立てたらしい。
この植物の種類で、実がなる種類はクダモノトケイソウと呼ばれ、その果実が「パッションフルーツ」だそうだ。
それにしても、何だか花には申し訳ないことをしてしまったような気もしている。