この時代はリピーター獲得が決め手に | がいちのぶろぐ

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昨日のブログで、情報を発信する場合、「誰に」向けて、「どんな情報」を、「どのように」発信すれば、相手が興味を持ってくれるかということを書いた。

 

情報を受信した時に興味を持ってくれるのは「どんな人」で、「どんなこと」に対して、「なぜ」興味を持つのか、ということを想像しながら発信すべきだということも書いた。

 

そもそも情報を発信するのは、まず「知ってもらう」ことが第一の目的である。昨日も書いたけれど、「知らない」ことは「存在しない」ことと同じだから。

 

「知ってもらう」ことが情報発信の第1ステップであり、第2ステップは存在を知ったから「来てもらう」という段階になる。

 

「来てもらう」ためには、情報を受信した時に「行こう」と思わせるだけの、魅力的な「タネ」が必要になる。しかもその「タネ」が、どれほど魅力的なものに思えるかという「仕掛け」も必要だ。

 

「こんな何もない田舎に、人は来るものか」と思ってしまえば、それ以上は何も起こらない。だが田舎にある古民家をリノベーションした宿泊施設が、人気を集めることもある。

 

日本人には「懐かしさ」や「思い出」のようなものを感じてもらえるし、今は無理かもしれないけれど、外国人観光客であれば「異文化体験」ということにもなる。

 

そうして何か「タネ」を作り出せば、一度は足を運んでくれるかもしれない。その「タネ」のおかげで来てくれたとしても、その時に満足感を与えられなければ、それで終わる。

 

〝一度だけのお付き合い〟という結果になる。だからこそ「顧客満足」が重要だ、と言われてきた。でも本当にそれだけでいいのだろうか。

 

「満足」とは、「事前の期待」が良い意味で裏切られた状態だと言える。行った結果が「事前の期待以上だった」から、満足したと思ってもらえる。

 

ただそれは、他の場所へ行っても起こり得ることだと言っても良い。ではリピーターとなって繰り返し来てくれるには、さらにどんなことが求められるだろうかという、第3ステップの対応が必要になってくる。

 

つまり第3ステップとは、「リピーターになってもらう」段階だ。だとすれば、「前に来た時と同じ」で良いのか、それとも「今度はまた違う」ということが必要なのだろうか。

 

これは難しいテーマになる。「前と同じ」だからうれしいという人もいれば、「来るたびに新しい」ことがうれしい人もいる。「変わらない良さ」と「変わる良さ」の選択である。

 

「変わること」を選択する場合には、そこに何かしら新しくなるための「タネ」があるかどうかに係ってくる。「タネ」がなければ変わりようがない。

 

見方を変えれば、一見したところ何も変わっていないけれど、前とは何かが違うという、同じ「タネ」でもそれをブラッシュアップするという「変わり方」もある。

 

第2ステップの「来てもらう」段階までであれば、他との「競争」の中で勝ち抜くことがポイントになるが、第3ステップを目指すなら「相思相愛」になる必要がある。

 

会えることがうれしいという、まさに恋愛にも似た感情だと言える。競争の中で勝つことより、その先の「相思相愛」になれるかどうかはとても難しいことだろう。

 

ただこの段階になれば、相手もこちらのために「尽くしてくれる」かもしれない。こちらが一方的に与える関係ではなく、相互に与え合う関係といっても良いだろう。

 

そうなれば、もうこちらが与える「顧客満足」ではなく、顧客にこちらを育ててもらう、というくらいの関係だとも言える。つまり「共創」や「協働」ということになる。

 

こうした相互の「信頼関係」といっても良い、忠誠心の高いファンを作り出すこと、これがリピーター作りだということになる。

 

となれば、こうしたリピーターに対しては明らかにワン・トゥ・ワンの情報発信になる。その「個」だけに向けた発信であり、中味は一般的な情報ではなくなる。

 

その「個」が知りたいと思われる情報を、その「個」のためだけに発信する。もっと言えば、その「個」から提案を受けたいために発信するくらいになる。まさにラブレターの交換である。

 

昨日のブログでも、顧客の総数にはおのずから限界もあるけれど、それでも集客増を目指すには、こうしたリピーター作りが欠かせないと書いた。

 

リピーターを増やすには、〝きめの細かい〟情報のやり取りが欠かせない。単に「またのお越しをお待ちしています」ではない、「あなたのために、こんな準備をしました」という情報が必要なのだ。

 

これからはウィズ・コロナの状態が当たり前になるだろう。そんな時だから、新しい顧客をどんどんと開拓するのは容易ではない。

 

第1ステップの「知ってもらう」段階はともかくとして、第2ステップで「来てもらう」客の総数が伸び悩むのなら、既存の顧客を深掘りしてファンを増やす以外に方法はない。

 

そんな時こそリピーターが安心して、また来ようと思ってくれるような内容を、情報発信する側が作り上げて、その情報をきちんと届けることが重要になってくる。

 

これからの情報発信は、それぞれの「個」に向けて、「あなたのため」にこんな準備をしたという、具体的できめ細やかな情報を届ける、ワン・トゥ・ワンの情報発信が決め手になると思う。