高校生たちが考えた京都像とは | がいちのぶろぐ

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今日7月17日は、本来であれば祇園祭のハイライト「山鉾巡行」が執り行われる日だったが、残念ながら今年は中止になった。

 

 

 

それでも本来の〝祭り事〟である八坂神社での神事は、今月1日から行われており、24日の還幸祭の日まで行われ、この間がお祭りの期間である。

 

祇園祭は疫病退散を願って1,100年以上も前に始められたものだが、応仁の乱のときには長らく中断したこともあるらしい。それはそうだろう。京都の街全体が戦場になっていたのだから。

 

それにしても、近年は大雨などで順延といったことはあっても、疫病のために中止とはちょっと悲しい気もする。

 

 

 

そして今日、私はお手伝いをしている高校の「総合学習」が1学期の最終回だったので、午後はずっと出掛けていた。

 

今日、生徒たちは学校の図書室に籠って、京都に関するいろいろな本を引っ張り出し、「京都の特徴」をあらためて洗い出していた。

 

 

 

グループごとにそれを8つのキーワードでくくり、さらにこの8つのキーワードから導かれるそれぞれ8つのキーワードに拡張させる、という作業を行った。

 

「ロータス・マップ」と言われる手法で、中心に1つのキーワードを置いて、その周囲を蓮の花(ロータス)状に8個のキーワードで埋めて行く。すると、合計64個のキーワードで埋められる。

 

大リーガーの大谷翔平選手が高校時代に、このロータス・マップに目標を記入し、さらに拡大して64個の目標に展開していたことを、何かの記事で読まれた方もあるのではないだろうか。

 

3×3のマスの中心に最も重要なキーワードが入り、それに関連したキーワードが周囲を埋める。次のステップでは、周囲の8個のキーワードをそれぞれの中心にして、また3×3のマスに埋める。

 

この作業によって、高校生たちがグループごとに考える「京都像」を作り上げて行った。でき上がって行く様子を見ていると、グループによって64個のキーワードは随分と異なってくる。

 

 

 

そしてそれぞれが、自分たちの思う「京都像」だということになる。横から眺めていても、なかなか興味深い結果になって行った。

 

もちろん歴史や寺社仏閣、庭園など、誰が考えても入って来るだろう、というキーワードが多くなっていたが、中には〝ホォー〟と思わされるものもあった。

 

見ていて最も秀逸だったのが、第1段階の8個の一つに「人柄」というキーワードが上がって、それを第2段階で展開すると「いけず」というキーワードが出てきた。

 

京都の人間の性格面での特徴を表す言葉の一つとして、「いけず」なのである。これは中々説明しにくいことばである。「意地悪」という言葉とは、似ているけれど少し違う。

 

「いけず」なのである。決して表立って人をいじめる、ということではない。むしろ表面的にはとても親切にする。だけどホントに肝心なところなどは、決して教えたりはしない。

 

これなど「いけず」の極意と言っても良いだろう。親切なんだけど、腹の底でホントの親切心は発揮されていない。極めて巧妙に立ち振る舞っているのだ。

 

この言葉を、図書室にあるどんな本から引っ張り出してきたのだろう。今の高校生の年代では、もう死語に近いと思う。「あの人は〝いけず〟な人やさかい」などと、私の母の世代はよく使っていた。

 

だいたいは、女性がよく口にする言葉だと思う。もし間違っていたら、京都の女性から総スカンを食うかも知れないが。

 

そう言えば国際日本文化研究センターの井上章一氏の著書「京都嫌い」でも、この言葉はたしか取り上げて説明されていたと思う。この本を探し出したのかな?

 

 

 

20人が一人当たり45冊の本をパラパラとめくって、キーワードを拾い出していたから、案外そんなことかも知れない。

 

また、京都がパン屋さんの激戦地だということも、いくつかのグループが取り上げていた。私も何十年間も朝はパンである。我が家の近くにも、数軒のパン屋さんが店を構えている。

 

このようにして、京都という町をあらためて見つめ直す作業を行った。

 

今年、この高校は夏休みがほとんどない。今月末に終業式があるけれど、さらにその後の1週間は補習授業があり、820日からは2学期が開始される。

 

正味は10日間ほどだけ夏休みになる。お盆が明ければもう2学期なのだ。高校生たちは、梅雨明け直後の暑い夏の京都に耐えて補習授業のために学校へ行く。これも気の毒な話だ。

 

Go Toキャンペーンなどは、どこか他人事になる。旅行などに行く暇もないほどらしい。がんばれ高校生!と、こちらが応援したくなってくる。