京都・島原遊郭周辺の町歩き体験 | がいちのぶろぐ

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さて今日は、朝10時から午後3時前までという長丁場で、京都・島原周辺の町歩きに行ってきた。同志社大学大学院のオープン講座「ソーシャルイノベーション研究プロジェクト」の一環だった。

 

 

 

この研究プロジェクトに参加している人たちで、「京都・島原地区」の活性化を目指して「半径3kmの旅」チームを結成し、その実地見学ということである。

 

 

 

「島原」というのは、江戸の「吉原」、大坂の「新町」とともに、江戸幕府公認の遊郭として栄えた場所だが、売春防止法の施行とともにその役割を終えた。

 

 

 

ただ現在も〝生きた文化財〟として、遊郭当時の揚屋(料亭)「角屋(すみや)」が公開されており、またお茶屋(かつては遊女の置屋)の「輪違屋」が営業を続けている。

 

また遊郭があった頃は土塀に囲われていたが、その当時をしのばせる「島原大門」も残されている、という独特の場所である。

 

10時にJR「丹波口」駅に集合し、この地区にある旅館と仕事上の付き合いのある方が引率となって、まずは「島原西門跡」へ。

 

 

 

そこから少し南東に行くと、「角屋」がある。ここは今もいわば博物館として公開されている。その角屋の北側には、平安京の頃の「東鴻臚館(ひがしこうろかん)」の石碑がある。いわば、都の入口の羅生門近くにあった迎賓館だった場所。

 

 

 

そして「角屋」は現在、コロナ禍のために休館中だったので、表側から外観だけを眺めた。この建物の2階の部屋には、新撰組が着けた「刀傷」の跡もあるということだった。

 

 

 

 

 

さらに少し東へ行くと、「近清(きんせ)旅館」がある。ここも築百数十年という建物で、現在も旅館営業を行っているが、1階にあるカフェがオープンしていた。

 

 

 

 

このカフェは大正モダンと言えばいいのか、ステンドグラスや古めかしいライトなど、とても趣きのある佇まいになっている。ここで、コーヒー休憩となった。

 

 

 

 

一服した後は、現在も営業しているので「拝観謝絶」になっている「輪違屋」の外観を眺めてから、すぐ近くの「島原歌舞練場跡」へ。

 

 

 

 

今度は南へ行って、京町家をリノベして現在はシェア・ストアとなっている京町家へ。1階はオシャレなカフェと、レンタルスペースに雑貨の店。2階は古着ショップとして使われている。

 

 

 

町家の通り庭の台所部分には、いろいろな展示なども。その横のかつては茶の間だったスペースが、おしゃれなカフェに生まれ変わっていた。

 

 

 

 

さらに東へ「島原大門」を出て、いったん島原遊郭から離れた。大門の前から東へ延びる通りは「島原商店街」になっている。といっても、ほとんどのお店が閉まった状態で、商売を続けているのは10軒もあるだろうか。

 

 

 

 

中には太夫最中などを売っている和菓子店や、「乙文(おとぶん)」という料理屋兼仕出し屋もあった。多分このお店から、島原遊郭のお茶屋へ料理の仕出しをしていたと思われる。

 

 

 

 

 

東に向かって大宮通りまで来ると、旧・淳風小学校と旧・下京図書館のレトロな建物がある。そこからしばらく南へ行くと、西本願寺の裏手から「龍谷大学大宮学舎」に出会う。

 

 

 

この龍谷大学大宮学舎の建物の多くは、国の「重要文化財」に指定されている。だけど、どうにも京都には重要文化財などが多くあるために、「フーン、ここもか」くらいの感覚になってしまう。

 

 

 

 

その後は、七条通りをまた西へとって、あらためて島原地区へ戻った。そして「湯の宿 松栄」という旅館で、引率の方がこちらと仕事上の付き合いがあるということで、旅館の方に現状のお話をうかがうことができた。

 

 

 

ただし旅館の表の駐車スペースで、少し離れて輪になっての立ち話という次第。三密対策をした形のインタビューだった。

 

その後、この旅館が経営している食事処でやっと遅い昼食。食事をしながら、参加したメンバーで感想や意見交換を行い、ここを出て解散したのはもう3時近くになっていた。

 

 

 

今日、町歩きの際にスマホで撮影した写真は、なんと120枚にもなっていた。とても全部は紹介しきれないけれど。こんな場所が「島原地区」である。

 

 

 

要するに「島原遊郭」のすぐ北側には京都中央卸売市場があり、南東側は甲子園の高校野球で有名な平安高校、その北側には西本願寺、という場所である。

 

また七条通りの南側には、京都水族館や鉄道博物館がある梅小路公園がある。つまり、「半径3kmの旅」は、こうした施設に西本願寺、そして島原の角屋を組み合わせればいい。

 

これを全部回るのは、1日では無理な行程になる。だから、「歴史好きコース(西本願寺と島原)」と、「ファミリーコース(水族館または鉄道博物館と角屋)」という設定も考えられる。

 

いやどうも、これは京都市民でもそれぞれの場所へ個別に行くことはあっても、島原と組み合わせて行くことはない。あらためて、何か仕掛けられるのではないかと思えた。

 

さらに言えば、おしゃれなカフェやダイニングも何軒かあったけれど、何より目に着いたのは「ゲストハウス」「簡易宿所」の多いことだった。

 

 

 

それも京町家の長屋をリノベしたものや、町家そのものを1棟貸しするタイプの簡易宿所である。これらがものすごく数多くできていた。

 

 

 

 

 

こんな町歩きの一日だった。あまり暑くもなかったけれど、それでもメタボの私は、下着に汗が塩を吹くくらいには歩いた。距離にして4kmは歩いた勘定だった。