全国に緊急事態宣言が出されて最初の週末だが、京都の観光地も全くのガラガラだとテレビニュースが伝えていた。みんな家に籠っているのだから仕方がないことだろう。
(昨日のニュースでの清水寺参道の様子)
ところで、昨日配信されたダイヤモンド・オンライン誌で、経営コンサルタントの小宮一慶氏が「コロナで変わる働き方、地方企業に訪れるビジネスチャンスの生かし方」という記事を書いておられた。
その記事の書き出しで、「このウイルス騒動で、私は『未来が早くやってきたのではないか』と思う」と書いておられたので、興味を覚えて読んでみた。
記事の要点は、在宅勤務が増えたために、オンラインを利用して仕事をすることが急速に一般化した。だからこれを逆手にとって、事業所在地がどこであっても、色々なことができるだろう、ということだった。
つまりテレワークが一般化すれば、「地方企業にもビジネスチャンスがあるということを示して」いるという内容だった。
たしかに一理ある話だと思う。これまでは、ともすれば東京と地方との格差とか、事業所が大都市圏にあることで、人とより接しやすくなる利点がある、といったことが語られてきた。
そうした大都市圏とそれ以外の地域の落差が、テレワークが普及すれば、かなりの部分は解消に向かうだろう。
つまり大都市圏に情報が集中するという話を鵜呑みにせず、一歩離れて眺めてみれば、現在はどこにいても情報を入手することは可能だと思える。情報格差は、もはやそれほど大きくはない。
ただそんな状況になっていても、大都市圏とそれ以外の地域には、なお埋められない格差があると思われる。そこのところを、小宮氏はうまく説明しておられた。
小宮氏は、「東京や大阪のような大都市には『おもろげ』な人がたくさん集まっていて、さまざまな刺激を与えて」くれるという。
ここで「おもろげ」と表現されていることは、何かしら〝人に刺激を与える面白さ〟ということらしい。大都市圏は人口が多いから、その分だけ他人とは異なった考え方をする人も多いだろう。
その点、「地方都市にはなかなかそういう場がない」から、自然に「地方企業の経営者には、他者と刺激を与え合う姿勢に欠けている人が少なくない」と、小宮氏は指摘される。
だから小宮氏は、「こうした環境の違いが、経営者としてのやる気やひいては業績の格差にもつながっているのではないか」とも述べておられた。
全ての「地方都市」にある企業やその経営者が、必ずそうだとは言えないけれど、確率的な可能性としては言えるだろうと思う。
つまり人口が少ない地域にいるということは、「同じコミュニティーの中で、いつも同じ人と顔を合わせて同じような話をしている」という状況に陥りがちである。これはその通りだと思う。
いつも同じメンバーで話していては、変わった話は出て来なくなる。これが大都市圏だと、「おもろげ」な人と出会って、「さまざまな刺激」を受けられるということだ。
ところがこの間のウイルス騒動で、大都市圏では夜の飲み会などの外出もできなくなったから、「Zoom飲み会」と称するオンラインでの飲み会も結構活発に行われているらしい。
(Zoomはセキュリティ問題なども言われてはいるが)
〝居酒屋談義〟などというものは、決まったテーマがあるわけでもなく、気の合った仲間が集まって、ワイワイとおしゃべりを楽しんだり、時には愚痴を言ってみたりする。
この集まりを、自宅の部屋に自前の酒を準備して、気の合う仲間でオンラインの〝だべり会〟を行う。こうしたことが「Zoom飲み会」として行われるようになっている。
私もフェイスブックなどで、そうした飲み会の報告を目にすることもある。私は今ではテレビを肴に独り酒を飲んでいるが、昔は気の合う仲間と話しながら飲むことも多かった。
こうした〝居酒屋談義〟も、参加する顔触れが固定化すると、自然に話も固定化してしまう。人口が少ない地域であれば、顔触れの固定化がいっそう起こりやすい。
そこで小宮氏は、「経営者は地方に安住せず、ネットでビジネスのきっかけを築いたのなら、少なくともウェブ会議や電話などで直接話すことで関係を強化」すべきだと説かれる。
特に男性のビジネスマンの場合には、電話をするだけだと相手の顔も見えないから、相手のその時の状況もわからないので、ついつい必要事項を話せば終わりになることも多い。
それがオンラインで顔を見ながら話をすれば(それにお互い酒でもあれば)、相手の状況に気を使うこともなく、ゆっくりいろいろな話もできるだろう。
「コミュニケーションは『意味と意識』の両方が必要」だから、「直接話す、顔を見て話すなどをしたほうが、意識がより伝わりやすい」と、小宮氏も解説しておられた。
ただ、こうした「Zoom飲み会」などは、誰かが仕掛けてくれないと実際にはなかなか開催できない。特に「地方都市」であれば、大都市圏にいる人とのオンライン飲み会は、なおさら機会が少なくなる。
(最近はZoomに代わってREMOが注目されている)
そこで、大都市圏とそれ以外の場所をつないで、こうしたオンラインでつながる機会を作れる人がいることも重要なポイントになってくる。
小宮氏が言われていることは〝もっとも〟なのだが、小宮氏自身も書いておられたように、地方都市に存在する企業は「規模も小さいため、いわば『こぢんまり』とでも生きられる環境」にあることも多い。
そんな状況であれば、仮にオンライン飲み会のような機会が欲しいと思っても、それに参加する〝きっかけ〟がまず必要なのだが、それが得られないから困っている、というのが現実だろう。
こんな時こそ、大都市圏にいるコンサルタントなどが音頭を取って、様々な人がオンラインでつながれるバーチャル(仮想)の飲み会を主宰してくれたら、参加する人はきっと少なくないと思う。
交通費や宿泊費、飲み屋さんへの支払いも要らないから、事前に多少の参加費を振り込んでも、「地方都市」の経営者にとってはきっとお釣りが出ると思うのだが。