清水寺に賑わいが戻る日が来ることを | がいちのぶろぐ

がいちのぶろぐ

環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

午前中に所用があって、小学校時代の旧友を訪問していた。彼は清水寺の参道にある門前商店街で、長年にわたって清水人形を制作・販売していた。

 

それが今では参道に面するかつての店だった部分を、ソフトクリームを売る店に貸して、自分は奥の住居に住み、近くにある工房で寺社に納める縁起物の土鈴などを作っている。その仕事も、ほとんどは息子さんに任せているが。

 

今日は、今年のクラス会をどうするか相談するために訪問した。それは大筋で落ち着くところに落ち着く話になったのだけど、清水寺の参道は一時と比べると随分と空いていた。

 

 

 

昨年の秋に訪問した時には、参道は押すな押すなの状態で、彼の家まで歩いて行くのも一苦労だった。それが、今日も人出はそこそこあったけれど、すいすい歩いて行けたのだ。

 

おっと間違った。清水道のバス停から清水寺までは、行ったことがある方はご存知だと思うが、かなり急な上り坂である。だから私は、すいすい歩いている若い人を横目に、息を切らせながら歩いていた。

 

坂の途中に、私たちが卒業した清水小学校の昔の校舎がある。そこが高級ホテルに生まれ変わるということで、この間はずっと工事が行われていた。それが一応は完成したようだが、まだ開業には至っていない。

 

 

 

そのホテルとなった校舎の辺りで、一度立ち止まって一息入れないと、彼の家まで一気には上がって行けない。何とも情けない話だ。子どもの頃は、小走りに上っていた坂だが。

 

それにしても、随分と人出が少なくなっている。先日は嵐山に出掛けてみたが、こちらも随分と人出が少なくなっていた。清水寺も同様に、観光客の姿が少なくなっていた。

 

それでも、和服姿の若い女性は多かった。ただし、聞こえてくる言葉はすべて日本語だった。以前なら、着物を着ている若い女性はほぼ中国語で話していたから、それを思えば随分と変化した。

 

 

 

ちょうど今は、休校措置と関係なく大学が春休みの時期だから、大学生が旅行に訪れているようだ。それで、和服姿で京都の町歩きということだろう。

 

彼の家から帰る時にも、清水寺のすぐ下から産寧坂、二年坂、高台寺の前の「ねねの道」を通り、石塀小路を抜けて八坂神社の前の「祇園」バス停まで歩いた。

 

 

 

このコースは、観光客にとってゴールデンコースだと思う。京都に行ったという気になれる散歩道の一つだ。私には、小学校の頃の通学路を通っているようなものだが。これだけでも、2km以上歩いたことにはなった。

 

 

 

そんなわけで、彼とは30分ほど近況報告と言うか、お互いの〝体調報告〟を兼ねて話し込んでいたけれど、その時に彼が面白い話をしてくれた。

 

清水寺の門前の土産物店などの集まりで、以前から旧友は「外国人の客が増えても、いつ何が起こるかわからないから、リピーターを増やす工夫がいる」と言い続けてきたという。

 

私とも、よくそんな話をしてきたから、彼は今回のウィルス騒動とは関係なく、ここしばらく続いていた「外国人観光客バブル」を気にしていたのだ。

 

 

(昨年秋の清水寺の前の光景)

 

今日もその話になり、彼が「こんな状態になってから、さあ困ったと言い出す店が増えた。今まで何度も忠告して来たのに」と言っていた。

 

彼には、「外国人観光客バブル」が終わる日が来ることも想定の範囲内だったと思われる。ただリピーターと言っても、清水寺に京都に住む人が何度も足を運ぶことは少ないだろう。

 

となればリピーターとして来てくれるのは、やはり近隣の大阪・神戸などからの観光客が中心になる。そして清水寺まで出掛けてくれるのは桜や紅葉の時期となる。

 

だが、その時にあまり混雑しているようなら、〝わざわざ混んでいる清水寺でなくても〟と、つい二の足を踏んでしまう。

 

 

 

だから、それを押してでも来てもらえるようにするには、何が必要かを考えるべきだというのが、彼が常々言っている意見だった。この考えは、とても正しいと思う。

 

今年はウィルス騒動で中止になったけれど、3月の中旬には「東山花灯路」が行われているし、桜の季節の3月下旬から4月初めには、清水寺の「夜間特別拝観」が行われる。

 

 

 

この特別拝観は、今年も3月27日(金)から4月7日(日)にかけて、ウィルス騒動に負けずに実施するという。これは、夜桜のライトアップがメインになる。

 

さらに20年ほど前からは、「青龍会(せいりゅうえ)」というイベントも始めたという。この〝青龍〟は、京都の町の東に当たる清水寺だから、「四神相応」の中の「東=青・龍」にちなんでいる。

 

 

 

ついでに言えば、「南=赤・朱雀」であり、「西=白・虎」、「北=黒・玄武(亀)」となる。

 

それで3月1415日の東山花灯路の時期と、桜が満開となる時期の4月3日、それに9月1415日に「青龍会」を行っている。

 

このイベントは、主役となる長い青龍を担いで歩き、その回りを四天王などに扮した人々が護持しながら、行列が清水寺から参道を練り歩く。

 

 

 

観光客にとっては、「インスタ映え」がするイベントだということだ。桜や紅葉は「静」のイベントだが、この「青龍会」は「動」のイベントだということもできる。

 

つまり、ただ〝桜の季節ですよ〟と言うだけでなく、〝夜には桜のライトアップを行いますよ〟とか、〝昼間はこんなお祭りもやっていますよ〟と、来た人が喜ぶ「仕掛け」を様々に行うようになった。

 

こうした努力が積み重なって初めて、日本人観光客にも〝また来ようか〟と思ってもらえるようになる、というのが彼の意見だった。

 

どの観光地にも、こうした先を見通せる人がいると思う。それが、このウィルス騒動で観光客が激減するまでは、彼の意見をわかってくれる人もなかなかいなかったらしい。

 

 

 

それなりにイベントなどの「仕掛け」はするようになったけれど、考え方の基本のところで、リピーターに目を向けることは残念ながら少なかったということだ。

 

今日も彼は、「やっと言うことが通りやすくなった」と笑っていた。何とかこのピンチを乗り切って、清水寺の界隈もまた賑わいが戻って来て欲しいと思う。