サービス業で顧客が激減したら戦略を見直すべきだと | がいちのぶろぐ

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環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

新型コロナウィルスの〝騒動″が、止まるところを知らない。各種の大型イベントは、次々と中止になったり延期になったりと、国内では〝変な″自粛ムードが広がっている。

 

 

 

昨日もこのブログで書いたけれど、中国からの観光客が激減したために、京都の観光地では閑散とした状況になっている。

 

 

 

今日のニュースでは、観光バス業界が〝絶望的″と言えるくらい需要が激減したということだ。一時期は、すぐには観光バスの手配ができないほど、供給がひっ迫していたのがまるで嘘のようだ。

 

それもこれも、中国から大量に来ていた観光客が消えたことによっている。それくらいに、この状況は〝底の浅い″好況だったということだ。

 

もちろん、一時的にせよ大量に仕事を発注してくれる顧客があることは、それぞれの事業にとってはありがたいことである。

 

しかし、その顧客からの発注がストップした途端に、売上げも激減すれば、新規の設備投資も回収できないということは、製造業で過去に何度も経験してきたことだ。

 

以前にも指摘したけれど、かつての製造業と同じように、「親亀こけたら」という状態が起きつつあるのが、現時点でのとりわけサービス業の状況だ。

 

ただ小売業では、中国人観光客のいわゆる〝爆買い″が終わった時点で、一度こうした状況が起こったので、その時にある程度の教訓を得ているだろう。

 

しかし宿泊施設や観光バスといったサービス業では、今回初めてそうした急激な増加→減少という状況を迎えたことになる。

 

だから、この状態からどのような打開策・転換策を採るかが、それぞれの企業の戦略ということになる。サービス業の中でも、とりわけ宿泊施設や観光バスといった事業は、「待ち」の要素が強い事業である。

 

自ら積極的に営業活動をすると言っても、それは同業他社との競争関係の中で、顧客から自社を選択してもらうという意味の営業活動である。

 

そもそも、その業界全体の需要が激減すれば、営業活動も何もないことになる。それは、結局のところ従来の販路が思ったより狭かった結果だということになる。

 

だから〝これまで″の大口客だけでなく、他の顧客にも販路を拡大する以外には、採り得る新たな戦略はないと言ってもいい。

 

だからこそ今回は、こうした〝戦略の見直し″の絶好の機会だと、前向きに捉えればいい。この機会に新たな顧客開発を考える、ということに他ならない。

 

長期的に見れば、世界での人間の移動はこれからも増え続ける。だから自分たちは、これからどのような顧客に焦点を当てて営業をするかという、顧客像の描き直しである。

 

海外の顧客を当て込むことは今回の事態で懲りたから、国内の顧客に焦点を当て直すということも一つの行き方だ。ただし、その場合にも、国内客のニーズを探り直す必要がある。

 

また欧米系であれ東南アジアであれ、それらの顧客に焦点を当てるなら、その行動パターンやニーズを考えることが必要になる。

 

いずれにしても、それにはきちんとした戦略とマーケティング活動が必要になる。「待ち」の仕事だから〝来た注文″を受けるだけ、というのでは〝闇夜の航海″となってしまって先が読めない。

 

そこを自らの主導の下で、新たな方向を見出してゆくために考える、という作業が求められる。この戦略転換は簡単ではないかも知れない。これまでとは異なる考え方になるから。

 

さらに営業活動だってこれまでとは異なるから、どうすればいいかがわからないかも知れない。どこに向かって、どんな営業活動をすればよいか、から始めないといけない。

 

これまで「待ち」に徹していた事業なら、これから「攻め」の姿勢に転換すること自体が、初めての経験ということになるかもしれない。

 

それを避けていたのでは、いつまでたっても企業体質は変わらない。事業構造が大きく変われば、企業体質もそれに適応して行かない限り生き残りは難しい。

 

今回は、これまでの自分たちの企業体質を変革する絶好の機会だと前向きに考えて、一度戦略からマーケティングまでを考え直してはどうだろうか。