あなたも是非社会を豊かにするために | がいちのぶろぐ

がいちのぶろぐ

環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

梅雨が明けたと思ったら、早速に台風6号が潮岬の南の海上に。明日の朝には潮岬に接近しそうだという。

 

学校が夏休みの週末なのに、太平洋側の海水浴場では、とても海水浴どころではなさそうな〝雲行き″である。海の家などは、泣くに泣けないだろう。中々上手く行かないものだ。

 

さて昨夜は、同志社大学大学院の「ソーシャル・イノベーション研究プロジェクト」の前期の最終回で、成果発表会だったので参加をした。

 

 

 

今学期は参加者が20名ほどで、3つのテーマについて発表が立行われた。それぞれ、「社会的養護施設作りの提案」「大人の引きこもり~8050問題への理解」「高齢者の孤立・孤独解消に向けて」というタイトルだった。

 

最初のグループのテーマは、何らかの事情で、親と離れて暮らすことを余儀なくされている子どもたちの中で、ある程度の年齢に達した子どもたちが、上手く社会生活に入って行くために支援をする場作り、に向けた提案だった。

 

次のグループは、最近話題に上がることが多い「老親と、中年になったその子どもの引きこもり」という問題に対して、中年に達した子どもが置かれている状況を、社会がきちんと理解する機会を作る、という提案だった。

 

最後のグループは、高齢化社会の中でも、独居老人など孤独な生活となり、社会的にも孤立しがちな高齢者が、集い話ができる場=カフェ作りをしよう、という提案だった。

 

いずれも今日的な課題であり、それぞれに何らかの対応が必要なテーマだ。だけど行政にとっては、児童相談所や社会福祉担当者も、抱えきれないほどの案件を抱えて、手が回りきらない問題でもある。

 

 

 

こうした問題の氷山の一角として、それこそ〝事件性″のある状態が生まれた時には、マスコミが行政の至らなさを責める、という構図になりがちなテーマばかりである。

 

これらのテーマは、日常的にそれこそいっぱい起こっていることだけど、自治体としては、個々の問題にまで手を差し伸べる余裕はまったく無い、ということだ。

 

こういうところにこそ、NPO組織の存在意義がある。私が関わっている「定住外国人支援」の団体でも、「外国人女性が何でも話し合える会」という形式で、外国人と日本人の女性だけの集いを定期的に開催している。

 

女性だけの集まりだから、当然ながら私は参加していない。だが、毎回1550人ほどの国籍もバラバラな女性が集まり、「やさしい日本語」を共通の言葉として、週末の午後に3時間ほど「国籍を超えた井戸端会議」を行っている。

 

 

 

この場で、外国人女性が日常生活に必要な様々な情報を、集まった人たちから入手し、自分の生活に役立てている。

 

特に、国際結婚で日本に定住した女性の場合は、正規の日本語教育を受けていないケースも多く、日本語の習得にも苦労しているという実情がある。そこで、こうした井戸端会議を通して友人・知人を作ったり、情報を得たりすることになる。

 

こうしたことも、これまで行政サイドでは中々拾い上げにくいテーマだった。最近は、多言語や「やさしい日本語」で、医療・教育・子育てなどの情報発信を始めた自治体が、やっと出てきたところだ。

 

こうした状況に対して、先月まで開かれていた国会で、「日本語教育推進基本法」という〝理念″の法律が制定された。これからは、それぞれの自治体が、この法律に具体的な肉付けをして行くことになる。

 

情報化が高度に発達した現代社会でも、その片隅では、様々な理由によって取り残されがちな人々の存在がある。昨日の発表でも、どうすればこうした人たちにも手を差し伸べられるか、ということが主たるテーマだったと思う。

 

どのテーマを考えてみても、難しいテーマばかりである。その上、人手も経費も必要になる。NPO団体という、財政的な基盤が弱い組織だけでは、中々にないきれないテーマである。

 

片方で「人手不足倒産」などと言われる状態があり、追う一方で非正規雇用の人たちの貧困という問題がある。しかもその非正規雇用が、結婚や子どもをあきらめることにつながっている。

 

日本社会が、少しずつ「いびつ」になっているような気がする。そして「いびつ」な部分の〝しわ寄せ″が集まったところで、押し潰されそうになり、あえいでいる人たちもいる。重い課題をあらためて認識させられた、そんな昨夜の最終発表会だった。

 

この同志社大学大学院の「ソーシャル・イノベーション研究プロジェクト」も、9月下旬から、秋学期が新たに開講する。

 

今回のような重い課題だけでなく、社会のどこにでもある、ほんのちょっとしたテーマであっても、それが社会を豊かにするテーマなら、どんなことでも対象になる。

 

授業への参加費も炒らないし、年齢・学歴もいっさい不問である。夜の8時過ぎからの時間枠だから、社会人でも参加しやすいので、是非一度、覗きに行ってほしいと思う。