暑気払う足つけ神事に悲鳴聞き | がいちのぶろぐ

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台風6号は今朝、三重県の南部に上陸して、お昼ごろには名古屋市の辺りを通過したらしい。小型の台風とはいえ、どうか被害が出ませんように。足浸け神事に

 

夏休みの週末に、こうして台風が来たのでは、海の家の営業などはホントに被害甚大だろうし、出掛ける予定だった子どもたちも、さぞかしがっかりしていることだろう。

 

最近は若い人たちが、冬であればスキーやスノボ、夏なら海水浴などに、あまり出かけなくなったということだが、そうなれば、こうしたスポーツ用品を扱う企業なども困っていることだろう。

 

若い人たちは、休みをどのように過ごしているのだろうかと、他人事ながら気になってしまう。家にいてスマホをいじり、ゲームでもしている、ということなのだろうか。

 

外出をすればそれなりにお金もかかるから、家でおとなしく過ごしているのだとしたら、そのこと自体が大きな社会問題なのかもしれない。

 

そんな状態が続いていたら、消費が上向くこともないし、景気の回復などはほど遠い話になる。そして何よりも、社会全体が何となく沈んだ気分になってしまうだろう。

 

ところで今日27日は「土用の丑の日」である。あの平賀源内先生が、18世紀の半ばに、売れ行きが落ち込んでいた鰻屋さんに頼まれて、「土用の丑の日に、栄養豊富な鰻を食べて夏を乗り切ろう」というPRキャンペーンを行ったらしい。

 

 

 

それ以来、土用の丑の日=鰻を食べる日ということで定着したらしいのだが、天然モノの鰻に脂がのって美味しいのは、冬眠前の晩秋だそうだから、まあ平賀先生も〝してやったり″なのだろう。

 

そこで、京都の世界文化遺産の下鴨神社(賀茂御祖神社)では、この「土用の丑の日」の前後の時期には、暑い夏を乗り切るための、「御手洗(みたらし)祭」が行われる。

 

俗に「足つけ神事」とも言われるが、下鴨神社の境内にある「御手洗池」の、冷たい池の水に参拝客がジャブジャブと入って行って、ローソクの灯明を供えるという行事である。

 

 

 

この御手洗池は、5月の葵祭の時に、祭りのヒロインである斎王代が池の水に手を浸けて「禊(みそぎ)」を行い、身を浄めるという〝ありがたい″場所である。

 

そこへ〝水虫持ち″だろうが何だろうが、われわれ庶民が問答無用でジャブジャブと入って、「ヒャー、冷たい」などと言いながら池を歩き回る。まぁ、〝罰当り″な行事である。

 

 

 

そんな行事なのだが、私はこれまで、灯されたローソクが美しく見える日暮れ以後に出掛けていた。そこで昨日、日のあるうちに、この行事の様子をしっかりと見ておきたいと思い、日没前の時間帯に出掛けてみた。

 

幸いにも我が家から下鴨神社までは、徒歩15分余りという距離なので、短パンにTシャツ、ビーチサンダル履きで、首にタオルを巻いた姿て出掛けた。

 

参道には露店も並び、鳥居をくぐった内側にも、神社にゆかりの京都の老舗の店などが、テント張りの店を出していた。そんなテント張りの中に、ラグビー日本代表の〝赤白に桜のジャージ″が懸けられた店を発見。

 

このジャージが懸かった店は、なんと、我が息子の小学校時代の親友の実家だった。その親友のお兄さんが、店の前に立っておられた。

 

この方は、社会人ラグビーのトップ・リーグが創設される前に、サントリーのチームで大活躍をされていた方。だから〝桜のジャージ″が懸けられていたのだ。家人とその方のお母さんも知り合いの仲。それでしばらく立ち話をしていた。

 

下鴨神社に着くと、朱塗りの楼門が夕日に照らされて赤く染まり、ライトアップよりも美しいくらいになっていた。何はともあれ本殿にお参りを済ませてから、御手洗池に向かう。

 

 

 

日没前だけれど、もうかなりの人出だった。日が暮れてからでは危ない、ということもあるのだろう、小さな子どもさん連れの姿が特に目に着いた。

 

 

 

灯明代として300円を支払い、ローソクを受け取って、仮設のスロープを通り御手洗池の中へ。周りで「冷たい~」と悲鳴が上がる。たしかに冷たい。この池に流れ込んでいるのは、湧き水なのだ。だから冷たい。

 

 

 

京都は地下水が豊富で、市内には数多く「名水」と言われる井戸が存在している。また豆腐が発達したのも、井戸から地下水を汲み上げて豆腐を作ったから。京町家には、井戸が必ずの付き物だった。

 

ジャブジャブと池の中を進み、ローソクに火を灯してお供えをした。この池の水深は、短足の私の膝下ギリギリというところで、小さな子どもなら溺れるくらい。

 

 

 

後は池から上がって、首に巻いていたタオルで足を拭い、ビーチサンダルを履いて帰るだけ。京都の暑い夏に、冷たい水に浸かって一息入れるという、この時期ならではの行事だと思う。

 

昔は当然ながらプールなどもなく、子どもは川遊びもできただろうが、大人のそれも女性がジャブジャブと水の中に入って、涼を求めるということもできなかっただろう。

 

こうして、夏を乗り切る神事という名目があれば、女性でも浴衣の裾をまくって、水に足を浸すことができる。中々、知恵のある人がいたと思う。ひょっとして〝下心″のある人が発案していたりして。

 

 

 

そんな夏の恒例行事に、このところ毎年出掛けるようになって気付いたのだが、こんな行事にまで、外国人観光客の姿が多くなっているのだ。どうして、情報を手に入れているのだろうかと、少しばかり感心する。

 

帰り道は、池の冷水で冷やされた足が、かえって火照って来る。そう言えば、この下鴨神社の境内には、最近できた末社のお社がある。これが日本ラグビーの「第一蹴の地」を記念したお社なのだ。

 

 

 

この下鴨神社の境内で、旧制・京都一中と旧制・第三高等学校の生徒が、ラグビーを行ったというのだ。だからこのお社の「賽銭箱」も金色のラグビーボールが輝いていた。

 

 

 

先ほど境内の店で出会った、元・サントリーのラガーマンも、縁に導かれて店を出していたのだろうかと、少し不思議な気がした。