頑張った 成果を示した 生徒たち  | がいちのぶろぐ

がいちのぶろぐ

環境問題と経営の接点、中小企業の戦略やマーケティング活動,
観光・伝統産業関連などについて、「がいち」が考えたこと、思ったことを書きとめてゆきます。

今日はお手伝いをしている高校の「総合学習」で、再来週の校内発表会を前に、その予行演習も兼ねたクラス内での発表が行われた。

 

それぞれのグループは、45人で構成されていて、対象としている「嵯峨・嵐山」地域が将来どのようになって行ってほしいかを、各グループが自分たちの考えるテーマに沿って考えてきた。

 

 

 

テーマの設定から、現状の分析とそこから見えてくる問題点、さらにそれらから導き出される課題を探し出した。その課題に対して、自分たちなりの解決策を提案するところまでを検討を重ねてきた。

 

こう言えば、この実質8カ月ほどの期間の道筋が、立派過ぎるような気もする。グループによっては、途中で迷走したり、やる気を失いかけたりもしていたから。

 

最初の頃は、男子生徒が〝横着″を決め込んで、適当に〝やっつけて置けば″何とかなるだろうという気持ちが見えるグループもあった。そのグループは、12月の半ばには結論に至る道筋が見えなくなりかけていた。

 

さすがにこれでは〝まずい″と気付くことになった。だから年末の最後には、あらためて現地に出向いて最後のフィールドワークを行っていた。その結果、今日の発表ではそれなりの形にまとまっていた。

 

その他のグループも、女子生徒だけで構成されたグループでは、自分たちで「苔テラリウム」をたくさん作って、同学年の教室に置いておき、それを見た感想についてのアンケートを行っていた。

 

また「日本庭園の良さ」を、若い人たちにもっと知ってもらいたいと考えているグループは、プラスチックの浅い容器や、石や白砂などをDIYショップで買いそろえ、枯山水の「ミニチュア庭園」を作って、日本庭園の成り立ちの説明材料にした。

 

 

 

日本庭園には「見立て」という考え方があり、石組みが滝や渓谷を表したり、白砂が川の流れや大海を表したりする。そうしたことをこのミニチュア庭園を見せることで、庭園の鑑賞の仕方を伝えようとしていた。

 

また外国人観光客に対して、災害時にはどのような情報を、どんな手段で発信すればよいかを考えているグループは、嵐山地区の商店会の方々へのヒアリングや、嵐山を音摺れていた外国人観光客へのインタビューを行ってきた。

 

 

(台風で壊れた渡月橋)

 

自分たちの思い描くイメージと、地元の方々の考え方、情報を伝える相手の外国人観光客の要望との違いを整理し、その間の落差を埋めるための方法について、議論を重ねていた。

 

このグループは、横で議論を聞いていても、とても優秀な生徒たちだということがよくわかった。考えるべきポイントが明確であり、また何が必要で、何が実現可能かを、繰り返し議論していた。

 

こうして8か月間にわたって、自分たちが考えてきた内容を10枚前後のスライドにまとめ上げ、今日、クラス内の他のグループに向かって発表を行った。

 

今日はそれぞれのグループに対して、クラス内でもかなりの質問が出た。今日の発表時に出た質問や、全員がそれぞれのグループに向けて書いたコメントを基に、来週は説明不足だったところを補って、再来週の校内発表にのぞむ。

 

こうして発表内容をじっくりと聞いてみると、それぞれのグループが何を考え、どんなことを議論してきたのかがよくわかった。

 

もちろん高校生が、授業時間内に行ってきたことだから、〝アラ″が目に付くところもないわけではない。それでも発表の中で高校生らしく、「高校生でも支払える金額で、何カ所かの寺院を拝観できる」工夫なども盛り込まれていた。

 

共通拝観券と言えばそれまでかも知れないが、それを販売する場所を、現状ではあまり観光客が訪れない地区で限定的に販売することで、そこを訪れることのメリットを生み出そうというアイデアである。面白い着想だと思う。

 

その場所にもその場所なりの魅力はあるのだが、大観光地の嵐山からは少し距離があるので、まだまだ訪れる観光客が少ない地域である。その場所へ最初に行くことによって、他の有名な寺院の拝観券が安く手に入る、というのも考え方としては面白いと思う。

 

実現可能性の有無はともかくとして、こうした自分たちなりの斬新なアイデアを考える姿勢が大事だと思う。

 

外国人観光客と防災というテーマを考えているグループは、事前に予測がつく台風や洪水はともかくとして、突発的に発生する地震にターゲットを絞り込んで、外国人観光客に向けた情報提供を一元的に統括する組織づくりを提案していた。

 

 

 

しかもその拠点の場所として、最寄りのJR嵯峨嵐山駅を想定していた。この駅は建物も新しくて耐震性も高いし、スペースにも余裕がある。さらに交通の状況もいち早く把握できる。

 

だから、外国人観光客もこのJRの駅にたどり着けば、その後は何とかなるだろうということである。こうしたことを嵯峨・嵐山地区の各所に掲示しておけば、観光客も安心できるだろうということだった。

 

地元の商店会にインタビューした結果は、地震対策まではまだ手が付けられていないということだったから、これは良い提案だろうと思う。これは校内発表会が楽しみになってきた。