福禄寿も だるまもおわす インスタに | がいちのぶろぐ

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インスタグラムに投稿するだけが目的ではないだろうが、高性能の一眼レフカメラを抱えて旅行する女性も増えているのだろう。

 

今日配信されていたインターネット情報誌「TRIP EDITOE」に、面白い記事が掲載されていた。「ここだけの貴重な風景。カメラを持って出かけたい人気観光地TOP10」と題された記事である。

 

「『SNAPLACE』が2018年のSNS分析データをもとに、『2018SNS映えスポットランキング』を発表」した、ということらしい。

 

だから、女性に限ったわけでもないと思うけれど、ランキング結果を見る限りでは、やはり女性目線で写真を撮ったのではないかと思う結果になっていた。とりあえずランキング結果を示しておくと、以下のような順になっていた。

 

1位 八坂庚申堂(京都府京都市)

2位 川越氷川神社(埼玉県川越市)

3位 BE KOBE(兵庫県神戸市)

4位 ラコリーナ近江八幡(滋賀県近江八幡市)

5位 佐久島(愛知県西尾市)

6位 金沢21世紀美術館(石川県金沢市)

7位 猿島(神奈川県横須賀市)

8位 三光稲荷神社(愛知県犬山市)

9位 養老天命反転地(岐阜県養老郡)

10位 志摩地中海村(三重県志摩市)

 

1位、2位と8位に、〝縁結び″と関係がありそうな寺社が入っていたので、勝手に女性目線なのかなと思った次第だが。

 

私は1位にランクされた「八坂庚申堂」には行ったことがある。というよりも、子どものころには、小学校へ行く道筋にあり、毎日通っていた、〝ひっそり″とした小さなお堂だった。

 

 

 

その他では、9位の「養老天命反転地(岐阜県養老郡)」は、家人の実家の近くにあるので、行ったことはないがその存在はずっと知っていた。この施設がある場所は、養老公園の一角で、〝孝子伝説″で有名な「養老の滝」への入口の場所に当たる。

 

 

 

親孝行な息子が、酒を所望する老いた父の願いを聞いて、酒を買うこともままならず、滝の水を瓢箪に詰めて持ち帰ったところ、水が酒に変わっていた、という話など、もう知る人も少なくなっただろう。逆に言えば、だから〝養老の滝″なのだけれど。

 

まあ、そんなことはさて置くとして、ランキングを見れば、3カ所の寺社以外では、施設が「BE KOBE」、「ラコリーナ近江八幡」、「金沢21世紀美術館」、「養老天命反転地」と「志摩地中海村」の5カ所だった。あと2カ所は「島」だった。

 

5カ所の施設は、それぞれに成り立ちや性格が異なるけれど、デザイン的にユニークというか面白い場所だという共通点があるように思う。

 

写真なり動画として、フレームによってその施設の景観を切り取れば、そこに何か別世界を見るような面白さが出て来るということだろう。

 

そこで1位の八坂庚申堂である。有名な清水寺や産寧坂とも遠くない、「八坂の塔」という五重塔の足元にある、敷地も狭く、はっきり言って古ぼけたお堂なのである。

 

そこがなぜ1位にランクされるほど「写真映え」がするのか。それは境内を埋めるように吊るされた、無数の「くくり猿」のカラフルな色合いに由っている。

 

 

 

「くくり猿」は、手足を縛られた猿の姿である。庚申堂は干支の「申=サル」なのである。だからお猿さんは〝庚申さん″のお使いとして、庚申堂のシンボルなのだ。お稲荷さんなら狐というようなものだ。

 

八坂庚申堂の前の細い道にある家々は、どの家も昔から玄関の脇に、赤い布をまとった「くくり猿」を糸でつないで、厄除けに飾っていた。その〝本家″である八坂庚申堂には、これも昔から、結構大きな赤い「くくり猿」がぶら下げられていた。

 

それが近年は、この庚申堂で〝絵馬″の代わりに、色とりどりの「くくり猿」に願い事を書いて、ぶら下げるようになった。だから鈴なりに、色とりどりの「くくり猿」が、本堂の周りに吊るされることになった。

 

 

 

この景色が面白いから、SNSに投稿される。場所も清水寺から産寧坂を下り、八坂の塔を見上げながら、庚申堂にたどり着くという恵まれた場所にある。

 

 

 

それで、外国人観光客も含めて、この小さな庚申堂を訪れる人が急激に増えたということだろう。観光スポットになるということは、こうして出来上がって行くものなのだと思う。

 

そう考えると、京都にもこうした「カメラ映え」という視点で面白いところは、まだまだあると思う。私がすぐに思いついたところを2カ所上げてみる。

 

■だるま寺(法輪寺)(JR「円町」駅徒歩10分・市バス「西ノ京円町」徒歩7分)

 昨年の節分に行ったが、境内の至る所に〝だるま″が置かれている。また、願い事が叶えば、ここで求めた〝だるまさん″の片方の目にも墨を入れて返納する。境内の休憩所の天井には、特大の〝だるま像″が描かれている。

 

 

 

 

 

■赤山禅院(叡電「修学院」駅徒歩20分・市バス「修学院道」徒歩15分)

 紅葉スポットとして有名なお寺。修学院離宮の北側に隣接している。「都七福神」の一つで「福禄寿」を祀っている、だから〝おみくじ″が木でできた5cmほどの福禄寿の体内に納められている。このおみくじの福禄寿がズラーッと並ぶ姿は、とてもシュールだ。

 

 

 

 

 

こうした見方で、寺社にお参りをするという感覚があまりなかったから、記事を読んで「へ~ッ」と思ったのだが、桜や紅葉ということではない景色の見方、目線で歩いてみるのも面白いものだと思う。