葵挿し 祭礼の列 華やぎて | がいちのぶろぐ

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昨日の母の日に引き続いて、今日は京都三大祭りの一つ「葵祭」だった。また、考えていたことは後回しにして、葵祭の風景などを絵日記風に。

 

 

まずはちょっとした薀蓄から。

 

葵祭は、古く平安時代から続く下鴨神社(賀茂御祖(かもみおや)神社)と上賀茂神社(賀茂別雷(かもわけいかずち)神社)の「賀茂祭」として執り行われ、宮廷から勅使も出る貴族の行事だった。源氏物語では、光源氏が賀茂祭当日の主人公となる“勅使代”の大役を務めている。

 

そこで、この祭りの行列と、「主人公」である勅使代に任ぜられた若き貴公子を見るために、牛車(ぎっしゃ)に乗った高貴な女性が、朝早くから牛車の場所取りに出かけ、牛車同士が“角突き合して”良い見物場所の争いをするさまが、枕草子などでも描かれている。

 

 

 ちなみに、漢字で「牛」の文字3つを重ねると「犇めく(ひしめく)」となるのは、まあこうした場景から来ているとも。今ならさしずめ、ジャニーズの公演で、女性ファンが押し合いへし合いする様というところだろうか。この場合、「女」という文字3つを重ねたら「姦」となるから、この漢字を当てるのは絶対にだめだろう(笑)

 

ということで、昔は勅使代が主人公だったけれど、現代は「斎王代」という、うら若き女性が「ヒロイン」となっている。斎王の「斎」は神様に使えるという意味の「いつき」であり、王君であるから高貴な女性が神に仕えるということである。

 

だから今でも、この祭りの事前の儀式として、「禊の神事」が執り行われる。その年の斎王代となった女性は、十二単姿で、今年なら下鴨神社を流れる小川で御手洗(みたらし)の禊を行う。(この行事は、上賀茂神社と下鴨神社で、毎年、交互に行われる。)

 

また、これもちなみに「みたらし団子」は、この禊の神事、御手洗から来た名前で、下鴨神社を西に出て、すぐの場所にあるお店の「みたらし団子」が有名である。

 

ということで、今朝は早くから我が家の近くがざわついていた。いやいや牛車が行き交うわけではないが、なんとはなく、若い女性や若くない女性が大勢行き交っていたのである。

 

そうして良い見物場所取りのために、犇めき合うように下鴨神社に通じる「出町橋」から、いわゆる鴨川三角州公園一帯に、集まっていったのである。

 

昔は姿を見せない(見られない)ために、女性は牛車の御簾内からの見物だったが、現在は日焼け止め・紫外線対策ばっちりで、グイグイと道路わきに押し掛けて、当たりの強さはワールドカップ・ラグビーもそこのけ、というところかも。

 

私も見物に出かけたが、もう最前列などは絶対無理。何とか肩の間越しに見えるかというポジションに陣取ることができた。

 

待つこと30分ほどで、前触れの車両が来た。行列には騎馬武者が多いので、馬がたくさん駆り出されている。これが大きな物音や、カメラのフラッシュなどで急に暴れだすと大変なので、その注意事項を呼びかけていた。

 

 

 祭りの行列そのものは、進んだり止まったりしながら約30分ほどかけて目の前を通り過ぎて行った。騎馬武者、徒歩(かち)の従者、荷運びの水干姿の下人などが続く。

 

 

 

 

途中で牛車が1台、目の前を通り過ぎてゆく。黒毛和牛の短角の奴が引いている。決してA5ランクなどという目で見てはいけない。仕事中なのである。思い牛車を引っ張っているのである。

 

 

 暫らくして女人列になった。これからいよいよ、ヒロインの斎王代が乗る御腰輿(およよ)が登場である。その前の女人列では、髪型から髪飾り、衣装までが派手目の女性の姿も。多分、貴賓に仕える舞姫なのだろう。

 

 

 

 

 

いよいよ斎王代が近づいてきた。残念ながら輿の笠が日陰を作って、顔が良く見えない。スマホで撮影したので、後はうんと明度を上げて、修正をかけてみることにしよう。

 

 

 

 

最後にもう一台の牛車が行く。藤の花を屋根から垂らして美麗に飾り付けられている。

 

 

 この賀茂祭が「葵祭」と呼ばれるのは、行列の全員が冠や胸に飾っている「タチアオイ」の葉の飾りに由来していることは有名である。下鴨神社のおみくじにも、葵の葉がデザインされている。

 

 

 またまたちなみに、下鴨神社から遠くないところに立地する京都大学のシンボルマークも、葵がデザインされている。決して、水戸光圀公がかざす印籠の紋所だから、ではない。それなら東京大学の方がふさわしい。でもあちらは銀杏である。

 

 

 今日は午前中から、結構暑い日になった。帰りに鴨川三角州公園の「亀の飛び石」は、大変なにぎわいだった。日頃は子どもたちがキャッキャと遊ぶ飛び石に、待ち行列ができていた。

 

 

 

ここで、来年、観覧される方のための情報を。

 

行列は通常、午前10時半に御所・建礼門を出て京都御苑内を進み、堺町門から丸太町通り、河原町通りを通って、昼前に下鴨神社へ。午後は2時過ぎに下鴨神社を出て下鴨本通り、北大路通りから、鴨川沿いの賀茂街道を北へ。上賀茂神社には3時半ごろに到着する。

 

京都御苑、下鴨神社、上賀茂神社には有料観覧席も設営される。ただ、沿道のどこでも見られるので、適当に場所を考えられると良い。祇園祭は鉾が曲がる四条河原町と河原町御池の交差点が見どころだが、葵祭にはそういうハイライトになる場所はない。

 

もう一つ。私も半世紀ほど前にアルバイトで、行列の下っ端、白の水干姿で荷物を担いで歩いた経験がある。その経験から言えることは、是非、下鴨神社に着くまでの午前中の見物をお勧めする。

 

 

 下鴨神社で、昼食休憩を摂るので、午後はやはりダルそうな歩き方になってしまう。気合が抜けるというか、早く上賀茂神社に着いて解散にな~れ、という気分が出てしまうのも、人間だから仕方がない。

 

なので、午前中の方がなんとなく行列も気合乗りが良いように思う。できれば、朝早めに行動され右方が良いだろう。

 

最寄駅は、京都御苑は地下鉄「丸太町」、または市バス「裁判所前」。下鴨神社の近くなら京阪電車「出町柳」、または市バス「河原町今出川」か「出町柳駅前」。上賀茂神社は市バス「上賀茂神社前」となっている。