孫達「ねぇ、ブレッドお爺様ぁ、隠れんぼしましょう」
ブレッド「ああ、良いよ ~ ^ ^」
「僕が鬼になる!みんな隠れて~!」「わーーいっ!」
孫達は一斉に走り出し、物陰に隠れました。
ブレッドも、何時もの様にソファの陰に隠れたのですが…、
何故かその日は、あの部屋が頭に浮かんだのです。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•
ブレッドは、何かに吸い寄せられるかの様に階段を昇り、部屋の前まで来ました。
カタリーナが亡くなって以来、この部屋には何度も足を運びました。
ドアを開けたら、カタリーナが立っている…、そんな気がしたのです。
でも…、何度開けても、そこにカタリーナの姿はありませんでした。
「カタリーナ…」と声を出しても、音が虚しく響くだけです。
冷え切った無機質な空間は、ブレッドの温もりや吐息まで、冷たく拒絶する様でした。
でも、その日は違っていたのです。
ドアの向こうに、温かい何かが待っている気がしたのです。
ブレッドは、ドアノブに手を掛け、開きました。
*・゜゚・*:.。..。.:*・.。.:*・゜゚・*
「カ、カタリーナ⁉️」
そこには、認知症になる前のカタリーナが立っていたのです。
首に赤いマフラーを巻いて…。
(もしかして、死んでいなかったのか⁉️)
ブレッドは、思考回路がショートし、目の前の映像が理解出来なくなりました。
そして、次の瞬間!
「ああああ…、う、うううぅぅぅ:(;゙゚'ω゚'):」
ブレッドは、身体をくの字に折り曲げ悲鳴を上げました。
心臓を鷲掴みにされた様な激痛が走ったのです。
床に倒れ込むブレッドを、カタリーナが優しく包み込みました。
カタリーナは、無言のままブレッドの瞼にキスをしました。
ああ、カタリーナの柔らかい口唇、この感触…、
ブレッドに懐かしい記憶が蘇ります。
気が付くと、さっきまでの激痛は嘘の様に消え、ブレッドの身体はカタリーナと共に天井近くまで浮いていたのです。
見下ろすと、横たわった自分の肉体があるのです。
それを俯瞰で見ている、もう1人の自分…、いえ、意識の様なモノになっていたのです。
肉体と魂が分離したのです。
カタリーナは、自分のマフラーとブレッドのマフラーを一つに結びました。
そして、微笑むと天を仰いだのです。ブレッドも同じ様に天を仰いぎました。
そこには、一点の強い光が現れていました。
その光を見た瞬間!
光に向かって、物凄いスピードで昇天し始めたのです。
見下ろすと…、
マッタリアの居間で自分を探している孫達の姿、マッタリア家の屋根瓦…、住み慣れたニューヨークの街並み…、
次第に雲に遮られ、地上の景色は見えなくなりました。
二人は更に上昇を続けます。
ブレッドとカタリーナは、比翼の鳥の如く一体化し、永遠の光の中に吸い込まれ…、消えて行きました。
つづく。
