イタリアの暴力装置、愛するとは奪う事。いいえ、与える事です。その(68) | kyon2のブログ

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「カタリーナ元大統領、深夜、散歩中に事故死❗️」そのニュースは速報で流れました。


カタリーナが認知症である事は、公表していなかった為、彼女の名誉の為に「徘徊」を「散歩」と差し替えての発表でした。


突然の死に、様々な憶測が飛び交いましたが、全国民、いえ、全世界中の人々が、その死を悼み厳粛な国葬が行われました。


追悼する参列者の行進は、後を絶たず永遠に続きました。


*・゜゚・*:....:**:.. ..:*・゜゚・*


カタリーナの遺体の首には、赤いマフラーが巻かれていました。


彼女は、ブレッドとお揃いになる様に2本作っていたのです。


もう一つの、カタリーナのベッドの上に置かれていた赤いマフラーには、手紙が添えられていました。


認知症だと診断された直後に、書いた物でした。


「愛するブレッドへ、

きちんと意識があるうちに、したためておこうとペンを取りました。


でも、何を書いて良いのか、思考が纏まりません。まさか、自分が認知症に罹るなんて想像だにしていなかったのです。


他人事と思っていた事が、我が身に起こり、受け止める事が出来ず、今とても動揺しています。


ただ、私が心配しているのは、貴方のお荷物になる、という事です。


ごめんなさい。

優しい貴方に「お荷物」という言葉を使う事自体、傷付けてしまいそうです。


でも、これから始まる私の介護は、恐らく「介護」という言葉の限界を超えた壮絶な物だと予想が付きます。


大切な貴方を、そんな目に遭わせてしまう自分が、情けなくて堪りません。


本当はね

貴方との営みが出来なくなった分を償う為に、貴方の老後の介護は、心を込めてさせて貰う積もりでした。


なのに

その願いすら叶わない私です。

本当に役に立たなくて、自分で自分が腹ただしいです。

許して下さい。


少しづつ新しい記憶から消えてしまうこの病気は、貴方の存在を知らなかった頃の私に戻すでしょう。


その時、私は貴方をいっぱい傷付けてしまうと思います。


でも、その姿を私だと思わないで下さい。それは今の私ではありません。


私の心と身体は、全て貴方の物です。

貴方と出逢って以来、他の人が私の心に1ミリでも入って来る事はありませんでした。


貴方以外の人は、この世から消えても良いと思う程、苦しい程、切ない程、貴方だけを愛しています。


来世でも、貴方を探し、また結婚したい、そう願っています。


私は、赤い糸でマフラーを編んで貴方に最期のプレゼントをします。


嫌でなかったら、そのマフラーをして、あの世にいる私に逢いに来て下さい。


私は、赤いマフラーを目印に貴方を探し出します。


貴方の優しい顔、笑った顔、匂い、仕草、全て記憶に留めておきたい。


どんなに記憶を失っても、貴方の事だけは忘れないでいたい。


でも

もし、私よりも若くて可愛い人が出来たら、私に遠慮せずに幸せになってね。


まあ、なかなか居ないと思うけどね。^ ^


沢山の幸せをありがとう。

愛するブレッドへ、


チャオ、チャオ、バンビーノ!

カタリーナより」

 

重くならない様に、敢えて明るく締めくくっているカタリーナでした。


が、もう一枚便箋が入っていました。


「私の遺体は、アントニオの墓の隣に埋葬して下さい。


そして、その隣の区画にブレッドが入って来てくれる事を願います」


カタリーナの意志を尊重し、アントニオの隣に埋葬しました。


ʕ̫͡ʕ̫͡ʔ̫͡ʔ̫͡ʕ


夏でも赤いマフラーをして、カタリーナの墓に毎日花を届けるブレッドの姿が、目撃される様になります。


その姿は、人々の涙を誘ったのですが、次第に異様な光景に映る様になります。


ブレッドはカタリーナ ロスから立ち直れず、鬱病になっていたのです。



つづく。