イタリアの暴力装置、愛するとは奪う事。いいえ、与える事です。その(66) | kyon2のブログ

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マッタリア家での介護生活が始まりました。


生まれ育った家での生活は、カタリーナの病気にも良い影響を与えた様です。


もしかしたら、カタリーナの脳が、若い頃に戻ったと、錯覚を起こしたのかも知れません。


ホルモンの分泌が活性化したかの様に、話し方も、顔の表情も、肌艶も蘇り、若々しくなって行ったのです。


ただ、病状は、カタリーナの編み物の様に一進一退でした。


時々、カタリーナは、狂った様に、折角編んだマフラーを一気に解くのです。


しかし、それはマトモな時だったのです。呆けている時に間違えて編んだ箇所に気付いて、編み直していたのです。


認知症になっても、完璧を求める姿勢は変わりませんでした。


いえ、もしかしたら

完成に至らない様に、本能が解かせていたのかも知れません。


*・゜゚・*:....:**:...:*・゜゚・*


それは、ブレッドが、カタリーナの入浴介助をしていた時でした。


ブレッドは、カタリーナの裸体に興奮していまい、思わず抱き締めたのです。


その途端、カタリーナが怯えた表情をしたのです。


ブレッドは、カタリーナを傷付けた事に後悔すると同時に、ブレッド自身も傷付きました。


まだ、あの事を忘れていないのか、それとも、もう僕の事が分から無くなっているのか


更に、追い討ちを掛ける様な出来事が起こってしまいます。


カタリーナは、夜中になると屋敷の中を徘徊する様になったのです。


そして、いつも同じ部屋に入って行くのです。


ブレッド「部屋に戻ろう」


カタリーナ「迎えに来てくれたの?」子供の様に嬉しそうな表情を見せ、ブレッドに甘えてきます。


でも、その目は認知症になって以来、ブレッドに見せた事が無い目でした。


ブレッド(あの目は、僕に向けられたものでは無い、多分)


ʕ̫͡ʕ̫͡ʔ̫͡ʔ̫͡


ある夜、ブレッドは、何時もの様に徘徊するカタリーナの後を追っていました。


やはり、あの部屋に入りました。


そっと、ドアを開けると


カタリーナ「何処に行っていたの!探したのよ!もう何処にも行かないで!、アントニオ!」


その部屋は、アントニオと始めて結ばれた部屋だったのです。


抱きついている相手は、カタリーナの脳内では、最初の夫アントニオになっていたのです。


認知症の介護は、ブレッドにとって残酷なものでした。


カタリーナの認知症は、更に悪化し、排泄行為にも問題を起こす様になってしまいました。


もう、ブレッドの事は記憶から失われていました。


ブレッドを平気でアントニオと呼び、娘のテレーザをママと呼ぶ様になりました。


そんなある日、再びブレッドが入浴介助をしていた時です。


カタリーナが、ブレッドに抱き付き、ブレッドの身体を愛し始めたのです。


ブレッドは、アントニオの身代わりでも嬉しかったのです。彼女を受け入れました。


カタリーナ「ブレッド、今迄、我慢させて御免なさい。本当は、私もこうしたかったの。ブレッド、愛してる」


何が起こったのでしょうか?

カタリーナが、以前の記憶を取り戻したのです。


ブレッドとカタリーナは、長い時を経て、やっと、一つに繋がりました。


しかし、それは


カタリーナの脳内で起きた、最期の奇跡だったのです。


つづく。