イタリアの暴力装置、愛するとは奪う事。いいえ、与える事です。その(65) | kyon2のブログ

kyon2のブログ

ブログの説明を入力します。

「ブレッド、私、何か変なの、私の中で何か、おかしな事が起こっているみたいなの


カタリーナにも自覚があったのです。自分が認知症になりつつある事が


二人は、予定していた講演を全てキャンセルし、急遽、帰国しました。


受診すると

二人は、医師から衝撃の言葉を耳にします。


若年性アルツハイマーだったのです。


カタリーナ「、先生、治療法は無いのですか⁈ 脳トレとか、最悪、脳外科手術でも、何でも受けます。

嫌です。嫌です。助けて下さい!

お願いします。お願い


カタリーナは、酷く取り乱し、医師に詰め寄りました。


医師「完治させる事は困難ですが、進行を遅くする方法はあります。一緒に頑張りましょう」


*・゜゚・*:....:**:.. ..:*・゜゚・*


診察の帰り道、二人はポトマック川の川沿いに咲く桜並木の下を、歩いていました。

二人は、16年過ごしたホワイトハウスが見える場所に、新居を構えていたのです。


カタリーナ「もうすぐ、この桜も、終わりね。来年の桜も

こうして貴方と、眺める事が、出来るかしら?」


寂しげに、ポツリ、ポツリと言いました。


カタリーナの目から、涙が溢れています。


ブレッド「見れるさ、君がいなければ、この桜だって咲かないさ。僕の中では、咲かない、だから」言葉を飲みました。


頑張って、と言う事が出来なかったのです。

残された時間を、楽しい思い出だけで彩りたい、そう願ったのです。


二人の足取りは重く、自宅までの距離が、とても長く感じられました。


二人の肩に、ハラハラと舞い落ちた桜の花びらが、いくつも落ちています。


それは、運命には逆らえない事を、寄り添う二人に告げている様でした。


*・゜゚・*:....*:.. ..:*・゜゚・*


カタリーナは、赤い毛糸を買い、編み物を始めました。


指先を使う事は、脳の訓練になるからです。


かぎ針だけで、ただ真っ直ぐ編めば良いマフラーなら、認知症が進行しても完成させられると考えました。


しかし、そんなカタリーナの願いも虚しく、症状は日に日に進行して行きました。


新居に慣れていない事もあり、パニックになる事が増えたのです。


そして、意識がまともにある時に「マッタリアの実家が恋しい」と言う様になったのです。


ブレッドは、カタリーナの希望を受け入れ、二人で実家で暮らす事を選びました。


しかし、マッタリア家での介護は、ブレッドには想像もしなかった、辛いものが待ち構えていたのです。


つづく


PS ワシントンD.C.とアーリントン墓地の間を流れるポトマック川の桜は、100年以上前に日本から送られた3000本の苗木が植えられたものです。


第二次世界大戦中でも切り倒される事は無く、咲き続けました。