気になっていた | 猫の島調査報告書

猫の島調査報告書

月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

「乱視読者の帰還」/若島正/みすず書房。を読み始めた。
 
「本格ミステリ大賞全選評~」に取り上げられていた作品の中で、これだけは死ぬまでに読まねばなるまいと、勝手に中りを点けた本が2冊有るのだが、
その内の1冊である。
 
『みすず書房にハズれはない』の原則に従い面白く、そしてらしからぬ砕けた平易な文体で、無邪気な視点の教養ある本読みが書いた文章が読める。
 
 
「余は如何にしてナボコフ信徒となりし乎」。
これ一編だけでも、明快で、普遍的に見せて私的で、何かを教えてくれる。
なんか友達が秘密の宝物をそっと見せてくれたのと同じような嬉しさを感じる。
 
本の感想よりも、その作品の構造分析よりも、読書体験それ自体から得られた内容が大好きだ。
読みの受動と能動の入り組みかたが凄く刺激的でいい。