いいお天気でしたね。
もう夏ですね。
大好きな夏です。
おはようございます。琴です。
今日も、昔話を。
初めて勤めた病院です。
15歳でしたので、もちろん看護助手でした。
Mさんの蘭の部屋
Mさんの部屋は、海が一望出来て、蘭で埋め尽くされていた。
甘くて潮の香りがした。
Mさんは、肌が透き通るほど白くて、キレイな女性だった。多分40代くらい。
Mさんがどんな病気で戦っていたのかは知らない。
戦いいきって、私と今の医療にチカラをくれた、すばらしい人がMさんです。
Mさんのだんな様は良く病院にお見舞いにきていた。
片手に、真っ白な蘭の花。片手に、○○大学病院と印刷された紙袋。
Mさんのだんな様のスタイルだった。
Mさんのだんな様は、
初恋の人に会いに来たように、照れながらMさんの部屋に入っていく。
「Mさんの事が大好きなんだ」と、とてもうらやましく眺めていた。
Mさんのだんな様が蘭をいつもいつも持ってくるので
Mさんの部屋は、蘭でいっぱいだった。
とても穏やかな午後
Mさんの部屋から見える海に光が反射して、優しい風が通りぬけていた。
大学病院から持ってくる袋、薬に興味を持っていた私は
「Mさんはどんな病気なのですか?」と聴いた。
無知は恐ろしい。聞いてはいけないことの区別が分からない。
点滴中のMさんは、長い髪の毛をかき上げながら、語ってくれた。
海の光に溶けてしまいそうな弱々しいカラダで……
Mさんは優しく、命を振り絞って教えてくれた。
「琴ちゃん、私のこと良く覚えていてね。
私の病気は治療法がないの。この点滴も効くかどうか、誰も知らないの。
ただね、この新薬に効果があるのがわかれば、私と同じ病気の人が助かるでしょ。」
とMさんは笑いながら話してくれた。
その時15才の私には、言葉の意味、重みがわからなかった。
後日、聞きたい事を持って病院に行くと、Mさんがなくなった事を知らされた。
廊下には甘くて潮の香りはするのに、Mさんの部屋は、蘭とMさんが消えていた。
新薬の影にあるもの。善し悪しを簡単に決めるのは、難しい。
人体実験がいいとは言えない。
でも、人への投与をなくして進歩が無いのは、事実である。
未来の医療の為と戦ったMさんを、私は忘れない!
お話はここまで。
多分、この薬って、インターフェロンなんじゃないかな?って想像します。
なんせ20年以上も昔の話なので、ハッキリとは思い出せないんです。
覚えているのは、効果があるようにと願って新薬を使っていた事。
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