いいお天気でしたね。
外の空気が、とても気持ち良くて、のんびりとお散歩でもしたくなりました。
こんばんは。琴です。
15歳の時、家を出たいという気持ちだけで入った看護の世界。
続けられたのは、Kさんのおかげだとしか言い表せない。
Kさんは、笑顔のかわいいおばあちゃんだった。
当時は何でだかわからなかったんだけど、Kさんは寝たきりだった。
Kさんはまったく動けない。
唯一自分で動かすのは顔の表情だけ。
無表情とかわいい笑顔、それと嫌がる顔。それだけ。
「そういう病気なんだ」とそれ以上は考えなかった。
15歳で入った看護の世界は、人として子供過ぎた。
当時の私は毎日怒られていた。
遅刻をして怒られ、身なり髪型で怒られ、言葉使いで怒られ、
仕事が遅いと怒られ、物品を壊して怒られ、字が汚いと怒られ、伝達が悪いと怒られ、
お茶の入れ方が悪いと怒られ、お箸の使い方が悪いと怒られ、食べ方が悪いと怒られた。
今思うと、良く毎日怒られてたなぁ~と感心してしまうほど怒られた。
怒られても怒られても、続けられたのはKさんの笑顔だ。
Kさんの笑顔にだまされて?(励まされて)しまって続けられたのだ。
私は怒られた後、いつも、Kさんの部屋に逃げ込んだ。
当時は自分の事が自分でできない患者さんは、皆、付き添いさんがついていた。
私は、付き添いのいるKさんの個室に逃げ込んでいた。
「また怒られちゃいました………」と私
「おやまぁ、またかい。Kさん、また孫が怒られたって逃げて来たよ。」と付き添いさんがKさんに声を掛ける。
顔をくしゃくしゃにして笑うKさん。(声は出ないんだけど)
その笑顔にだまされて(?)しまうのだ。
くよくよしても仕方がないか……と思わせてくれるほどの笑顔を見せてくれるのだ。
そんな毎日を繰り返したある日
いつものように怒られ、いつものように逃げ込み、いつものような会話をした。
くしゃくしゃな笑顔でKさんは笑ってくれた。
しばらくしてから、病室を後にする。
私がドアに向かい、振り返る。
Kさんはドアの前に立つ私に向かって手を伸ばしたのだ。
「あれまぁ!!手が動いたよ!ビックリだ!」と付き添いさん。
動くはずのないKさんのカラダは、確かに私の方へ手を伸ばしたのだ。
私の中で何かが動き出したのだ。確実に……そして、チカラ強く…
「こんな私に手を伸ばしてくれるの?」
健康一家の私の家は「病気」とは無縁である。
「病気」=「風邪」でしかなく、「寝れは治るもの」という方程式。
でも、病院に入院している人は、違うのだ。
寝ているだけでは、治らないのだ。
「なぜKさんは動けないの?」
「なぜKさん声がでないの?」
「なぜKさんは入院しているの?」
「Kさんの病気はなんなの?」
突然襲い掛かる「なぜ????」の嵐……
「病気」を意識した始めての出来事だった。
『Kさんの病気が知りたい!』
そのためには学校へ行くしかない!って学校へ行くことにしたのだ。
すぐに受験をし......... と繋がればイイ話。
なんだけど、その後も、挫折・屈折・後退を重ねに重ねた。
Kさん、あれから 約20数年。
さすがに最近は怒られることも減りましたが…
時々がツン!と怒られて(やられて)凹みそうなときは、
くしゃくしゃって笑って手を伸ばすKさんを思い出しています。
「くよくよしてもしかたないかぁ~」
あの時と同じように、私に手を伸ばしてくれるから…
ひっそりと生きていたKさんは、私の看護の原点。
初めて働く病院はインパクトが強い....。
私の看護の原点になっている。
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