ライブホール、コンサート会場で一般的に音響的にもっともバランスしているのはミキサーの前あたりなのはみなさん想像つくと思います。
音響をコントロールしているミキサーが自分で「いい音」だと思って調整に努力しているからです。
舞台に上がっているプレイヤーはもちろん自分の音に集中しています。ところが一旦舞台に上がるとスタジオなどと違ってたいてい客席に向かって音を出します。姿勢もあたりまえのように客席に向かって演奏するのです。
普段練習では向かい合って練習しているドラムやベースなどのリズムセクションを主旋律を奏でるギターやヴォーカルなどは背中にそれらを聞きながら曲をやるわけです。
大きなホールでは客席は演奏中たいてい非常灯をのぞき消灯しています。
小さなライブハウスではお客様の顔は見られますが、少し大きなうちのような客席は多くの場合舞台からは暗く、一方で舞台は照明で照らされていてゲストの顔はその照度差で見えなくなります。ある意味孤独な自分だけの世界になりやすくなります。そこで自分をさらけ出して自己表現をしないといけないのですが、環境に慣れていないとこうした精神的なゆとりなど生まれにくくなります。
また舞台ではダイレクトな楽器音は直線距離で差ができますから生音のビッグバンドなど上手(右側)に居るバリトンサックスは下手(左側)のピアノの音響は間に居る楽器たちのせいで当然聞き分けづらくなるわけです。
一方で舞台前方に居るとホールスピーカーから出る客席音響と重なってきてますます音は聞き分けずらくなります。
そこでモニターなど舞台上の音響設備で聞きたい楽器だけ聞きたいプレイヤーに返す作業をミキサーはします。
ただこの舞台上の音響(直接の楽器音+モニター音)を内音と言いますが、この音圧(音の大きさ)が大きくなりすぎると当然小さなホールは、客席側音響(外音という)に影響します。またモニターからでは音は再度マイクが拾って増幅することになります。これがハウリングというものです。
大きな舞台なら内音は大したことにはならないようですが、一方で距離が物理的に大きくて楽器のバランスはとりづらいものになります。イヤーモニターなどが普及し始めている理由もここら辺にあります。
結論から申し上げるとミキサーはゲスト優先に音をバランスさせようとします。プレイヤーが良いバランス音を客席の聴衆と同じ音響で聞くことはできないと思います。
多くのプロがモニターなどの返し音が不要だという理由もここら辺にあります。あるプロなどはリズムキープにドラムのハイハットと譜面のご自分のパート以外はLIVE中記憶に無いといわれたこともあります。
一番楽しみにしているだろうプレイヤーが現実には楽しめないというのはある意味残酷ではあります。料理人が自分で味わえない。あるいは飲食業を始めるといつでも観察、研究モードに入って純粋に「食」をエンジョイできなくなりやすいのと似ています。
その意味ではミキサーは大変ではありますが一番良いポジションかもしれませんね。