28年前のハネムーン。雑誌の記事で読んだワイキキの東、水族館の側のホテルの1階のサーフサイドのミシェルズというレストランでブランチを食べた。青と白のストライプのタープから抜けてくる心地よい浜風と当時は日本人には余りファミリアーでなかった店内はほとんど白人で聞こえてくる英語の会話が音楽のようだった。まだ若かった私にはまだまだゆとりがなくブランチでも結構な値段がしていた記憶と、いつかこんな所でディナーが食べられるようになりたいなと考えていた。

念願かなって上さんと夢の一つを叶えることができた。案内されたテーブルは海際近く。セカンドシートではあったが目の前で生ギターを弾いてくれるプレーヤーが居てビートルズの曲をやってくれた。28年かけていっしょに苦楽をともにしてくれた女房。長く尽くしてきた会社は今は無く。走馬燈のようにそんな事、こんな事に思いを巡らしていたらシャンパンも手伝い柄にもなくこみ上げてくるものがあって正直うかつにも泣けてきた。

残念だったのは日本人ばかりの団体が入っていてとてもこちらの雰囲気を壊してくれていた。もうここには来ないだろうなと感じた。料理はもちろん値段だけのことはしてくれる。

ワイキキにも多分もう来ないだろう。確かにそれなりに洗練もされている。お金が余っている人には便利なレジャースポットだがとかくビジネスの臭いがプンプンして穏やかさに欠ける。

生演奏してくれたのはデビッドヤマサキというギタリスト。彼にチップをはずんで28年前にハワイのクルーズで聞いたスティービーワンダーのI just callをリクエストした。上さんもジャズのナンバーを2曲ほど弾いて貰って大喜び。帰り際彼と話していて上さんがビッグバンドをやっていることを話すと、彼はSFの出身で彼もビッグバンドでギターを弾いていたという。CDも作ったことがあって、自分の車にあるからくれるという。礼を言ってホテルに戻ってからそれを聞いていると結構卒の無いギターを弾く。飲み屋の流しみたいに変なリクエストばかりして困らしていたことを恥ずかしく思えた。

夢が達成する瞬間は夢を失った事と同義である。次の夢を追いかけないと。