少し前から、「文春オンライン」で「B中華を探す旅」という連載を始めました。
ちなみに「B中華」とは、昨今の「町中華」ブームに乗じて群れて騒いでいる人たちがなんだか気持ち悪いなぁと思っていた僕が、勝手につくったカテゴリーでございます。
群れるの、好きじゃないんですよね。
だから気に入らなければ無視していただいてかまわないのですが、定義はこんな感じです。
・ 大前提の昭和感
・ ビールと餃子で落ち着ける
・ 店主や常連さんと仲よくなれることが目標
・ もちろんラーメンにも期待
・ ただし雰囲気重視なので、味には妥協してもよい
ありがたいことに第一回目に登場していただいた「和佐家」のご夫婦には喜んでいただけたのですが、実はそれから時間が経っているのには、ちょっと事情があるのです。
ぶっちゃけ、
取材拒否が予想以上に多い。
といっても、いまのところ拒否されたのは2軒だけなのですが、逆にいえば短期間で2軒に拒否されるとは思ってもいなかったわけで。
たとえば最近だと、このお店がそうでした。
もちろん場所は秘密です。
写真からヒントを見つけて場所を特定して喜ぶとか、ストーカーチックなこともお控えください。
そういうのは気持ち悪いし、基本的にはとてもいい店だったんだもの。
どうです、この異端っぽいブルース感?
お呼びで?
たしかにブルースだし異端でもあるけど、お呼びではないですね。
“I Put a Spell on You”、いい曲だよね。
えーっと、なんの話だったっけ?
そうでした、どこかのお店のことでした。
ビールについてきたお通しのおしんこがおいしく、
餃子の羽にもこだわりを感じるスキル。
ラーメンも、よい意味で普通で、とてもおいしかったです。
ので、ここはお話を聞き、記事にしたいと思ったのでした。
そこで、ご主人にお声がけしようと思ったら奥に引っ込んで出てこなくなっちゃったんで、奥様にアプローチ。
店の歴史などを伺ったのち、名刺を出して取材のお願いをしたのでした。
僕「実はかくかくしかじかで(関係ないけど、『かくかくしかじか』ってかわいくない?)取材をさせていただきたく」
奥様「いえ、うちの主人はそういうのがだめな人で。ですから話をすることもしないでしょうし、名前も出せなくて。『こういう店があるよ』という程度ならいいと思うんですけど」
僕:そうですか……(落胆)。それは残念ですが、でも、『こういう店があるよ』というくらいならかまわないんですね?」
奥様「はい、その程度なら」
僕「わかりました。では『こういう店があるよ』という感じで書かせていただきます。
この時点で。「こういう店があるよ」というフレーズが頻発する会話がおもしろくてウケてしまったのですが、いずれにしても最低限のラインで、取材OKが出たのでした。あとは文章でカヴァーするしかないね。
と、思いきや、
帰宅後に電話が鳴ったので出てみたら、声の主は先ほどの奥様だったのでした。
奥様「実はあれから主人に話したら、『こういう店があるよ』という程度でもダメだと言われまして……」
僕「あ、そうなんですか……。残念ですが、それでは仕方がないですね。わざわざご連絡いただき、ありがとうございました。
残念でやんしたね!
うるちゃいわ!
てなわけで、かなりいい線だったそのお店は、残念ながら記事にできなかったのでした。
こういうことがちょくちょくあるので、あの連載はなかなか大変なんでヤンスよ。
とはいえ、実をいうと次のお店はもう取材が終わっているので、あとは書くだけなんですけどね。
早く書けよ!