脚本家/小説家・太田愛のブログ -8ページ目

10月30日発売の新作『彼らは世界にはなればなれに立っている』、

予約が始まりました。

 

題名の『彼らは世界にはなればなれに立っている』 はパウル・ツェランの詩の一節です。  

カバーの写真はイギリスの若い写真家、Seanen Middletonさんによるもので、デザイナーの國枝達也さんがとても素敵な装幀に仕上げてくださいました。ここではお見せできませんが、表紙をめくった後も、國枝さんの細かく美しいデザインがページの隅々に行きわたっています。ぜひ書店にて、お手にとってお確かめください。

Amazonのサイトは→こちらです

 

帯には、鴻巣友季子さん、町山智浩さんから推薦文をいただきました。鴻巣さん、町山さん、どうもありがとうございます。

 

『彼らは世界にはなればなれに立っている』、まもなく書店に並びます。多くの方に読んでいただければ幸いです。


 

 

新刊のお知らせです。

先月、連載を終了した『彼らは世界にはなればなれに立っている』が、この秋(10月30日発売予定)に、KADOKAWAより上梓されます。 

KADOKAWAの新刊紹介のサイトは→こちらです。

 

これまで書いた鑓水たちのクライム・サスペンスシリーズとも、「小説すばる」に掲載した短編『サイレン』とも趣の異なった作品ですが、「今、これを書かなければ」という思いで書き上げた小説です。

執筆の動機については、昨年12月、連載前の朝日新聞デジタルのインタビューでお話しましたので、よろしければご覧になってみてください。→こちらです。

 

”舞台は〈始まりの町〉と呼ばれる、どこにもない町。一人の男が帰郷し、少年の頃に起きた事件を回想するところから物語は始まります。山の稜線には風力発電のプロペラがまわり、窓からは足踏みミシンの音が聞こえ、揚げ菓子と石の塔と映画館のある町。そこで、いったい何が起こったのか――。四人の人物が語る四つの事件の向こうに、やがて〈町の物語〉が見えてくる。私たちの「現在」につながる痛みと希望の物語になればと思っています。”(連載開始時の著者コメント)

 

それから、もうひとつ。

9月18日発売の「小説TRIPPER(トリッパー)」2020秋号(朝日新聞出版)に短いエッセイが掲載されます。“忘れられない人物”というテーマをいただいて書きました。

 

 

お知らせです。

今年2月、東川賞特別作家賞受賞を受賞された若い写真家・髙橋健太郎さんの初めての写真集『A RED HAT』が8月23日に刊行されます。

 

 

髙橋さんは、ご自身のサイトで「日本という国とこの社会に生きる人々が持つ戦時のような感情をテーマに取材を続けている」と書かれており、2015年には、フランスのルモンド紙の依頼で原爆投下70年の広島を撮影、同紙に掲載されました。

 

※髙橋さんのホームページは→こちらです。

広島の写真も掲載されています。

 

今回、刊行される写真集『A RED HAT』は、治安維持法が言論や思想を弾圧する道具として猛威を振るった戦時下に、北海道で起きた「生活図画事件」を題材にしたものです。1941年、旭川師範学校美術部の学生たちが、ただ絵を描いていたという理由で、先生とともに治安維持法違反で逮捕されました。身近な生活をよく観察し、より良い生き方を模索するという生活図画教育が、「国家に反逆する危険な思想の実践」とみなされたのです。

 

この写真集は、事件の被害者となった当時の学生・菱谷さん、松本さんに髙橋さんが取材を重ね、現在の姿を写真におさめて、当時の資料などとともに一冊の本にまとめたものです。

 

昨秋、髙橋さんと対談した際、「生活図画事件」を取材しよう思ったきっかけは、2017年の「共謀罪」成立だとおっしゃっていました。「共謀罪」が国会で審議されていた際、金田法務大臣(当時)は、「意味のある場所の写真を撮ったり」していれば、犯罪の「実行準備行為と認定できる」という旨の発言をしました。髙橋さんは、その曖昧な逮捕要件を知った時、自分の身に迫るもの、写真家として生きている自分は、何かの契機でいつ逮捕されるかもしれない、と感じたそうです。これをきっかけに戦時中の治安維持法をもっとよく知らなければと思い、「生活図画事件」に行きついたのだとおっしゃっていました。

 

『A RED HAT』は出版元の赤々舎さんのサイトから購入できます。

こちらです。(22日までは予約価格です)

※アマゾンでも購入できます。

 

また、“Dialogue for People”サイトに掲載された、フォトジャーナリストの安田菜津紀による髙橋さんのインタビューは、写真集刊行にあたっての動機も含め、大変、読み応えのある内容になっています。

こちらです。

 

写真集に寄せて、私も短いエッセイを書かせていただきました。

ご興味のある方は、ぜひ上記の各サイトをご覧になってみてください。

本日8月10日(月)配信のカドブンノベル9月号で、1月から連載してきた新作『彼らは世界にはなればなれに立っている』が最終回を迎えます。連載の折々に感想を寄せて下さったみなさま、ありがとうございました。

 

前作『天上の葦』を書くにあたって、先の戦時下の新聞をつぶさに読みながら、今、自分たちが暮らす社会とどこか通底するものを感じていました。そして、次は、この危うい崖っぷちのような現在の、その先を描いてみたいと考えたのが、この小説の始まりでした。

 

実際に執筆を始め、連載がスタートした直後、コロナウイルスによる災禍が世界を覆い、今、まだそのさなかにいます。渦中にあって、架空の町を舞台にしたこの小説を書きながら常に考えていたのは、自分たちの生きている社会の現実と確かに響きあう作品にしたいということでした。

 

いよいよ最終回です。ぜひお楽しみください。

カドブンノベルのサイトは→こちらです。

 

 

明日5月23日(土)13時からのTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」で、2018年4月に出演した時の、久米宏さんとの対談が再放送されます。

「日本社会とメディア」をテーマにした特別企画で、久米さんと、映画監督の森達也さん、作家の池澤夏樹さん、私の3人の対談で構成されているそうです。番組案内ページは→こちらです。

radikoでも聴けますので、お時間がございましたら、ぜひ。

 

電子小説誌「カドブンノベル」に連載中の『彼らは世界にはなればなれに立っている』、次回6月10日配信(7月号)は、「第3章 鳥打ち帽の葉巻屋が語る覗き穴と叛乱の物語」が掲載されます。〈始まりの町〉の物語もいよいよ佳境に入り、大きな事件が起こります。こちらもどうぞお楽しみに。カドブンノベルのサイトは→こちらです。

新型コロナウイルスによって、さまざまな困難を抱えている方が大勢いらっしゃる現在、できる範囲で互いを支えようという動きがあちこちで立ち上がっています。その中から、映画館と舞台に関わる2つのクラウドファンディングをお知らせしたいと思います。

 

ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金→こちら。(5月14日まで)

コロナ禍から芸術を守りたい“#SaveArts”プロジェクト→こちら

                                 (5月29日まで)

 

また、東京のミニシアター・アップリンクは、アップリンククラウドというオンライン映画館サイトを立ち上げ、2980円で3ヶ月間、60本以上の映画見放題の企画をスタートしています。→こちら

(GWの今なら、たくさん観られます!)

 

同様に、オンラインで新作映画を配信し、その興行収入を劇場と配給で分配する「仮設の映画館」という企画も、映画監督の想田和弘さんらの発案で始まっています。→こちら

 

昨年、観た『共犯者たち』も、『主戦場』も、『記者たち~衝撃と畏怖の真実』もすべてミニシアターで上映された映画でした。あまりに衝撃的だった『ゆきゆきて神軍』も、ローザスの『アクターランド』もミニシアターで観ました。配信はもちろん、まだビデオのレンタルも始まったばかりの若い頃、強く印象に残った映画は、それを観た映画館の風景とともに記憶されています。お芝居となると、それ以上に劇場の空気やテントの匂いなしに思い出すことはできません。かつてパルコ劇場で観た『タンゴ・冬の終わりに』の幕開けは、映画館の客席。大勢の若者が食い入るようにスクリーンを見つめ、一喜一憂する姿から始まりました。あの若者たちと同じように、私自身、映画館や劇場で一喜一憂し、闇の中でスクリーンや舞台を見つめながら、多くのことを知り、多くのものを得てきました。感謝を込めて、応援したいと思います。

 

映画館や舞台を応援したいと思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、それぞれのサイトを訪問してみてください。 

 

 

来週3月11日(水)放映予定の相棒18 第19話『突破口』の脚本を担当しました。事件の発端は、ある企業の社屋で起きた不審な転落死。疑念を抱いた右京さんと冠城さんが、遺体の第一発見者に会いにいくのですが、その山野という人物がどうにも頼りにならない、小心なおじさんで…というところから始まる物語です。エンドロールの終わりまで物語は続きますので、お見逃しなく。

 

また、放映前日の3月10日には電子小説誌「カドブンノベル」4月号が配信されます。今号で、新作『彼らは世界にはなればなれに立っている』は連載第3回となり、第1章のヤマ場を迎えます。こちらもご期待ください。

カドブンノベルのサイトは→こちらです。

 

 

昨年11月末に文庫化した鑓水シリーズ第3作『天上の葦』が、刊行から3ヶ月目の先月、4刷となりました。お手にとってくださったみなさま、どうもありがとうございます。

        

KADOKAWAの紹介ページ(上巻)は→こちらです。

 

 

 

今日(3月1日)の毎日新聞・読書欄の「昨日読んだ文庫」で、早稲田大学の水島朝穂教授が『天上の葦』を取り上げて下さっています。

ぜひご一読ください。WEBのページは→こちらです。

今、このような時だからこそ、一人でも多くの方に手にとっていただければと思います。

 

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現在、「カドブンノベル」で連載中の『彼らは世界にはなればなれに立っている』、3月10日配信(4月号)の連載第3回では、第1章の大きなヤマ場を迎えます。お楽しみに。

「カドブンノベル」のサイトは→こちらです。

 

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脚本の方では、相棒18の担当回がもうすぐです。放映が近づきましたら、また、当ブログにお知らせをアップする予定です。

本日(1月10日)配信の電子小説誌「カドブンノベル」2月号から、新作小説『彼らは世界にはなればなれに立っている』の連載が始まります。

 

次回作を楽しみにしていると声を寄せてくださった皆様、ありがとうございました。ようやく読んでいただける日が来ました。

これまでのシリーズとは趣は異なりますが、「今これを書かなければ」という同じ思いで毎日、原稿に向かっています。

一人でも多くの方に楽しんでいただけることを心から願っています。

 

本作について「カドブンノベル」のトップページに「著者からのコメント」を書きましたので、こちらにも転載してご紹介します。

 

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” 著者より ”

舞台は〈始まりの町〉と呼ばれる、どこにもない町。一人の男が帰郷し、少年の頃に起きた事件を回想するところから物語は始まります。

山の稜線には風力発電のプロペラがまわり、窓からは足踏みミシンの音が聞こえ、揚げ菓子と石の塔と映画館のある町。

そこで、いったい何が起こったのか――。

四人の人物が語る四つの事件の向こうに、やがて〈町の物語〉が見えてくる。私たちの「現在」につながる痛みと希望の物語になればと思っています。

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カドブンノベルのサイトは→こちらです。

「カドブン」サイトでは、「序章」を試し読みできるようになっています。ぜひ物語の幕開けを楽しんでください。→こちらです。

明日11日には、新作について、朝日新聞デジタルの読書サイト「好書好日」にインタビューが掲載されます。新作について、私自身のこれまでについてお話ししています。ご興味のある方はぜひ。

※掲載されました→こちらです。


また、連載開始にあたって、文芸ジャーナリストの佐久間文子さんが、素敵な文章を「カドブン」サイトに寄せてくださいました。これまでの3作の書評を中心に、新作のことも書いてくださっています。ぜひ読んでみてください。→こちらです。

 

 

 

上原正三先生がお亡くなりになった。

 

幼い頃、強烈に記憶に焼き付けられた『ウルトラセブン』や『怪奇大作戦』のエピソードの多くが、先生の書かれた作品だった。

のちに脚本家としてデビューした時には、円谷出身の大先輩としてさまざまな助言をくださり、沖縄料理にさそって物書きとしてのスタートを、精悍な笑顔と温かい声でお祝いしてくださった。

小説家として仕事を始めた時には、第一声から「二刀流で頑張りなさい」と励ましてくださった。

 

上原先生、本当にありがとうございました。