『一つのコントができるまで』カモ | GRahAMBox オフィシャルブログ「箱とハレとケと。」Powered by Ameba

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作家のナツノカモです。変な名前。


公演が終わるとブログに登場します。


今回は、先日の『笑えない方向から来た男』での


「天使とか悪魔とか」というネタについてのお話です。



前回一月の公演で「娘さんをください」というコントを書きました。


結婚の挨拶に来た男とその彼女の父親のやりとりというネタでしたが


普通と違うのはどちらも何故か複数いる、という部分です


「娘さんを僕たちにください!」


「お前たちにはやらん!」


「お願いです、お父さんたち!」


といった会話が展開されました。




グレアムボックスの大きな特徴は、演者がいっぱいいるということです。

9人もいます。



ありふれた設定でも

目に見える形で大勢の演者が出ると新鮮に映る

ということにカモは気づきました。



そこで、今回は「天使と悪魔」の設定で書くことにしたのです。



財布を拾った男の背後に


「届けなさい」の天使と


「もらっちゃえば?」の悪魔が


まずは登場します。



その後、中立の「もとのところに戻せば?」が出て来たと思ったら


あれよあれよと色んな奴が出て来て色んなことを言います。


「ちょっとだけ抜いちゃえば?」とか


「そのお金を募金しちゃえば?」とか。



天使や悪魔が妙なこと言うというのは

たいして新しい発想ではありません。



ですが、舞台上に実際にどんどん人数が増えていくのは

目で味わえる面白さという点で、良かったかと思います



大切なのは、突飛なことを言う奴が出てきても

大筋からちゃんとはずれない範囲の内容を言う、ということです。



平松さんが演じた悪魔は、「財布はもらって、万引きもしよう!」と提案しますが


このぐらいまでにしておかないと、しっちゃかめっちゃかになります。


「その財布食べちゃえば?」とか


「犬にぶつけて逃げれば?」とか


飛躍はどこまでも可能です。



「逆立ちして漫画読めば?」


「それ財布関係ねぇじゃねぇか」


みたいなこともできますが、そういう台詞は書きませんでした。



ぎりぎりのリアリティを守らないと、見ている人の心が離れる可能性があったからです。


人と人の心をつなぐのがリアリティというものだとカモは思っています。



「娘さんをください」に比べると

ネタの強度としては「天使とか悪魔とか」の方が弱いです。


それは起承転結になっていないからです。


このネタには転がありません。


起承承承結といった感じの構造でした。



みんなでわいわいやっている途中でいきなり場面が変わって裁判になり


天使や悪魔が弁護士や検察官になるという展開も頭にはあったのですが


そういうシステマチックなコントにするより


グレアムメンバーのキャラクターを活かして終わる方が良いと判断しました。



もともと設定が先に決まっていて

順番に演者のあて書きをしていった形です。



誰が何を言いそうかで台詞を書きました。

(南野さんの「おまえ背でかいな」とかは、南野さんだから言ってもらいました。普通のこと言って終わる人じゃないので)



で、最後に岩田さんが残ってしまい、それであのオチになりました。


岩田さんにああいう役が合うから、「あなたの心の中のお茶係」が出て来た、ということです。




コントは本だけでは成立しない、演者の個性があってこそのジャンルだと思います。


今後もメンバーの個性を最大限に活かせるネタを書いていきたいと

カモは思うのでありました。




ごきげんよう。