政治とメタルと網膜剥離 -78ページ目

大前研一氏の原発事故に関する解説と「首都圏の近くに原子炉をつくれ」という主張について

深刻な事態に陥っている福島第一原発の事故について、大前研一氏が分かりやすい解説を行っているのでご紹介したい。


福島第一原発で何が起きているのか――米スリーマイル島原発事故より状況は悪い(NIKKEI BP NET)


「スリーマイルよりひどいが、チェルノブイリよりまし」という氏の解説はかなり長文だが、私のような文系の素人にも分かりやすい。ぜひ理数系でない方にもお読みいただきたい。


しかし、氏が僅か2年前には以下のような主張をしていたことは忘れてはならない。


原子力発電は大輸出産業になる(ボイスプラス 2009年5月)


題名のごとくの内容である。この中に以下のような一節がある。


首都圏の近くに原子炉をつくれ


いまこそ原子炉建設を強力に進めるため、国はその障害を1つずつ取り除いていくべきだろう。安全審査があまりに厳しく、膨大なコストと時間がかかってしまう。設置場所や使用済み燃料の貯蔵場所についても、地域住民の賛同を得られにくい。」


「マスコミや住民もヒステリックな反応は避けるべきだ。彼らはすぐに「絶対に安全か」と問う。しかし本来、科学技術に「絶対」などない。自動車にしてもアクセルとブレーキを踏み間違えれば人を殺すわけで、あくまでそれを踏まえた大人の議論が求められている。」


更に以下のように説く。

「国民のコンセンサスを得ることができれば、もっと首都圏の近くに原子炉をつくることもできるだろう。」


彼の主張が実現していたら、もっと早いスピードで、しかも安全審査をゆるくした原発が大量に出現していたところであった。しかも人口密集地の近くにである。


今回の大前研一氏の論旨は明快で分かりやすい。しかし、過去の自らの言説への反省なしに、すまし顔でご高説を垂れ流すのは、余りに厚顔無恥ではないか今、現場で高放射能に晒されつつも戦っている作業員たちは、こういった恥知らずの原発推進論者(彼自身技術者でもあった)の犠牲者ではないか。


何が今回の事故を招いたか、こういった者の思考法の欠陥を探ることもさることながら、原発の推進を許してしまった我々国民も猛省しなければならない。