政治とメタルと網膜剥離 -52ページ目

東電の免責を国会で求める自民党衆議院議員吉野正芳と原子力利権を批判した河野太郎

本日の衆議院予算委員会で、自民党(町村派・清和会)の吉野正芳氏が、福島原発事故に関し、原子力損害賠償法に基づく東電の免責を求めたという。

福島第1原発:東電の免責求める 自民・吉野氏(毎日新聞)

(以下引用)

29日の衆院予算委員会で、福島第1原発事故を巡る東京電力の賠償責任免除を求める質問を自民党の吉野正芳氏が行った。原子力損害賠償法には「異常に巨大な天災地変」時は免責する規定があり、吉野氏は「莫大(ばくだい)な災害が起きた場合に東電の責任を無視して全部国がみる規定になっている。東日本大震災を過小な災害と認定するのか」として国が一義的に責任を負うよう主張した。

 ◇首相「税金で全賠責、違う」

 菅直人首相は「財源は国民の税金。国がすべての賠償責任を負うのは違うのではないか」と答弁。枝野幸男官房長官も記者会見で「国会などでも大津波によって事故に至る危険性が指摘されていた。免責条項に当たる状態ではないと明確に言える」と否定した。

 吉野氏の主張について自民党の石破茂政調会長は「東電の社会的責任を認識したうえでの発言と理解している」と説明、免責の是非については明言を避けた。東電側は清水正孝社長が28日に「そういう理解があり得る」と述べるなど、免責条項の適用を求める姿勢もちらつかせている。

(引用終わり)


自民党が馬脚を現した。かねてより自民党がこれまでの原発行政について反省の弁を述べないことに疑問を感じていたが、何の責任も感じていないこともこれで明らかになった。


しかも吉野は選挙区こそ鞍替えで異なるが、今回の事故で大きな被害を受けている福島県いわき市の出身である(選挙区は白河市、須賀川市等)。彼は本心でこの質問をしたのだろうか?それと原発推進政策を首相在任時に本格的にスタートさせ、石油などエネルギー関係に絶大な利権を持った岸信介の末裔たる清和会の一員として、このような質問をせざるを得ない状況に追い詰められたのだろうか?

吉野は前回選挙では、民主党玄葉光一郎にトリプルスコアで敗れている。玄葉によほどの失策がない限り次回も勝ち目がない。いわき市出身で福島県選出ということに加え、選挙区状況の悪さを利用され、このような質問をさせられたとしか思えない。そうでなければ余程の「毒まんじゅう」を食らわされたに違いない。

一方で、河野太郎は、自民党議員としては思い切った原発利権批判を行なっている。賠償責任においても「東電には鼻血も出ないという状況まで賠償させなければならない」という主張である。彼は原発草創期において「正力-河野論争」において、原発推進を正力・電力会社が主張する民間主導ではなく、国のコントロール化で進める主張を行なった河野一郎を祖父に持つ。


「日本の原子力は全体が利権になっている!」河野太郎議員会見(BLOGOS)


(以下引用)

電力会社、電気事業者連合会、経済産業省がとにかく原子力の利権を守ろうとマスコミを巻き込んで、「原子力は大事なんだ、安全なんだ」というプロモーションをやってきた。テレビも経営が苦しいのはわかるが、だからと言って、広告宣伝費で心まで売ってしまうのはマスコミとしてどうなのか。公益企業で地域独占なのだから、なぜ今、広告をする必要があるのか、東電の賠償金をどうするかと議論しているときに、「節電しよう」というCMを平気で流しているTV局には考えてもらわないといけない。

(中略)

Q:なぜ、合理的に説明できない原子力発電が推進されてきたのか?

日本の原子力は全体が利権になっている。
電力会社はとにかく地域独占を崩されたくない、送電と発電の一体化を維持したい。それを守ってくれる経済産業省の意向を汲む、天下りをどんどん受け入れる。経済産業省にしてみれば、前任者のやってきたことを否定できずに来た。原子力、核、放射線と名前の付いた公益法人、独立行政法人、山ほどある。そこにお金を上手く回して天下りさせる。電力会社も広告宣伝費で協力金を撒いてきた。自民党も献金を受け、パーティ券を買ってもらった。民主党は電力会社の労働組合に票を集めてもらっている。学会も電力会社から研究開発費をもらい、就職先を用意してもらってきた。さらに政府の意向に沿った発言をしていると、審議会のメンバーに入れてもらえる。マスコミは広告宣伝費をたくさんもらって、原子力政策の批判はしない。みんなが黙っていれば、おいしいものがたくさんある。そういう状況が続いてきた。

(中略)
Q:自民党の歴代政権が原発を推進してきたが今回の事故後に、反省、謝罪を聞いたことがない。そんな自民党に未来はないのでは?

自民党はこれまで原子力推進を捻じ曲げてきた責任がある。
自民党がやってきたおかしなところ、保安院が経済産業省の下にあるなど考えられない。カルチャーがおかしい。環境関連の法令も、自治体へのバラマキもおかしい。
自民党が今までやってきたことは間違いだったと、謝るところは謝らないと。立ち止まって考えないと、自民党に未来はないと私も思います。
(引用終わり)


極めて率直な主張だと評価したい。なぜこのような主張が自由報道協会というフリー記者ルートで、マイナーなネット媒体を通してしか流れないのか、我々は疑問に思わなければならない。冒頭に書いたとおり、自民党を代表して出てきている質問は、冒頭の「東電の免責要求」なのである。


正力以来50年以上に及ぶ洗脳の結果だろう、この期に及んでまだ日本における原発の将来を信じている人が多く存在するらしい。それに河野の言う原子力利権がつけこんで延命を図っている。河野が言うように、原発利権の根は深く、その腐敗が自民党中枢はもちろん、マスコミ(特に新聞・TV)にまで及んでいると認めざるを得ない。



今の政権は末期的状況にあるが、だからといって安易に自民党に期待することは禁物である。特に原発政策に関しては。