菅直人の居座りと鳩山との「確認文書」そして亀井静香待望論
菅内閣の不信任案成立への流れを止めたのは、菅首相-鳩山前首相間で合意された「確認文書」だったとされる。当初、この文書は表に出てこなかったため、いわゆる「密約」文書と言ってよい。
ところがその後、菅直人が当面政権に居座るかのような発言をしたことで、鳩山が怒ってしまい、文書の存在を明らかにしてしまった。
「確認文書」の内容は以下の通りである。
一、民主党を壊さないこと
二、自民党政権に逆戻りさせないこと
三、東日本大震災の復興並びに被災者の救済に責任を持つこと
(1)復興基本法案の成立
(2)11年度第2次補正予算の早期編成のめどをつけること
これを読む限り退陣時期どころか、退陣という言葉すら書かれていない。菅の退陣を求める確約としては、あまりに貧弱な内容である。輿石東がこの件で平野博文元官房長官を怒鳴り挙げたのは当然である。
密約文書は、表に出た瞬間に効力を失うと言われている。かつて岸信介が首相在任時に、大野伴睦の協力を求めるために政権譲渡を文書で確約した。これは政権担当の順番を岸⇒大野⇒河野一郎⇒佐藤栄作と決め、当事者の署名まで入ったものだった。しかし、次第に岸と大野の間が疎遠となり、焦った大野は密約文書の存在を匂わし牽制したが、政権の座はついに回ってこなかった。
今回の文書は、かつて自民党政権時代にもしばしば存在した文書と比べても、あまりに稚拙で、詰めが甘い。鳩山もさることながら、案を作った平野の能力の限界がここに見える。もっと退陣時期やその要件を誰が見てもはっきり分かるように書き込んだ上で持ち込み、応じなければ席を立てばよかったのである。
一方菅直人の対応はそれ以上に問題である。事ここに至っては、もはや菅は退陣するしかない。その首と引き換えに復興関連法案、予算案を通す、ということでよかったはずなのに、政権延命に色目を使いだした。全く状況が読めていない。
今回の不信任騒ぎで重要だったのはだったのは、
・政治的空白を避けるために解散総選挙や政界再編を防ぐこと
・復興関連法案、予算案を通し、復興への道筋をつけること
である。この二つの目的が達成できるのであれば、菅は潔く政権を去る姿勢を見せるべきだった。早期退陣を表明でもしたら、政権が死に体にでもなると思ったのだろうか。むしろ期限を明白に切って政権を去る表明をした方が、反対勢力は攻め手を失い、当面の政権運営はスムーズになるはずであった。現政権には本当に低レベルの陰謀家しかいないらしい。
この件について亀井静香は以下のように述べている。
(以下引用)
国民新党の亀井静香代表は3日午後、都内で記者団に対し、菅直人首相と鳩山由紀夫前首相の間で首相の退陣時期をめぐる見解が分かれていることについて、「鳩山氏は『(首相との)約束を信じている』と言えばいいのであって、要らんことを言う必要はない」と述べた。
一方、「首相は発した言葉を絶対に守らなければいけない」と強調。退陣時期については「地方の復興についての法案も成立し、(震災復興の)めどが付いたら辞めればいい」と語った。
(引用終わり)
亀井の言う通り、今すぐ鳩山が騒ぎ立てると、いたずらに政局を混乱させることになる。まずは鳩山が直接菅に会って、質すべきだった。
弱小政党の党首に過ぎない亀井は、ある意味諦観をもって冷静に現状を眺めている。そんな中、石原慎太郎都知事は時期首相には与党では亀井が良い、との発言をしたということである。私は石原の主義主張に共鳴するものではないが、この発言については賛同する。もっとも菅も最近は亀井にすがっているように見えたが。
(以下、石原の発言)
「与党の中では亀井静香が良い。菅は嫌がって使わないんだ。できる人間は。亀井を据えたらいいんだよ。亀井を総理大臣にしたらぱっと動き変わるよ。静かじゃないんだからあいつは」
(追記)
菅直人が8月までに退陣するとの意向を示した、とのニュースが流れていた。相手が石井一で、記者会見したものではないが、この流れは強まると思う。復興への歩みだけは止めないでもらいたい。反対する政治家も、政治的空白だけは生じないよう、心していただきたい。この非常時下に政治的空白を作り、何も決められない、結果事務方も動けず、復興が止まるような事態を招くことは万死に値する。皆様も浅薄な強硬論には注意されたい。
<菅首相>8月までに退陣意向 「2次補正と特例公債処理」