わかった気になる。

 

何かに対して、わかったと自分の中で結論づけることは、時に大きな弊害を生む可能性がある。

 

戦争などいい例だと思う。

通常であれば、情動的に人を殺したくなんかない。

生身の人間を前にして、銃を向けて引き金を引くなんて恐ろしいことだと思う。

ところが、敵国の人間に対して、「あいつらは人間の心を持たない、残忍な奴らだ」であるとか、「これは正義の戦いだ」とか、戦時中に言われた「鬼畜米英」なんて言葉はいい例だけれど、さかんにそういう言葉を吹き込まれて、それが正しいことなんだと自分の中で結論づけてしまうと、それ以降迷わなくなる。

 

わかった気になってる人というのは、時に恐ろしい。

 

「わからない」

迷いを抱えて、わからないと思っている時の方が、心の状態としては好ましい。

その状態というのは、無知のためわからないということではない。

様々な方面に目を向けて、学んで、知って、知って、知って、そうしてわからなくなる。

それでいながら、わかろうという意欲を失わずに探求し続ける。

そういうあり方が好ましい。

 

どういうことかというと、何かを理路整然とした形で、「これがこうなって、だからこうでこうなる」とわかるには、ある程度視野が狭い方がやりやすい。

視野が狭い方が、矛盾したことに直面しづらくなる。

ところが、視野を広げていって、多くのことを知るようになると、辻褄が合わないところが出てきてわからなくなる。

 

ところが、わからない状態が好ましいと言っても、わからないという状態は、いろいろと不都合が生じる。

もし、作家であれば、わからなくなった瞬間に、言葉を失う、書けなくなる。

昨日まで自信を持って主張していたことを、今日は主張できなくなる。

それを恐れてる人は多いんじゃないだろうか。

 

だから、自分の意見と合う人とばかり繋がろうとする。

この人の言うことは正しいと思った人の話ばかりに耳を傾けようとする。

 

僕も大学に入ったばかりの頃はそうだった。

「この人の言うことは正しい」と思うと、その人の本ばかりを読んだ。

心のどこかで、視野を広げることによって、わからなくなることを恐れていたのかもしれない。

何がきっかけだったか忘れたが、いつからか、自分の好きな作家と敵対するような作家の本も読むようになったし、好きでない作家の本も、それほど興味のない作家の本も読むようになった。

なぜかというと、より本当のことを知りたかったからだ。

いつからか、自分の視野を拡げることで、自分の既成概念を壊していくことが楽しくなった。

 

宗教だったら、仏教のあらゆる宗派の本を読む。あらゆる経典について書かれた本を読む。大乗仏教だけでなく上座部仏教の本も読む。キリスト教の本も読む。聖書も読む。

ただ何となく読むのだったら、それほど困難ではないが、そこまで視野を広げて、何か答えを見出そうとうするのは極めて難しい。

何か一つに絞ってそれだけを信じていくよりはるかに困難だ。

だが、僕はそれでいいと思っている。

わかったと思ってしまった瞬間の方が要注意だ。

 

先ほど、戦争の話を取り上げたが、手塚治虫の先の大戦を描いた漫画で、なんの漫画か忘れたが、アメリカ兵を鬼と信じ切った日本兵が戦闘機を故障させてしまい、不時着した島でアメリカ兵と出会うシーンがある。

話の詳細はよく覚えていないのだが、その二人は殺し合うことなく、しばしの間交流する。

そして、日本兵は相手のアメリカ兵も自分と同じ人間だということに気づいていく。

これも新しい視野でアメリカ兵を見た瞬間だろう。

きっと、その瞬間、自分が信じてきたことがわからなくなったに違いない。

 

進撃の巨人にも似たようなシーンがある。

幼い頃から、敵国の人間を悪魔だと教え込まれた少年少女が、あるきっかけで敵国に潜入する。

特に国に忠誠を誓った少女は、敵国の人間を容赦なく射殺出来るほど敵国の人間を殺すことは正しいと信じているのだが、そこで少年少女は、自分達をかくまってくれる親切な家族に出会う。しかも、その家族の中の1人は、少年少女が自分達の国を蹂躙した国の人間と知っていながら親切に接する。徐々に少年少女は敵国の人間は悪魔ではなく、自分たちと同じ人間だということに気づいていく。

少女の既成概念が壊れて、迷いに沈んでいくシーンは印象的だった。

以下の動画はそれがわかるシーン(ネタバレ注意)。

 

参考動画 

曹洞宗、福井県霊泉寺の住職の南直哉。

南直哉の本を3冊ほど読んだ。

仏教を教えを深く理解するのに非常に役に立った。考えが合わない部分もあるが。

 

 

 

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吉井豪
1979年生まれ。群馬県高崎市出身。
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