4thアルバム 『Pull』 (2010)。

3rd 『Go on...』 (1987)に続くアルバムとして1989
~90年に掛けて制作されるも、結局お蔵入りとなって
しまったものが、20年経って漸く日の目を見た。
海外ではブートとして入手も可能だったみたいだが、
今回のものはメンバーのコメントも載っている正規盤。
ボーカルのRichard Pageは、
「アルバムは子供みたいなもので、その子が幸せに、
そして成功を修められるようにする為に、出来ることは
何でもする。
しかし『Pull』は注目されるに値するポテンシャルを有して
いたにも関わらず、その機会さえ奪われた孤児のような
ものだ。」
といったコメントを寄せている。
『Broken wings』、『Kyrie』という大ヒットを飛ばしながら
それから5年も経たず自信作がリリース拒否の憂き目に
遭うとは思いもしなかっただろう。
このアルバム、ゲスト・ミュージシャンとしてTrevor Rabin
の名がクレジットされている。
ソロ・アルバム 『Can’t look away』の時期に重なる。
『90125』や『Big generator』といったRabin加入後の
YESも好きだったので、このソロ・アルバムには大いに期待
したものだったが、スケール感はあっても起伏のあまりない
メロディーの曲ばかりでガッカリしたものだ。
『Pull』は、そんなRabinが曲作りには参加していないものの
実に似ている。
元々凝った良いメロディーを生み出してきたバンドだが、今作
では考え過ぎて、こねくり回し過ぎて、却って平板に聴こえて
しまうというワナに陥っている。
それをシンプルなアレンジでやればまだ良かったのかもしれ
ないが、やはり凝り倒したアレンジを施してしまっているという
ドツボ状態。
これがこのバンドの持ち味、と言ってしまえばそれまでなの
だが。
ファン目線でならこのアルバムも充分ありだが、当時お蔵入り
してしまったのも残念ながら頷ける。
『I don't know why』というタイトルで収録の、アルバムの中で
最もダイナミックな展開を見せる一曲。
こういう曲があと2つでもあるだけで、アルバム全体の印象は
大きく変わったことだろう。