東北・福島の旅(後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式) 前編 | 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

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後藤仁ブログ2~絵師(日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙)後藤仁の日本画・絵本・展覧会便り。東京藝大日本画卒,後藤純男門下。「アジア/日本の美人画」をテーマに描く。東京藝大,東京造形大講師。金唐革紙製作技術保持。日本美術家連盟,絵本学会,日中文化交流協会会員。

 2018年2月6日~7日に、「東北・福島の旅」をしました。今回の旅の期間は短いのですが、『後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式』を兼ねた重要な旅です。

 

 1日目(6日): 朝、9時過ぎにレンタカーを借りて、松戸を出発しました。常磐自動車道を通って、12時頃、いわき湯本I.C に到着。一旦、予約しておいた宿「いわき湯本温泉 古滝屋」に寄って、荷物の一部を預けました。

 

いわき湯本温泉 元禄彩雅宿 古滝屋

 

 まずは、いわき湯本温泉からも近い「いわき市石炭・化石館 ほるる」を見学。私は子供の頃、化石や恐竜等の古生物学が大好きだったので、今でも関心が高いのです。館内は広大で、子供の頃に憧れた、フタバスズキリュウ(正式名は、フタバサウルス・スズキイ というそうです)やティラノサウルスやトリケラトプスや、様々な恐竜・翼竜等の化石がありました。大迫力です!! 石炭の模擬坑道も、少しお化け屋敷的で面白かったです。特別展の「古代オリエントの世界」も私の関心の高い分野なので十分に楽しめました。

 

いわき市石炭・化石館 ほるる

 

 車で移動して、「願成寺・国宝 白水阿弥陀堂」を拝観。ここには前々から訪れたかったのですが、機会がなかったのです。平安期の浄土庭園は静かなたたずまいで、阿弥陀堂は均整の取れた美しいお堂です。堂内に安置された定朝様の阿弥陀三尊像・天王像も優れた造形です。堂内の写真撮影不可はやむを得ないのですが、スケッチも不可なので少し残念でした。

 

願成寺・国宝 白水阿弥陀堂

 

 時刻は午後2時頃です。お腹が空いたので道中、食堂を探し、「ラ・パレット」というベーカリーカフェ・定食屋に入りました。パン屋と定食屋が合体した変わった造りの食堂です。店員に聞くと、隣の自動車学校に併設された食堂という事で、それでこんな造りなのです。海老フライ定食とパンを2つ注文しましたが、若い人向けに安くて結構ボリュームがあり、パンを一つ残して持ち帰りました。

 そこからしばらく道を走り、海岸へ出ました。広大な太平洋の海景は、すがすがしく美しい光景です。ただ私は、東北の海岸を見ると、4年前に訪れた大震災被害の傷痕が生々しく残る宮城県の海岸を思い出します・・・。〔東北写生・絵本寄贈旅行にて(2013年11月11日~14日) https://ameblo.jp/gotojinjapan/entry-11710161469.html 〕

 四倉の海岸に降りました。海岸線は、巨大な堤防工事の真っ最中でした。堤防の斜面に林立する、幾多の木の杭は、何か私には墓標のようにも思えて、身震いしました。 「まだまだ、東日本・東北大震災の復興は、終わっていない・・・」

 

四倉の海岸  巨大堤防の工事中。

 

 「波立寺・波立薬師」を拝観し、波立海岸の大岩をSM号スケッチブックに写生しました。風が冷たく、波は険しく打ち寄せます。私が育った、瀬戸内・赤穂の穏やかな波とは違います。

 

波立海岸  日常でも波が強いです。

 

 そこから南下し、新舞子浜を走ります。白砂青松100選にも選ばれた、砂浜と松林が続く景色は実に美しいです。新舞子浜公園近くの海岸に出て、人一人いない夕方の寒々しい海岸を逍遥しました。私は、こんな旅先での静かな夕暮れの、憂愁感が何よりも好きなのです。砂に埋もれかけた構造物に腰を掛け、先程残しておいたパンをかじりました。「この辺りにも津波は押し寄せたのだろうか・・・、子ども達も、老人も、そこにいた人々は、さぞ恐ろしかった事だろう・・・・」 また、あの時のおぞましい光景を思い出し、涙が出そうになりました。

 

新舞子浜公園近くの海岸  風が冷たいです。

 

 薄磯海岸を通り、塩屋埼に到着。もう時刻は5時過ぎ、塩屋埼灯台は閉まっていました。灯台を遠望し、美空ひばりの石像を見て、この灯台見物の続きは明日にしようと、宿に向かいました。

 

塩屋埼灯台

 

 すでに周囲は真っ暗で、道路の状況がよく分かりません。今までの旅では、何とか地図・看板を頼りに、道に迷いながら進んだものですが、今の時代、カーナビとは実に便利な代物です。ただ、動物的直感・本能は確実に薄れるのでしょうな~。

 

 本日の宿、「いわき湯本温泉 古滝屋」に到着。私の部屋は一番安い、一泊6000円(朝食付き)の部屋ですが、それでも広くてとても素敵な部屋でした。宿の食堂が閉まっているので、外に出て食事できる場所を探しました。東北の美味しい魚でも食べたかったのですが、なかなかそんな店がありません。「ハラル食堂」という店が目に留まりました。「ハラル」とは「イスラム法上で食べることが許されている食材や料理」の事だと知っていたので、日本では珍しくもあり、アジアの旅好きの私としては興味もあり、入ってみました。前はミャンマー人のコックさんが働いていたそうですが、今は日本人の料理人が一人で切り盛りしているそうです。「ハラル定食」というセットをいただきましたが、独特の香辛料の風味はアジアの旅を思い起こさせ、本格的な味わいで美味しかったです。

 

「ハラル食堂」ハラル定食  インドでも定番の料理、サモサやキーマカレーが美味しいです。

 

 宿に戻り、温泉につかって一息つきました。これまでの日本旅では、おおよそ車中泊でしたが、年齢もそれなりに重ねて、「これからは、あまり無理をし過ぎない旅をしなければ、身体がもたないだろうな・・・」と、湯につかりながら、ぼんやり思い返していました・・・・。

 

 この続き、旅の2日目は次回といたしましょう。

 

  日本画家・絵本画家 後藤 仁