日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -149ページ目

小説 「猫と女」 第一話

「僕」のところに、ふらりとやってきた猫


全てはそこから始まった



小説ミラーサイト 微かな戦慄~愛憎、死、そして…


小説が読みやすいようなレイアウトに調節してあります。





 猫が鳴いていた。


 耳が垂れていて、長毛で、三毛猫である。


 僕のそばまでやって来て、体を擦り付ける。

いつものように、えさを小皿にやった。

のどを鳴らしながら、えさを噛み砕いている。


食べ終わると、玄関の前に座り、鉄製のドアをじっと見上げている。


 一度、僕の方へ振り返り、非難の視線を投げかけてくる。


 なぜ、あいつは戻ってこないのか、と。

 




 この猫と出会ったのはある夏の日だった。


 玄関を開け放っていると、猫がこちらをじっと見据えていた。

決してかわいいという面構えではなかった。 

 どこか挑んでくるような視線で、何故か怒りで目を吊り上げてるように見えた。 


 ためしにミルクを与えてやると、翌日またやってきてえさをねだるようになり、いつの間にか勝手に家に上がるようになった。


 はじめはかわいげの無いその表情に、愛着はわかなかったが、ニャーというかわいらしい鳴き声でやってくるその姿が、僕は次第に好きになっていった。


 そして、僕の飼い猫になった。

 毎日外に出てゆくが、えさを食べに必ず戻ってくるし、夜はワンルームのアパートの隅で丸くなって眠った。

 


 あるとき、三日たっても猫は僕の部屋に帰ってこなかった。


気まぐれな猫で、またどこか誰かの家に行って、そのまま居座ったのだろうと思って、それほど気にもかけなかった。


 四日目に猫は戻ってきた。


 南側の窓は締め切っていたので、外で鳴き、窓を前足で叩いて僕を呼んでいたのだ。


 喜んで窓を開けると、猫の後ろに女が立っていた。


 「この猫、いつも私のところに来て、えさを食べていたのよ」


 女がいきなり言った。


 背が高く、長い髪は肩を超えて胸の近くまで垂れ下がっている。


 長く細い腕が胸の前で組まれていて、片側だけ口角を上げ、僕を睨んでいた。


 笑っているのだと僕は気づいた。


 言葉に詰まり、僕が立ち尽くしていると、女は突拍子も無い提案を僕になげかけてきたのだった。



「この猫、私に譲ってくれない?」



 僕はこの女を見ながら、猫のようなやつだなと思いながら、こう答えていた。



「いいですよ」




第二話へ続く~



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いつもの如く、早朝たたき起こされた。

いつものような罵り。

だたし、その日は違っていた。



~この段落は、カットさせていただきました。完全版にて読む事が出来ます~

妻は激高し、神棚に供えてあった父と母のコップを、立て続けに俺めがけて投げつけてきた。

その一つが、ものすごい勢いで肘に当たった。

俺は激痛で悲鳴を上げ、痛打した肘を右手で押さえた。

生暖かい物が流れ出してきた。

そのまま背を丸め、俺は激痛に呻き続けるしかなかった。

俺の子供の母親は、眉一つ動かさずに、俺を罵り続けた。

激痛と、血まみれの傷口に動転し、俺の子供の母親が何を言っているかさえわからなかった。

いつまでも、いつまでも、それが続いた。

枕と布団に赤い染みが広がっていった。

血は流れ続けている。

押さえている右手を観ると、所々、血がドス黒く凝固していた。

俺はだんだんと落ち着いてきて、考える余裕が出てきた。

以前、コップを投げつけられたときは、腰に当たった。

今日は、肘だった。

だんだん精度が上がってきている。

もし、顔に当たったら。

目に当たったら。

俺は恐怖に駆られた。

俺の子供の母親が、心底怖くてたまらなかった。

次にこうなった場合、間違いなく、顔を、目をやられるに違いなかった。

もう、これ以上口答えするべきではなかった。

もう、これ以上痛めつけられられるのはごめんだった。

ひとしきり罵り続けると、満足したのだろう、俺の娘の母親は、居間へ戻っていった。

流れ出す血の勢いは、大分収まってきた。

血を拭うと、恐ろしく深く肉が抉られていたが、傷口自体は小さかった。

拭っても、すぐに抉られた穴が、血で満たされたいった。

薬箱に絆創膏すらなく、ティッシュを傷口に当てて、テープで留めて、俺はもう一度眠った。

目を覚ますと、傷口に当てたティッシュもテープも血まみれだった。

それでも、血は止まりそうだった。

テープとティッシュを換え、俺は職場へ向かった。

血は、職場に着いて二時間後に止まった。

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