日々を生きる。~大切なものを失って得たもの。 -148ページ目

音のない世界〜汝、罪を知れ

朝、目を醒ますと、俺は倦怠と痛みで立ち上がる事が出来なかった。

布団の上に座り込んで、暫くじっとしていた。

人の気配は無かった。

金魚のポンプの唸る音。

遠く、微かに聞こえる鳥の鳴き声。

それ以外、何も聞こえない。

とても静かだった。


何も考えられなかった。

布団と枕に広がった血の後を、見つめてながら。


肘の痛みは治まらず、腕全体が痺れていた。


起き上がって、誰もいない居間に入る。

テーブルには、様々な請求書が幾つも積み重ねられていた。

俺の娘の母親の、心憎いまでの演出だった。

なにをすれば、俺を痛めつけられるのか、熟知していた。


昨晩の事が思い出された。

娘と一緒に、夜の10時過ぎに帰宅すると、第一声が、お母さんは疲れた、だった。

それから、何度も何度も、娘にご飯は食べなくても大丈夫かと念を押した。

夜の10時過ぎだった。

そんな時間まで、飯を食ってない訳が無かったし、娘に飯を食わせないのは、母親の責任と思えた。

しかし、帰って来ても、釜に飯がないと、俺を非難したいのだけなのだ。

俺は、飯を中断し、空腹のまま、布団へ潜り込んだ。



外は晴れていた。


俺はいつものように、職場へ向かった。



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詩 「カップラーメン」

昼休み。


薄暗いバックヤードで、一杯のカップヌードルを啜る。


食べ終わると残りの休み時間はゆっくりと本を読んだ。



泣きながら。



壁にはゴキブリの糞が、黒い点となってへばり付いていた。


それでも、唯一、心の安まる瞬間だった。




帰宅すると居間には、俺の娘の母親がいた。


そっとキッチンへ行って、夕飯を探す。


何もなかった。


ひどく落ち込みながら冷蔵庫を漁ると、冷凍された飯があった。


解凍し、マヨネーズと七味をふりかけて喰った。


立ち食いだった。


居間からの、無言の圧力。


すぐに飯をかき込んで、部屋へ逃げ込んだ。


痛めつけられないうちに……。




昼のカップラーメン。




それは夕飯より、ましな食い物だった。






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肘が痛い。


ちょっと触れただけで、飛び上がるほどだ。


大丈夫だろうか?


ちゃんと、曲がるから、大丈夫だよね?

くそったれ!バイト探し 2.0

くそったれ!バイト探し(1.0)




バイトの面接へ向かった。


大手、レストランチェーンの飯作りだった。(飯作りといえるのかな?ただ暖めるだけなのに)


正面から店に入り、入り口で待たされた。



すぐに、やたらと背が高く、あごのしゃくれた店長が現れた。


俺は何故か、そのフランケンに親近感を覚えた。


そんな俺の気持ちを察したのだろうか、フランケンも終始笑顔だった。


履歴書を見て、いろいろと質問してくる。


たかがバイトの面接なのに、何故そこまで事細かく追求するのだ、と思ったが俺はやたらとテンションが高かった。


事実を、おもしろおかしく話していった。



深夜のバイトである。


ダブルワークについての懸念は、必ず質問された。


「へっちゃらですよ」


俺は言っていた。


深夜帯は学生のバイトのみだけれど、年下と仕事をするのは平気かと聞かれた。


「ぜ~んぜん、平気ですよ」


するとフランケンは、年が離れていても、あんたならば学生とすぐに仲良くなるだろうと言った。


俺は大いに手応えを感じていた。


やっとバイトにありつけることになるだろう。



髪型に話題が移った。


俺の髪型が、店の規定に抵触するかもしれないと、フランケンが言い出したが、すぐにそれはないだろうと訂正した。



俺は微かな不安を感じたが、満面の笑みと、はきはきとした挨拶をしてその場を去った。




合否判定は、数日後の電話連絡だった。


指定された時間に電話がなければ、不採用だった。



俺は指定された時間に飯を食いながら、待っていた。



電話が鳴った。



携帯を握りしめる前に着信音が止んだ。


すぐに、かけ直す。



「先ほど、お電話いただいたのですが。山南と申します」



「あ、ごめんなさい。間違えました」


「……」



間違い電話だった。




指定された時間が過ぎた。



結局は、電話は鳴らなかった。




くそったれ!バイト探し(1.0)







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