経済政策論の課題2013.01 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

細野豪志サポーターズクラブ「豪衆会」は新規会員を募集中です。

自民党「Jファイル2012」総合政策集を読んで、支持したい政策・支持できない政策を論じよ

(1000字以上)

 

① 支持したい政策

自民党政策集56番【若者の就職応援】

 高齢者層の失業は不幸なことであり本人たちは不安だろうが、翻って若年層の失業は「社会不安」の原因となりかねないという意味で、国家をさらに不幸な状態にする。この政策集の「新規学卒就職できなった人を孤立化させない取組」というものが具体的にどのようなものかはイメージできないが、社会の秩序と安定を保つためには、何としてもここを押さえ込む必要がある。 小泉政権による新自由主義的政策が「格差社会」の到来を招いたため、日本社会はかつてないほど不安定になった。10%前後と言われ、さらに悪化の兆しを見せている若年層の失業率を上昇させないための取り組みは、喫緊の課題であり、これを4年間で半減させるという目標は評価できる。 「年長フリーター等(25~39歳)を重点とした正規雇用化の支援や、産・官・学が連携しての人材育成を活用」とあるが、これに「軍」を加えて年長フリーターを心身ともに鍛えなおせば、4年で半減という目標達成も容易だろう。

 

②支持できない政策

自民党政策集296番【漁港などの強靭化、安全で豊かな漁村づくりの促進】

 耳あたりの良い言葉が並んでいるが、この中の「小規模漁港の切捨ては許しません」というフレーズに古い自民党体質的なものを感じてがっかりする。 「国土の均衡ある発展」というスローガンのもと、全国に高速道路や港や空港を作り続けた結果、財政赤字を垂れ流し、孫や子どもの代へと借金をツケ回ししたという反省が感じられない。 震災前の状態に戻っただけでは漁業に将来はない。高い付加価値を取れる漁業、生産性の高い漁業への転換が不可欠なのだ。例えばノルウェーのような。

 

 ノルウェーは漁業が重要な輸出産業になっており、魚を150カ国以上に輸出している。漁業者は若者でも1000万円の年収がある。日本の漁業者一人当たりの所得が平均300万円というのだから、その年収の差は3倍以上ということになる。漁業者の年収から見ても、三陸沖に世界有数の漁場を抱えているはずの日本漁業を衰退させた原因が、自民党長期政権による政策の誤りであったことは紛れも無い事実だというのに、古い自民党への回帰がこの政策集のあちこちから腐臭のように匂い立つ。

 ノルウェーの水産業に競争力がある理由は、徹底した資源管理と漁獲枠の設定にある。ノルウェーでは鮮魚として食卓に上がる魚は最低落札価格が公的に決定されており、それ以下では入札できない。価格は電子的なオークション・システムで決まる。 漁業者の収入は安定するし、船ごとに漁獲量が割り当てられるから、先を争って漁をする必要はなく、高く売れる魚だけを選んで漁獲するという行動がとられる。だから未成熟な小型の魚は漁獲しない。日本漁業の「オリンピック方式」と呼ばれる早い者勝ちの漁獲の仕組みが水産資源の枯渇と自らの衰退を招いているのとは対照的だ。

 

 ノルウェーの仕組みは所得保障制度でもない。補助金を無くすことで、過剰な漁船や漁業者が排除され集約化が進んだ。むしろ漁業者は「資源料」を政府に払う義務が課せられている。

   
日本とノルウェーの水産業の比較(岡本義行2012)

                日本   ノルウェー

生産数量(千トン) 5890    3409

生産金額(億円) 17189    2660

就業者数(万人)  34.3     1.4

港数          2931        500

漁業協同組合数  1480      6

生産コスト(万円/t)   29     7.8

 

 日本漁業の最大の課題は「収益性の低さ」「付加価値の低さ」であることは上記のデータから明らかである。 今こそ選択と集中によってこれを解消するチャンスでもあるはずだ。 しかるに最初にあげた「小規模漁港の切捨ては許しません」と言うセリフを聞けば、漁業の再生は無いことは明らかである。一部の土建業者が喜ぶだけだ。