【政治家になろう~妖精さん奮闘記~ 特別企画】
新型コロナウイルス(Covid-19)感染症が世界中で猛威を振るっている。
3カ月に及ぶ「全国一斉休校」、そして外出自粛によって日本経済はドン底に落ち込んだ。
2020年7月15日現在、日本での犠牲者は984人。死者数の倍加時間は72日と、いったん抑え込んだかに見える感染爆発。しかし、首都東京で新型コロナは再び感染者を増やし始めている。
主人公:『田中陽生(はるき)』~S市議会議員38才。交通事故でナイト2000のAIの中に棲んでいた妖精さんと入れ替わってしまう。陽生の心はタブレット端末経由で議会に。
「妖精さん」~先史人類時代、地球を支配していた存在。脳死状態だった陽生を、現在、絶賛自動運転中!
陽生は議事録を読んでいた。
6月議会の一般質問は「新型コロナ対策」ばかりが並んだが、深刻な問題も判明した。
休校中の児童の「一時預かり」で、教室内にただひたすら、じっと座らされていた新一年生。
教育問題に詳しい女性議員が「ある意味虐待だ」と追及したのだ。
教育長答弁は以下の通り。
「預かり教室の一番の目的は家庭支援だった。もし我々がやらなければ、社会が回って行かない。しかし文科省通知で自習を中心にやらざるを得なかった。ソーシャルディスタンスを確保せざるを得ず、教師にとっても子どもたちにとってもつらい時間だった」
・・・
「一斉休校かわいそう」
『子どもの一時預かりは福祉(学童保育)の仕事なのに、教育委員会は何をトチ狂ったんダロ』
「コロナ怖い?」
『妖精さんの超科学力でコロナを退治できないノカ』
「無理。ウイルスは、ある意味進化の頂点」
『デモ、寄生主がいないと増えない半生命体ダロ』
「だから、本来、宿主を殺すことは無い」
『死亡率は3%を超えてるゼ』
「高リスク層の致死率4%、でも低リスク層の致死率は0.02%以下」
『ドウイウコト?』
「高リスク層つまり高齢者と持病を持つ人たち。低リスク層、健康、抵抗力のある人」
『高リスク層と低リスク層?感染者が2種類いるってコト?』
「イスラエルのシャシュア博士の論文、検索してみて」
『オ!自動運転のモービルアイの創業者ジャン』
「うん。コンピュータ科学者。自動運転AIはこの人の発明」
『ア、この論文・・・感染爆発の分析してる』
「そう。自動運転は安全性と利便性のバランスが常に問われるの。事故の可能性をゼロにしたいなら、車に乗らなければいい。でも人間は生活のために車に乗るの。だから、事故の可能性を十分に減らして、自動車を走らせるの。それがコンピュータのお仕事」
『ツマリ?』
「ウイルスを恐れながら、どうやって社会を回すか。感染拡大と経済活動のバランスをとる。人間には出来なくても、AIには計算可能」
『東京、大阪というように水平分離するんじゃなく、年代別に分けるノカ』
「そう。学校を全部休みにする必要は無い。インフルエンザと同じくらいの感染力とインフルエンザよりも低い致死率、子どもには」
『デモ、一旦高リスク者が感染すると、サイトカインストームを起こす可能性があるわけダ』
「うん。日本の高リスク人口3000万人。低リスク人口9000万人。この9000万人で日本社会を回す。経済回る。学校も行ける」
『3カ月後、低リスク層が十分な免疫を獲得したら、高リスク層が外出しても安全ってわけ?』
「ICUのベッド数がいくつあれば医療崩壊を防げるかを計算したの。それがこの論文」
『低リスク層だって重症化する場合があるカラ、十分なベッド数と医療スタッフを用意しておけば、命ハ救エル!』
「そう。まず低リスク層の命を救うのに人口10万人当たり6床のICU」
『低リスク層が十分な免疫を獲得したら、高リスク層にベッドを譲ればイイ』
「うん。たとえば東京でサンプリング調査を実施すれば、ICUにあと何床の余裕があれば外出禁止解除可能か計算できるの。5千人の無作為検査をすれば、十分に信頼できる数値が得られるの」
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「高リスク層と低リスク層の極端な致死率の違いを見ると、まるで二つの別の病気に直面しているようだ。若者らが経済を回復させる一方、貴重な医療資源は『高リスク』の人たちに集中させる仕組みが必要だ」と、シャシュア教授は言う。
※シャシュア教授の論文は以下のウェブサイトにて公開されています。
https://medium.com/@amnon.shashua
https://www.asahi.com/articles/ASN4Z3FGFN4YUHBI004.html(新聞記事)