令和2年度予算編成方針(富士市長より通達) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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はじめに

我が国の経済はアベノミクスの強力な推進により長期にわたる回復が続いており、GDPは名目・実質ともに過去最大規模に達している。

内閣府が発表した9月の月例経済報告でも、個人消費の持ち直し、設備投資の増加、雇用情勢の改善などを背景に、「景気は輸出を中心に弱さが続いているものの緩やかに回復している」とされ、引き続き好調を維持している。

一方、先行きについては「雇用・所得環境の改善が続く中で緩やかな回復が続くことが期待されるが、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、原油価格の上昇や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」とされており、消費増税の影響や軽減税率等の対策効果などとともに、今後も景気の動向について注視が必要な状況である。

 

国・地方の財政の動向

国は、人口減少や少子高齢化が進行する中にあっても、直面する様々な課題を克服し、さらにはピンチをチャンスに変えていくため、Society5.0 の実現を目指し、6月に策定した「経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太方針)」において、成長戦略実行計画をはじめとする成長力の強化、人づくり革命、働き方改革、所得向上策の推進などを重点的な取組とするとともに、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針の下、新経済・財政再建計画を着実に推進することとしている。

一方、地方行財政についても、国と基調を合わせた歳出改革や効率化を積極的に推進するため、地方自治体の業務改革と新技術の徹底活用による「次世代型行政サービス」への積極的な転換の推進や、歳出改革等に前向き、具体的に取り組む地方自治体への支援のほか、「見える化」の徹底・拡大による歳出改革等に向けた取組の加速・拡大など、持続的な地方行財政制度の構築や地方交付税制度をはじめとする地方財政制度改革を進めるとしている。

また、本年10月の消費税率引き上げに併せて実施された幼児教育・保育無償化をはじめとする制度改正などによる地方財政への影響も見込まれるため、今後も国の動向を注視し、的確に対応していく必要がある。

 

市財政の見通しと予算編成の基本方針

本市の財政の中期収支予測では、新年度の一般会計当初予算額を、歳入ベースで本年度対比0.5%、5億円減の931億円程度と見込んでいる。

歳入歳出を概観すると、歳入では自主財源の総額を540億円程度と見込んでおり、その根幹となる市税については、税率変更の影響により法人市民税が減収となるものの、給与所得の伸びによる個人市民税の増収、家屋の新増築や設備投資の増による固定資産税の増収などにより、市税全体では今年度対比1.0 %増の474億円程度と見込んでいる。

また消費税率引き上げに伴い地方消費税交付金を 11億円増の 58億円と見込むが、新環境クリーンセンター建設事業費の減に伴い国庫支出金は3億円減の144億円、市債は6億円減の101億円程度となり、依存財源の総額は391億円程度と見込んでいる。

一方、歳出では人件費・扶助費・公債費を合わせた義務的経費が、本年度対比4.6%増の408億円、物件費・補助費・繰出金など、その他の経費は3.4%減の 319億円、投資的経費は、新環境クリーンセンター建設事業費の減などにより 4.1%減の206億円で、歳出総額としては本年度対比0.2%、2億円減の934億円程度と見込んでいる。

その結果、現時点における新年度の収支見通しは、3億円程度の財源不足となっている。

今後の収支予測においては、社会保障関連経費や新環境クリーンセンター建設に伴う公債費の増加のほか、公共施設の老朽化対策や大規模投資的事業の実施などにより、令和3年度以降には大幅な財源不足が見込まれており、徹底した歳出改革を断行せざるを得ない状況である。

また、都市活力再生戦略の最上位目標である「元気よく活動し、都市の原動力となる『若い世代の人口の確保』」の実現に向けた施策の着実な実行や、喫緊の課題に対応するための財源を確保する必要がある。

このため、各所属長においては、選択と集中により限られた財源を最大限に有効活用するため、所管する事務事業を再度、業務レベルまで掘り下げて点検し、無駄を徹底的に排除するとともに抜本的な見直しを実施されたい。

また、特に5年以上実施している経常的な事業については、その成果及び効果をアウトカム指標等により測定し現下の社会情勢等を踏まえ、真に実施すべき事業であるか再検証し、必要であれば迷うことなく廃止や再構築を図られたい。

これらの各事業の再検証を前提として、新年度の歳出要求額算出にあたっては、「部単位枠配分方式」を継続することとし、義務的経費、債務負担または長期継続契約などで支出額が確定している経費、及び新規事業にかかる経費を除き、一般財源ベースで前年同額の「ゼロシーリング」を基準とする。

なお、予算編成、要求の具体的な方法については、別途、財政部長名で通知する「令和2年度予算編成要領について」によるものとし、予算編成全般にわたる手続きついて、遺漏のないよう十分に配慮されたい。

 

新年度重点事業

これまで述べてきた経済、財政状況の認識を踏まえ、令和2年度は下記事業を優先的・重点的に実施していくものとする。

重点分野の決定にあたっては、部長会議における 重点政策分野の優先度評価の結果などを基に、選択と集中の徹底を図ることとしたものである。

また、都市活力再生戦略に位置付けた施策を推進する事業及び既存の枠を超えた斬新な発想により「生涯青春都市 富士市」の実現に資する事業については優先的に扱うものとする。

 

《優先度評価による重点政策分野》
1「新産業創出への支援や工業立地環境の整備」を図る工業振興策
2「子育てを地域全体で支える環境づくり」を図る子育て支援事業
3「危機管理体制の強化」を図る危機管理事業
4「公共交通の再生・振興」を図る道路・交通事業

 

おわりに

新年度は、いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を迎えるとともに、本市において、これまでの最大の事業規模となる新環境クリーンセンターが稼働し、また、第五次富士市総合計画の最終年という大きな節目となる年でもある。

令和という新しい時代を迎えた中、人口減少、少子高齢化という現在進行中の大きな課題に対して、私たちは目を背けることなく、持続可能な財政基盤のもと、創意工夫を凝らしながら、引き続きスピード感を持って積極果敢に立ち向かっていかなければならない。

このため、諸課題に対しては、職員一人ひとりが「市のあるべき姿」を明確に見定め、市の財政状況を常に意識しつつ、働き方改革による業務効率化の視点等も踏まえ、各事業の効果・効率性を最大限に高めるよう努めていただきたい。

誰もが生き生きと暮らし、明るい未来に向かってチャレンジする「生涯青春都市 富士市」の実現に向け、職員の英知と情熱を結集し、厳選された予算編成となることを期待する。