「人を大切にする会社は業績がのびている」は本当か(その3) | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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今回のアンケート調査について常葉大学の安達教授と議論しました。

前回私が述べた「この5年間は、むしろブラック企業ほど伸びているのかもしれない」という論考については「撤回したほうがいい」とやんわり否定されました。
うん、ありゃあ逆切れでしたね。
「アンケート結果を単純に0~5ポイントに数値化しては異常値の影響を受けやすくなってしまうのではないか。そこで『指標内容に十分該当する』グループと『その他の回答』のグループに分け、その平均値の差で説明してはどうか。また、この5年間でみると『業績悪化』会社数が『業績改善』会社数を倍以上上回っているため、TSR評点の下がり方が緩やかか急激かで評価してはどうか」と提案されました。
つまり「人を大切にする会社は不況に強い」という仮説ならば十分証明できるのではないかということ。
そうして分析したのが以下の図表です。
 
 
「『2グループの平均値の差』で説明すると、平均の差の検定、母比率の差の検討の手法で、5%確率等の明確な基準は提示できるのですが、ウェルチ検定などの理屈を多少説明しなければならない煩雑さもあります」(安達教授)
でもこれならば
①「調査質問項目の回答が高い→業績が良い」の確認に加えて、
逆の方向性
②「業績が良いグループ→調査質問項目の回答が高い」
の相関もチェックできます。

備考欄の✓印のある項目が統計上有意性のある項目です。
したがって、✓印のない項目は、①の相関だけが確認できたことになります。

以下安達先生が抽出した10項目

【社員に関する指標】
①過去5年リストラしていない
②過去5年以上サービス残業はゼロ
【下請けに関する指標】
③過去5年以上下請けにコストダウン要求をしていない
④仕入れ先や協力企業が黒字
【顧客に関する指標】
⑤5年にわたり新規顧客が増加傾向
⑥クレーム情報に対する仕組みが機能している
【経営者に対する指標】
⑦経営者は経営理念の体現者としての言動が出来ている
⑧経営者は誰よりも勉強家・努力家である
【社員の確保・育成・評価に関する指標】
⑨昇給・昇格・賞与それぞれ基準がありオープンになっている
【経営理念に関する指標】
⑩中長期的経営ビジョンがあり、そのチェックシステムが機能している

赤文字のところだけが私の推論と違うのですが、この十項目に十分該当する会社はいずれも業績が上向いている(もしくは不況下によく健闘している)のに比べ、業績の良い会社は必ずしもこの部分の評点が良いわけではない、つまり逆は真ならずの結果が出ました。
 
「景気がいいんだからリストラなんてできるわけないじゃん」
「景気がいいから下請けも黒字なんでしょ」
などと言われそうでしたが、そうではないことをデータが示しています。
  
つまり
「この十項目を守る会社は不況に強い」のです。
 
経営ビジョンを掲げ、理念経営に徹し、給与情報をオープンにし、従業員と下請けさんとか関連業者を大事にしている会社が、最後には生き残るはずです。 
  
人を大切にする会社は日本の宝だ。ブラック企業しね。
  
それが今回の結論。