男だって育児がしたい!3人に1人がそう思っている。 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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少子高齢化分析課題 提出日2013/9/5

 日本経済新聞(2013/8/5)「男性の育児休暇取得率が大きく低下、実は1000人に4人もいない」から引用する。

 男性の育児休業取得率がガクンと低下した。2012年度の男性の育児休業取得率はわずか1.89%で、前年度の2.63%から0.74ポイント減少。安倍晋三首相は「『女性が働き続けられる社会』を目指すのであれば、男性の子育て参加が重要」と成長戦略の中で打ち出しているが、これに逆行するかのような動きだ。
 たとえ育休を取ったとしても、期間は短い。「1~5日」が4割、「5日~2週間」が2割と2週間未満が6割を占める。育休取得者の割合はここ10年微増しているものの、その大半が1カ月未満という短期の取得者だ。
 取得期間別の割合をみると、1カ月未満の取得者は2005年度の31.7%が12年度に81.3%へと高まっている。「わずか数日か、1、2週間休んだぐらいで、イクメンなんてエラそうな顔をしないでよ!」と憤慨する女性の声も聞こえてきそうだ。つまり、男性の大半が数日から数週間の「なんちゃって育休派」なのだ。


 ところが先日の日本経済論の課題発表の中で、「育児休暇をとりたいと願っている男性が1/3」というデータがあると聞いた。厚生省の「両立支援のひろば」には確かにそう書かれている。しかし、その一方で「育児休暇を取る同僚を疎ましく思う」と答える男性社員の数が5人に1人もいる。「まだまだ日本の企業戦士は健在なり」の意を強くするが、はたしてこれで良いのだろうか。
 1998年から2011年までの14年間、日本の自殺は毎年3万人を超えていた。殺人による死者の実に70倍にあたり、自殺者の7割は男性。そしてこの時期に急増したのは、40代から50代の男性で、経済上・生活上の理由による自殺が増えたことが一因とされており、この年代では自殺者の実に8割が男性。家計を支えるという重荷に耐えかねて、死に追い詰められる男性がいるということは、もっと深刻に捉えられるべき現象ではないかと私は考える。
 安倍政権の「育児休暇3年プラン」は、男は仕事、女は家庭、子どもが二人、といういわゆる「標準家庭」を念頭に置いたものだ。
 しかし少子高齢化が進み、経済の急成長は望めないこれからの時代、働く男性の収入が常に増え続けると考えることは難しく、夫婦2人で稼ぐことを志向したほうが家計のリスク管理の面からも安全だと考える。
 現在の日本では、正社員の男性の労働時間のみが延び、一方で働く人の非正規化が進んでいる。それに対処するためにも、残業代の割増率を例えば2倍以上に上げて、男性の残業を減らし、その分働く人の数を増やし、それを通じて、男性も家事・育児あるいは介護に参加できる環境を整えることを考えるべきだ。
 つまり、もうそろそろ「妻子を養う」という重荷から、男性を解放すべきではないのだろうか。3人に1人の男性が育児休暇を取りたいと願っているのは、実は当たり前の現象であり、働く男性からのSOSだと考えた方がいい。
 NHKの「視点・論点」で、少子化を現代日本の「林業」に例えていた。
 植林をする林業者と、植林をしない林業者が、競争をしたとすれば、必ず植林をしない林業者が勝つ。相手が植林をしている間も木を伐り続けることができ、木1本にかかる工賃が安くなるからだ。
 消費者が何も知らなければ、植林をしない林業者の安い木のみが売れ、やがて日本中の山がはげ山になる。そして30年後、50年後、私たちはその保水力を失った山林からの大水害という形で、植林の代金を払ってこなかったことのツケを一気に払わされる。これが今の日本の現状だ。
 植林をしない林業者を男性労働者、植林をする林業者を女性労働者、植林を子育てと置き換えてみればよい。どうして企業が、女性よりも男性を雇う傾向があるのか。つまり現在の家事労働時間の男女差を考えれば、企業は女性を雇ったときには、家事・育児の時間があるために、子どもが熱を出した時の対応や、夕食の準備などを考えて、夜遅くまで働かせることはできないと考える。育児休業もとるのは圧倒的に女性が多いので、共働き世帯でも育児全般を主に女性が担っていることになる。
 ところが男性は、あたかも背後に子どもや要介護の高齢者は、いないかのごとく働く。ほとんど家事をしないために、残業もさせやすい。かくして男性社員はまさしく「馬車馬」のように働かされることになる。
 子育てのコストは、女性労働者の肩の上にのみ加算されているように、企業には見え、したがって植林のコストがかからない男性労働者を雇いたいと考える企業が多くなる。目先の利益だけを考えてこうした植林のコストを払わなかったので、日本中がはげ山になった。これが少子化という現象ではないだろうか。
 馬車だって一頭立てより二頭立てのほうが多くの荷物が運べる。「男だって育児がしたい」と考える男性が増えているのならば、これを好機として「DI2K(ダブルインカムツーキッズ)」を「新しい標準世帯」として政策を考えていく必要があるだろう。「育児休業3年」とか「女性手帳」といったような発想では、少子化問題は解決できない。