県営富士水泳場で天井落下事故。 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 県教委は16日、県富士水泳場(富士市大淵)で屋内天井材(石こうボード)が落下する事故があったと発表した。けが人は出ていない。同水泳場は当面、営業を中止する。
 県教委スポーツ振興課によると、落下が確認されたのは15日。午前7時に出勤した清掃員が約300平方メートル(幅5メートル、長さ60メートル)にわたってはがれ落ちているのを発見した。プール内やプールサイドに散乱し、現在も一部が天井にぶら下がっている状態という。天井は最も高いところで高さ25メートル。
 14日には東部・中部地区の中体連予選会が午後5時まで開かれ、午後7時に水泳場が閉められた際には異常はなかった。同課は1週間程度かけて原因を調べ、改修方法など今後の対応を検討する。予定されていた大会は別の施設で開催する方向で調整する。
 同水泳場は2002年3月に完成した。これまでに同様の事故は起きていない。天井の点検は年に1回行われ、直近では今年1月9日の目視点検が最後という。
 県庁で記者会見した同課の浜田修課長補佐は「営業中ならば大きな事故になっていた可能性もあり、重く受け止めている。点検方法なども検証していく必要がある」と述べた。(静岡新聞 7/16)

$富士市議会議員 鈴木幸司-富士水泳場

 写真をみる限り、崩落しているのは野縁とその下のボード部分です。野縁受けは天井に残っているので、問題はそれを繋ぐ「クリップ」にあると考えられます。
 一番小さなシングルクリップでも、ひとつ当たりの変形加重は通常「34kg」、破壊加重に至っては「110kg」あります。 それがあのような円形の天井では、おそらく300mm以下で入れますから、かなりの重量に耐えられるように設計されているはずです。

 ところが、メーカー側の言うこの「破壊加重」というのは、あくまで鉛直方向にひっぱっても大丈夫ですよ、という値です。実は、クリップは斜めからの力に弱いのです。だから、何かの拍子に一部が外れた時、こうした従来型の軽量鉄骨天井下地は、テコの原理で「なだれ」を起こすように崩落する可能性があります。

 それを防止するために、国土交通省の共通仕様書では野縁のクリップは「必ず交互にかける」ように、また野縁は「150mm以上跳ね出しをさせない」ように決められているのですが、デザインに凝った、あのように湾曲した天井で、この規定が守られていたかどうか、調べるべきでしょう。私なら画面左側の「もっとも切り立った天井部分」のクリップの状態と、その「取り付け角度」を確認します。

 2008年1月に豊田スタジアムの屋内プールの天井が落下する事故がありました。この時は「天井裏が結露状態にあった」ことが事故原因とされましたが、今回も天井材が湿気を吸っていた可能性はあります。

 いずれにしても建築基準法施行令第三十九条に「屋根ふき材、内装材、外装材、帳壁その他これらに類する建築物の部分及び広告塔、装飾塔その他建築物の屋外に取り付けるものは、風圧並びに地震その他の震動及び衝撃によつて脱落しないようにしなければならない」とありますので、この建築物は、天井が脱落した時点でその法律に違反していることになります。

 2002年の竣工だから瑕疵担保責任は2012年に消滅している・・・と施工業者は言うかもしれませんが、法律に違反している以上「不法行為責任」は免れないと私たち「NPO建築Gメンの会」は主張し続けてきました。不法行為責任の消滅時効は20年です。
 今後は、不特定多数の人が利用する建築物には「耐震天井」の設置を義務付けるべきだと思います。既にそうした技術はあるのですから。
 

NPO建築Gメンの会 理事
富士市議会議員 鈴木幸司