第15期自治政策講座in横浜 「進む人口減少と自治体の政策」
~右肩上がりの成長・発展から発想の転換を~
第3講義 コンパクトシティ~人口減少に応じた都市計画とは
大村謙二郎 筑波大学名誉教授
70年代:2度の石油危機を通じての環境意識、成長の限界意識
80年代後半のバブル時代:規制緩和、民活、住宅地の遠郊外化
90年代:公共セクターの衰退、PPP、住民主導のまちづくり
00年代:都市再生、少子高齢化社会の顕在化、地方分権推進と広域調整課題の増大
10年代:311ショックとポスト原発社会、政策の見直しとスマート・コンパクト都市
災害に備えたレリジエントな社会
日本の市街地・住宅地の特質、課題
・住宅の建て替え、更新速度の早さ
・町割、敷地割の不安定性、敷地の細分化
・ガワ・アン構造の既成市街地と木密地域
・用途、機能、形態の混在
・景観の混乱、乱雑さ:建物高さ、ファザード、広告物、電柱と電線、自販機etc.
・拡散的に広がる市街地と自動車依存型地域/都市構造とそれを黙認/加速させる既成構造
・「焼畑商業地域」「立ち枯れ減少」の問題:撤退後の原野
コンパクトシティに向けた目指すべき施策方向性
・地域と政策の選択と集中が必要
・縮小を受容する地域、地区の選別とダウンサイジングの具体の方向性が必要
・広域調整の枠組みの確立:広域ガバナンス、地域社会ベースのアソシエーションの再構築による地域管理
・調整区域のきめ細やかな土地利用誘導、秩序化ルール確立の必要性:
ex,調整区域の集落地域問題(田園集落地区としての基盤整備の必要性はないのか)
調整区域大規模プロジェクトのアフターケア問題
・適切な密度をもった既成市街地ストックの利活用→超高層型開発が唯一の解ではない。
・土地利用と交通マネージメントの提携
都市政策・都市計画の新たな目標:3つの持続可能性
⑴環境の観点からの持続可能性(資源、地球環境、地域環境、都市環境・・・)
⑵経済の観点からの持続可能性(所得、財政、共生型経済、循環型経済・・・)
⑶社会の観点からの持続可能性(公平性、参加、地域コミュニティ、新たな結い・・・)
ダウンサイジングには所有と活用の分離が必要←ここがキモ
持続可能な都市をつくる
・経済環境と地域文化
・環境への貢献が新たな持続可能な都市の魅力をつくる:スマートな都市環境ライフスタイルの提案
・アメニティの向上:持続的累積的な創造がアメニティ向上につながる
・サスティナブルコミュニティの構築:少子高齢化社会にふさわしいコミュニティづくり
集約的都市構造の実現
・成長パラダイムからの脱却:選択と集中、ダウンサイジングとアップグレードとの連携
・拠点形成:中心地、交通拠点への集中投資、脱自動車型交通マネージメントと拠点形成
・スマートシュリンク:低密度郊外の再編と再生、既存大型商業施設・集客施設の再編成
・それぞれの都市・地域の風土、歴にに対応したコンパクト政策:画一的、一律的な都市地域像は存在しない
・地域環境連携と知恵の交流の中で独自性を生み出すこと