「人類に逃げ場なし」 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 「50年前に、孫の代のことを思って植えた人で、津波で亡くなった人もいる。立派に育った木を無駄にすることはできない」
 大槌町のNPO吉里吉里国で、久しぶりに、芳賀正彦理事長に会ってきました。我々が集めた木の枝は、工芸品や芳香剤に使えるとのこと。孫の代には、昔の海を取り戻す。芳賀さんの言葉には、魂が入っています。人力と馬で森を再生する。芳賀さん達の活動を見ていると、ゆっくりではあるけれど、着実に、吉里吉里は復興への道を歩んでいると感じます。
 帰り間際、霧が晴れて、海岸沿いのガレキの山が目に入りました。芳賀さんの表情が曇り、「被災してから2週間は生きるのに精一杯。1ヶ月は行方不明者の捜索で精一杯。その後、ガレキがあることに気がついた。今の方が、ガレキが気になる」
  
被災地では、今もガレキとの格闘が続いています。
  
 午前中、ガレキが埋められた丘の上に木を植えるプロジェクトが行われました。量は限られますが、ガレキを生かす取り組みとしては、大きな一歩です。参加して下さった大槌町の婦人会の皆さんは、本当に明るかった。ただ、津波に触れたら、「何もかもなくなった…」と小さく一言。自分の無神経さを恥じました。
 会場を盛り上げてくれた大槌高校の吹奏楽部の演奏は秀逸でした。特に、「川の流れのように」を歌った男の子は、声量もあって、良かった。楽しそうに歌う表情は、集まった人たちの気持ちをなごませました。彼も親を亡くしたそうです。この一年、彼が乗り越えてきたものの大きさを感じました。満開の桜は、本当にきれいでした。みんなで植えた木が、桜と調和する景色の一部となるときには、傷が癒えていることを願ってやみません。

 釜石市では、老朽化した焼却炉を再稼働していました。みんな頑張っています。被災地の努力に、政治が応えなければなりません。もうすぐ、私の地元、静岡県が大槌のガレキの処理に乗り出します。ようやく、ここまで来ました。
 傍観者でいるのではなく、被災地と向き合うことで、私たちは何かを得ることができるはずです。
 芳賀さんからもらった木工資材。大事に使わせてもらいます。ありがとうございました。
(4/30◎細野豪志)
 いま「原発県民投票静岡」(※1)という活動に取り組んでいます。その本部会議の席上で何かの署名簿が回ってきたので、うっかり名前を書いてから・・・「ガレキの広域処理に反対」という署名だと気がついて、2本線引いて削除させてもらいました。今年もまた夏が来て、ハエや蚊と煤煙に苦しむことになる東北の子供たちを思うと、反対署名はできません。向こうではもっと劣悪な環境で焼却を進めているのが現状ですから。

 富士市の清掃工場から排出される焼却灰からも、常時100ベクレル/kg程度の放射能が検出されています。
 これが富士市の現実です。それが福島第一の事故に由来するものなのか、1945年以降500回以上大気中で繰り返された核実験に由来するものなのか、過去のデータを持っていませんので断定は出来ませんが、吉里吉里国のある大槌町で山積みになっているガレキを燃やしても同程度の放射能は検出されるでしょう。(100ベクレル/kgというのは食料品の安全基準でもあります)

ここから先は私が、
分子の大きさを1nm3(立方ナノメートル)だと単純に仮定して計算してみたものです。

自然界の野菜に含まれる放射性同位元素によって、
ヒトは常時
4000ベクレル/kg程度、内部被爆しています。

体重60kgのヒトは一人当たり 8.37333E+24 個の分子で出来ています。
1キログラム当たり4000ベクレルというのは
1秒間で 8.37333E+24 個の原子核のうちの4000個が崩壊し、
放射線を出しているという意味です。
その割合は 4.77707E-22
パーセントに直すと 4.77707E-20 %ですから、
約0.000000000000000000048%くらいだということです。

これが毎秒起っています。
一年は 31,536,000 秒です。
一年間のうちに 1.5065E-12%の確率で
DNAが傷つけられる可能性があります。
  
ヒトは6兆個の細胞によって構成され、
DNAの複製によって6年周期ですべての細胞は更新されます。
DNAの複製に失敗した細胞はすべて「ガン」になるのだと仮定すると
6年で36兆回の 細胞分裂ですから
これを掛け合わせると、6年のうちにガンを発症する確率が計算できます。

それは約 54.2% です。

ところが実際には、6年で2人に一人がガンになるかというと、そうはなりません。
実はヒトには、複製に失敗したDNAを修復する能力が備わっているからです。
 
ヒトが常時4000ベクレル程度内部被爆していても
ガンを発症しないというのはそれが理由です。

3.11以降、パラダイムが変わったと感じています。
「放射能はゼロでなければいけない」という主張は、
思想としては理解できますが、地球に住む私たちには不可能な話です。

今回のブログは少し長くなりすぎましたので、これくらいにしますが、
(気がついたら、もう12時を回ってしまいました)
それを「汚染されている」と呼ぶのなら、
岩手県大槌町・山田町から静岡県に持ち込まれるガレキは、
少なくとも富士市の一般ゴミと同程度の「汚染」しかされてません。
それは試験焼却してみればわかりますし、
受入れ前の今も、富士市の清掃工場は稼動しており、
毎日100ベクレル/kg程度の数値が記録されています。
 
明後日から、いわき市久ノ浜へ行ってきます。
「復興と地域防災を考える会」としては14回目の久ノ浜支援です。
被災地を実際に見るたび感じるのですが、
地震列島日本に住む私たちには、逃げ場はありません。
東北の復興を支援しながら、浜岡にも反対しているのは、そうした理由からです。
 
原子の火を手に入れてしまって以来、
「人類に逃げ場なし」(※2)だったのかもしれません。

富士市議会議員 鈴木幸司

(※1)地方自治法94条に規定された「直接請求権」を利用し、5月13日以降の2ヶ月間で「浜岡原発再稼動の是非を問う為の県民投票条例」を議会に提出する為に県内有権者の50分の一以上の署名を集める・・・という活動です。

(※2)某ロボットアニメの有名な台詞ですが、アニヲタ以外は誰も知らないかも・・・orz