鳩山政権発足1か月で弱音!公約断念も
16日に発足1か月となる鳩山政権初の2010年度予算編成の概算要求が15日、締め切られた。子ども手当などマニフェスト(政権公約)に掲げた政策に充てる方針を具体化した結果、一般会計総額は90兆円を大幅に上回る過去最大規模に。鳩山由紀夫首相(62)は同日、「マニフェスト実現よりも、国債をこれ以上発行してはいけないという国民の意思が伝えられたら、そういう方向もあると思う」と述べ、公約実現を一部断念する可能性があるとの見解を示した。
10月16日8時1分配信 スポーツ報知
マニフェスト実現にも優先順位があるということです。
世論を注視し、国民が疑問に思っている部分については「後回し」も仕方ありません。
一足飛びに改革しようとしても、巨大な組織は方向転換できません。それをムダと呼ぶのか、安定と呼ぶのかは後世の人々の判断に任せるほかない・・・そういう現実的な判断も必要です。
そうした国民的に不人気な公約に「高速道路の無料化」があります。直近の世論調査でも、CO2削減目標との矛盾を含め、実に6割の人が実現を疑問視しています。
私はこの政策は「関所の廃止」であるという観点から、賛意を表明しています。「制度としての実験」だという前原さんの考え方も正しいと思います。
ただし道路の補修コストの削減という意味で、大量輸送は今後、戦略的に「船」や「鉄道」に振り変えるべきだと考えます。
高速道路の原則無料化というのは、今まで徴集していた通行料金を「税金」で賄うという事です。当然のことですが、道路の維持には「補修コスト」がかかります。
麻生政権では「週末の高速道路1000円化」が実現しました。これは乗用車のみの優遇措置で、バス・トラック業界から不満の声が上がっています。しかし、道路を傷めている原因のほとんどは、こうした「大型車」であることをご存知ですか?
道路の受けるダメージは「重量の2乗に比例」します。
今後無駄な道路は造らない。ただし補修コストは負担して欲しい・・・と言うことになれば、1トンの乗用車よりも10トンのトラックからは、ええと二乗ですから100倍の通行料金を徴集するべきなのです。この理屈で言うと乗用車が1000円徴集される区間ではトラックには10万円の通行料金を負担してもらわなければ公平ではありません。
実は今の料金体系は「輸送業界に甘すぎる」のです。
戦後復興から高度成長時代は、予算を輸送業界に傾斜配分する必要があったのだろうとは思います。しかし、今後の民主党政権による「実験」は大きな歪を生むことが予想され、鉄道やフェリーといった業界は今から悲鳴を上げています。
大量輸送は戦略的に「船」や「鉄道」に変えてゆくべきです。
それによって高速道路の原則無料化政策とCO2削減政策は整合します。
その為に「フェリ-ターミナルの整備」や「物流基地整備」が必要になりますが、そういう分野にこそ工事を発注すべきだし、地方ゼネコンも息をつく事が出来ます。
地方都市では「駅前商店街」の元気の無さが目立ちます。しかし何故、買い物をその商店街でする必要があるのですか? 「駅前」という既得権益を守ろうとすればするほど、地域は疲弊してゆきますよ。
買い物をそこでする必然性がなければ、今後発展するのは「駅前」ではなく「インターチェンジ前」なのです。
高速道路の原則無料化は「関所の廃止」だと申し上げましたが、こうした発想の転換によって「平成の楽市楽座」が実現するかもしれません。
yan