本会議で討論に立ちました。 | 富士市議会議員 鈴木幸司オフィシャルブログ Powered by Ameba

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補正予算が衆議院で強行採決されました。国民が苦しんでいる中、強行採決と採決退席というかたちの結論になったことは、本当に残念です。今日は、久々に討論にたちました。私の気持ちは、10分の討論に凝縮していますので、http://blog.goo.ne.jp/mhrgh2005/ で原稿をご覧ください。政治は絶望の連続です。「熟議の民主主義」を求めて、明日から再スタートです。細野豪志 1/13



衆議院インターネット中継に映像があります。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/

このURLのビデオライブラリから「1月13日」「本会議」「細野豪志」を選ぶと細野豪志の演説を見ることが出来ます。

演説原稿は以下のとおりです。


 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました「平成20年度一般会計補正予算」及び「特別会計補正予算」に反対の意思を表明し、強行採決に抗議する討論を行います。

 今回の第2次補正予算を議論する際、我々が直視すべきは、国民生活の現状です。多くの国民が職を失い、時には住まいさえも失い、途方に暮れています。多くの中小企業は、仕事が激減し、存亡の危機を迎えています。失業者や経営者の悲痛な声が、議場の皆さんの耳にも届いているはずです。
 民主党は、従来の主張へのこだわりを捨て、政府与党との合意を目指して修正案を提示しました。しかし、与党は、その提案を一顧だにせず、予算委員会の質疑をわずか14時間で打ち切って強行採決を行い、この本会議でも採決を強行しようとしています。このような姿勢に、もはや政府与党の矜持を見出すことはできません。

 我々が補正予算に反対する最大、そして唯一の理由は定額給付金にあります。
 「今は、定額給付金の評判は悪いが、実際に現金を手にすれば分からんよ」これは、予算委員会が行われた第一委員会室で私が耳にした、ある自民党議員の声です。多くの与党議員の皆さんの本音でしょう。私はここに断言します。与党が強行採決を繰り返し、仮に定額給付金を大多数の国民が手にしたところで、麻生政権の支持率が高まることはありえません。与党の皆さんが考えるより、わが国の国民ははるかに賢明です。
 私が薫陶を受けた亡き高坂正堯教授は、著書である『宰相 吉田茂』の中で、吉田元総理をして、「統治者はその行為を国民の名において正当化したり、弁解してはならないと考えていた」と述べています。全面講和を求める国民の声を押し切ってサンフランシスコ平和条約を締結した吉田元総理の決断が正しかったことは、後の歴史が証明しています。吉田元総理は、時として民意に反してでも、国益のために行動するポピュリズムの対極にある政治家でありました。
 定額給付金は究極のポピュリズムです。ところが、週末の世論調査によると、麻生内閣の支持率は急落しています。原因は、批判の集中している定額給付金です。歴代の自民党政権の中には、吉田内閣を筆頭に外交政策や増税など、国民に不人気な政策を実行して支持率を落とした政権はありました。しかし、バラマキを提案して、国民の顰蹙を買い、支持率を急落させたのは、おそらく麻生内閣が初めてです。吉田元総理の孫である麻生総理が、究極のポピュリズムに陥った結果、その浅はかさを国民に見透かされて、支持率が急落していることは、皮肉と言うほかありません。歴史家は、今の麻生政権を、後世どのように評価するでしょうか。

 定額給付金をめぐって、麻生総理の発言は迷走を続けてきました。街頭演説では「1億円あっても、さもしく1万2000円欲しいという人もいるかもしれない」と発言しました。ところが、年が明けた予算委員会では「高額所得者も受け取り、盛大に消費をしてもらいたい」と答弁し、従来の発言を覆しました。給付対象について総理の発言がこれだけ代わるようでは、国民に政策の目的を理解しろという方が無理というものです。
 目的がぶれている当然の帰結として、効果も期待できません。目的が低所得者支援であるならば、1万2000円という金額は全く不十分です。経済効果に期待するならば、なぜ貯蓄に回る可能性の高い高額所得者にまで給付するのでしょうか。新たな貧困と二極化が現実になっている中で、富裕層にまでばら撒きを実施することが  本当に正しいと与党の皆さんは考えているのでしょうか。
 発言を二転三転させた結果、麻生総理は自らが定額給付金を受け取るのかどうかを明言できないという窮地に追い込まれています。「さもしい」と言った以上は、自らは受け取ることが出来ない。しかし、「受け取らない」と言ってしまっては、「盛大に消費してもらいたい」という主張と相反してしまう。麻生総理、認識が変わったのなら、過去の発言を率直に訂正し、真摯に国民に説明すべきではないでしょうか。

 麻生政権が提出した予算案には、定額給付金以外にも、「子育て応援特別手当」や「高速道路料金の定額化」など、私たちの考えと大きく異なる政策が含まれています。しかし、国民生活を第一に考えた時、たとえ効果や手法において問題があっても、与党との合意を目指すべきであると、我々は考えました。
 与党議員の皆さん。今からでも遅くはありません。定額給付金を切り離せば、他の経済対策は明日にでも円満に本院を通過し、関連法案も含め、参院においても迅速な審議が進むでしょう。結果として、定額給付金以外は、このまま本院で議決するよりも、はるかに早く実施することができるようになります。このまま突き進めば、間違いなく国会は機能不全に陥ります。そして、その最大の被害者は国民です。

 このほかにも、予算委員会での議論を通じて、税金のムダ遣いを生み出してきた天下り、中でも最も悪質な「わたり」の問題が明らかになりました。一昨年成立した改正国家公務員法では、公務員の再就職のあっせんは離職時点に限られています。さらに、当時の渡辺喜美行革担当大臣は、有識者懇談会の報告書の中で、「わたり」を根絶する明確な政治的意思を示しました。それにもかかわらず、昨年末に政府が決定した政令では、法律や報告書を覆し、「わたりのあっせんも可能」としたのであります。官僚によって作成される政令が、国会で議決された法律を覆すなどということは、決してあってはなりません。与野党を超えて、この政令を撤回すべしとの声をあげるべきです。なぜ、渡辺喜美議員以外の与党議員の皆さん、特に改革派を自任する皆さんは沈黙するのでしょうか。

 麻生総理。もっと謙虚に国民の声に耳を傾けて下さい。雇用をうち切られ、住むところさえ失った人々の声、人手不足と低所得に喘ぐ介護現場の声、子供たちの命を守るために学校の耐震化を求める地域の声。それらの声に耳を傾けて頂きたい。あなたが給付金としてばら撒こうとしている2兆円があれば、国民の声に応えることができるのです。
 本院に議席を持つ皆さんにもう一度、問いかけたいと思います。2兆円の使い方として、定額給付金は本当に適切な方法でしょうか。本院は、議論を尽くしたのでしょうか。国民は納得したのでしょうか。
 国民が苦しんでいる今だからこそ、我々は「熟議」を通じた合意形成を目指すべきです。単なる多数決や妥協ではなく、対話や討議のなかで解決策を模索するプロセスこそ、「熟議の民主主義」です。大切なことは、討議を通じて自らの意見や判断が変化することを真摯に受け入れる姿勢です。本院に議席を持つ皆さんの賢明な判断を切に期待して、討論を終わります。