耳の話 その8 幼き日の思い出 | 小迫良成の【歌ブログ】

小迫良成の【歌ブログ】

「唱歌是生活的乐趣(歌は人生の喜び)」
「有歌声的生活(歌と共に歩む人生)」
 この言葉を心の銘と刻み込み
 歌の世界に生きてきた
 或る音楽家の心の記憶

初めてクラシックの

声楽曲に接したのは

いつの頃だろうか。

 

自分の記憶を辿ってみると

一番最初は多分

レコードで聴いた読売交響楽団の

「第九」ではないかと思う。

 

70年代初頭の頃、

新聞日曜版などの裏面に

レコード全集などの広告が出され

申し込むと月1で

解説書つきのLPが届いたりした。

 

多分そうしたシリーズのひとつに

クラシック名曲集のようなものがあり、

交響曲や協奏曲などを中心とした名曲を

子供でも読めるような平易な解説つきで

聴いて楽しむことができたのだ。

 

面白かったのは

演奏者が全て日本人だったこと。

 

読響の常任指揮者だった

近衛秀麿を知ったのも

この我が家に頒布されていた

レコードを通じてだった。

 

近衛秀麿に山田一雄、

朝比奈隆など

当時一世を風靡していた

日本人指揮者の演奏を

何度も繰り返し聴いていたことは

多分、私の音楽観形成に

少なからぬ影響を

及ぼしていると思う。

 

 

ソロの声楽曲の場合は

もう少し時代が下って

中学生になった後かな。

 

その頃定期的に購読していた

学研の音楽雑誌「music echo」の

歌曲特集で聴いたのが

おそらく最初の経験だと思う。

 

この音楽雑誌「music echo」には

7インチのドーナツ盤と同じ大きさながら

穴が小さくて33回転だった

「EPレコード」が付録でついていて

このレコードで新しい曲を聴くのも

毎月の楽しみだった。

 

ブリテンの

「青少年のための管弦楽入門」や

ビバルディの「四季」など

有名どころの曲が多かったけれど、

年に2回ほど声楽曲特集があり

リタ・シュトライヒや

シュワルツコップの歌唱による

ドイツリート特集などは

本当に素晴らしくて何度も聴き返した。

 

雑誌の巻末には

吹き込まれている曲の楽譜と

ルビつきの歌詞が載っていて、

その巻末楽譜を読み

ルビつき歌詞を諳んじることに

夢中になったなあ・・・

 

学校にまで雑誌を持ち込んで

休憩時間に一生懸命楽譜を口ずさんでたら

担任の教師がやってきて

「そんなことやって遊んでないで、

 受験の勉強をしっかりしなさい」

などと余計な一言をいうものだから

それ以来、担任教師のことを

毛嫌いするようになったのも

今では懐かしい思い出。(笑)

 

それにしても

クラシックの声楽の世界に

初めて触れた時の演奏者が

リタ・シュトライヒや

シュワルツコップだったことは

なによりも私の「運の良さ」

ではなかったかと、

これは確信している。

 

彼女たちの演奏の精度は

私の音楽における価値基準・

判断基準として最初に頭に刻まれ、

今に至るも、

この部分は変わっていない。