悩ましの保存容器 その?:「琺瑯」 | 小迫良成の【食ブログ】

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「吃是一在世(食べることは生きること)」
 この言葉を心の銘と刻み込み
 食の世界を回遊・遍歴する
 或る音楽家の魂の記録

食事の残りの保存や

最初から作り置きとして

料理した総菜類。

これらを保存するための

「保存容器」は

家庭に欠かせないものですね。

 

保存容器を素材別に分けるなら

「プラ・樹脂製」

「耐熱ガラス」

「ステンレス」あたりで

ほとんどがカバーできると思います。

 

蓋つきトレーは

タッパーと同じく

冷蔵庫での保存が可能ですし、

ガラス瓶やステンレスの

密閉容器だと

スパイスやハーブなどの

常温保存にも適していますし。

 

ステンレスといえば

サーモスなどのような

「保温・保冷容器」

も存在しますが、

保温・保冷の機能は

ちょっと「保存」とは

別物ではないかと思います。

 

さて、

保存容器として我が家では

もっぱら樹脂製と

ステンレス製に依存しています。

 

・・・が、

ひとつだけ、

例外のものがあります。

 

それが「琺瑯」。

 

琺瑯とは

金属にガラス質の釉薬を

高温で焼きつけたもの。

ステンレス全盛以前は

錆びやすい鉄やアルマイトの

調理具に代わるものとして

ある意味、憧れの素材でした。

 

今でも琺瑯で作られた

ケトルや鍋が売られており、

そのどこか懐かしいような

温かさを感じる琺瑯製品には

根強い人気があります。

 

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私が中学高校時代を過ごした

1970年代後半は、

一時期大流行した

「サイフォン式のコーヒー」から

「ドリップ式のコーヒー」へと

移行しつつあった時期と重なります。

 

当時の街の喫茶店では

マスターのいるカウンターに

コーヒーサイフォンがずらりと並び、

注文を取る度にコポコポと

サイフォンを鳴らしていたものでした。

 

そこから徐々に

街のスーパーでも

缶入りのドリップ用コーヒー粉が

販売されるようになり、

家庭でも気軽に

プラ製や陶器製の

コーヒードリッパーをセッティングし、

サイフォン式より簡便に

ドリップコーヒーを楽しめるように

なっていきます。

 

こうした流行を背景として

若者たちから人気を得ていたのが

「白い琺瑯のコーヒーケトル」です。

 

当時の若者のライフスタイルは

朝、ラジカセやミニコンポから

流れる音楽を聴きながら

琺瑯のケトルで沸かした湯で

ドリップコーヒーを淹れ、

タバコを一本くゆらせながら

ゆっくりとコーヒーを飲む

・・・というものでした。

 

ケトルに合わせてコーヒーカップも

琺瑯のマグカップを揃えてみたり・・・

 

ワハハ、懐かしいですね!

 

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金属製品の強さと熱伝導率の高さ

ガラス製品の清潔さの

どちらも併せ持つ琺瑯製品ですが、

欠点も勿論あります。

 

それは第一に

レンチンができないことと、

第二に

意外と衝撃にもろくて

琺瑯が剥がれることがあり、

一旦琺瑯が剥がれてくると

錆が出てくる危険があることです。

 

それゆえに

過去の琺瑯製品(特に容器類)の多くは

錆びないステンレス製品へと

その需要が移ってゆきました。

 

・・でも、

そうした欠点を持っていても、

既に今では「レトロな素材」として

利用頻度が減ってきているとしても、

琺瑯のもつ「懐かしい温かみ」って

好きなんですよねえ・・・・

 

なので、我が家でも

蓋つきのトレーを2個、

糠漬け用に大きな容器を1個、

琺瑯製品を使っています。

 

茄子とピーマンのマリネとか

真白な琺瑯のトレーに入れると

容器の白と食材の紫や緑が

キレイに映えますよ!

トマトの赤もgoodです!!

 

※写真は懐かしの琺瑯製コーヒーケトル(写真ACより)